クライミングの栄養学
トレーニング以外でのクライミングの上達方法は無いのでしょうか?
強くなるためにはトレーニングが一番なのですが…オーバーワークや次の日の仕事に影響が出過ぎて仕事にならなかったりします。そこで別の上達する方法として栄養学でトレーニングを効果的にする方法がありますので、ここでは栄養学的なヒントやコツを紹介していきたいと思います。
クライマーを構成する栄養素。
一般的にスポーツをするにあたって必要な栄養素があります。よく言われるのが「3大栄養素」と言われる3つの栄養素です。
- 糖質…最終的に分解されブドウ糖になり、動くためのエネルギーの源です。糖質gで4kcalのエネルギーを消費する運動が行えるようになります。
- タンパク質…最終的に分解されアミノ酸になり、そして筋肉なる物質です。
- 脂質…糖質と同じく運動のエネルギーになります。脂質は1gで9kcalのエネルギーを消費する運動をする事ができます。コチラも有酸素(持久力)向けのエネルギーと言われています。
糖質の多い食品
持久力な運動に対して有効な栄養素。
人が蓄えられる(グリコラーゲン量(糖質))エネルギー量は1450kcal程度です。例えばマラソン1回に必要なエネルギー量が2000〜2500kcalになりエネルギー量が足らなくなる場合には脂質で補うようになります。
そして、糖質を分かり易く言うなら「炭水化物(糖質と食物繊維から構成されているもの)」の食品で、エネルギーとなる糖質を摂取できるのですが…消化しにくい食物繊維も含まれているので、運動の前日などに炭水化物の食品「ご飯」「パスタ」「パン」を取って置く事が当日に力を出すだめに良い事と良く言われています。
その他、糖質の多い食品はコチラ…
タンパク質の多い食品
瞬発的な筋肉、動きやすい筋肉を作るために必要な栄養素。一日の摂取量は「脂肪を除いた体重の2.2倍」と多めなので食事で補えない場合はサプリメントを使う事で有効な筋力アップにつながります。
タンパク質とは…漢字で書くと「蛋白質」になり「蛋」とは卵のことで卵白がタンパク質の主成分になります。ですが…肉・魚介類・大豆・米・パン・フルーツなどにも含まれています。
タンパク質の多い食品はコチラ…
脂質の多い食品
脂質も持久力な運動に対して有効な栄養素です。具体的に例を出すと体重60kgで体脂肪が10%の方は36000kcal分が体内に蓄えられるので、持久力を要する運動は糖質以外に脂質もエネルギーとして活用されます。
脂質とは、生物から単離される水に溶けない物質を総称したもの。ですが…脂質を摂取しすぎると…脂質が多すぎる人やうまく代謝できなくなる→脂質代謝が悪くなり→コレステロールが多くなり→血管障害を中心とする生活習慣病になってしまう。という取り過ぎは病気の原因となりますので取り過ぎのないように気をつけてください。
脂質の多い食品はコチラ…
この3大栄養素「糖質・タンパク質・脂質」が運動をするエネルギーとして必要になるのですが…その他にもプラスアルファとして必要な栄養があります。
ビタミン…糖質・脂質をエネルギーに変えたり、またアルコールを分解したり調節してくれる役割をしてくれてます。
- ビタミンB(B1・B2・B6)が3大栄養素をエネルギー(特に脂質をエネルギーに活用するのに必要な栄養素)の代謝に関わる働きをしてくれてます。
- ビタミン(C・E)、ベータカロチンも運動すると発生する活性酸素を除去するのに有効です。
※活性酸素は細菌やウイルスを破壊してくれるのですが…体内に大量にあると正常な細胞も攻撃してしまうので一概に悪いモノとは言えませんが…。
といった栄養素が運動に必要になってきます。
実際バランスの良い食事。…ってもどうしたらいいのでしょうか?自分は厳密にしちゃうと追い込みすぎて続きそうになさそうなので単純で簡単な事になるような説明をしていきたいと思います。
バランスのとれた食事をしよう
って言っても毎日、面倒な事は自分には無理です。絶対やらない!と宣言できるくらい続かないでしょう。…という事で簡単・単純にしてやりやすいようにしてしまおうと思います。
摂取する食品の中で多く摂取する順にランキングをしていきます。
といった表のように番号の割合の量で摂取するとバランスが良さそうです。ちなみに自分の場合は野菜・フルーツの順位が低めなので野菜を多く取る必要があるみたいです。
次に一日に必要なカロリーはどのくらいなのか?
一応、計算式があるので計算してみるのも面白いかもしれません。試しに自分を例に出してみますのでやってみてください。
標準体重からカロリーを割り出す方法。
- 標準体重を出す。
身長(m)×身長(m)×22=標準体重。
175cmなので…1.75×1.75×22=67.375kg…計算しにくいので67kgで進みます。 - 体重に25〜30をかけた数字が必要なカロリーです。
67×25=1675kcal
67×30=2010kcal
つまり、67kgの人は1675〜2010kcalが一日に必要なカロリーになります。プラスして運動して消費したカロリーが必要になりますので、その日に合ったカロリーを摂取しないとには言えませんので最低のラインと認識した方がいいです。
目標体重から計算する方法。
自分はやせ気味でクライミングには軽い方が有利になるので太りたくないのでこの計算方法になります。
- 目標や現在の体重に25〜30をかけた数字が必要なカロリーです。
自分が59kgなので試しに59kgで計算したいと思います。
59×25=1475kcal
59×30=1770kcal
現在の体重では一日、1475〜1770kcalが必要なカロリーになります。プラスして、その日の運動して消費したカロリーが必要になりますので一概には言えませんが最低摂取カロリーはこうなります。
比較してみると標準で計算してしまうと標準体重の運動をしていない日のカロリーで運動した日のカロリーを補える事になります。
計算が面倒な方にはコチラ。
ざっくりなので厳密には言い切れないですが…こんな感じになります。
男性
- 20代:1800〜2800kcal
- 30代:1750〜2750kcal
- 40代:1700〜2700kcal
女性
- 20代:2250〜3550kcal
- 30代:2200〜3500kcal
- 40代:2150〜3400kcal
ふり幅が大きいのは何もしない日と激しい運動をする日をざっと出した場合です。
個人的には、意外に女性の方が多いのはびっくりしました。スイーツを欲したり、デザート別腹などでカロリーを補ってたりするんだなぁ〜と改めて、それ必要!大事!と納得する数字です。
食事メニューを考えよう。
ここまで栄養やカロリーなどで基本的な事を勉強してきましたが実際に例を出してメニューを考えて行きたいとおもいます。
まず、朝はきっちり食べましょう。
朝食を抜いてしまう人は自分を含めて多いのではないでしょうか?やっぱり朝食をとる事によって集中力が高まるのでちゃんと食事をする事をオススメします。
なかでも一番手っ取り早いのがシリアルです。ドライフルーツ入りのモノで、カロリーが表記してあるので計算しやすくし尚かつ味もおいしいのでオススメです。
ケガしにくくする食事。
ケガを防ぐためには、食事での効果を期待するには疲労回復をしてきっちりしたパフォーマンスを行える体になるのが一番です。
必要栄養素…タンパク質/ビタミンA・C・E
[メニュー]
そしてケガをした部位ごとに摂取するべき栄養素
筋肉をつけやすくする食事。
説明する事なくクライミングは筋肉を必要とするのでパワーアップをしたい方におすすめです。
必要栄養素…タンパク質/炭水化物
[メニュー]
- お米/パン
- 肉/魚
- 豆類&卵
- 牛乳
運動後15分内ならば穀類が即刻性のあるエネルギーになるモノなのでオススメです。
米やコーンフレークがタンパク質や炭水化物を多く摂取できるのでオススメです。
持久力系の筋肉をつける食事。
持久力を付けるために必要な栄養素は糖質(ブドウ糖)と鉄分です。鉄分を摂取する際に一緒にビタミンCを取ると吸収効率があがり効果的です。
[メニュー]
- お米/パン/パスタ
- 肉/魚
- レバー+レモン汁をかけると同時にビタミンCも摂取できて一石二鳥。
- 野菜
クライミング前の食事。
動く前にはエネルギーとして消化の良い炭水化物がオススメです。3〜4時間前に食事をして運動開始時点でエネルギーとして貯えられる食事をしましょう。
炭水化物の多い食品
- パン
- うどん
- お米/お餅
などは2〜3時間程度で消化されるので運動前におすすめです。
良く消化の良いバナナ。って言われたりするのですが普段の食事でも消化の時間を考えれば問題はなさそうです。
ここまでの話をまとめると…
ここまで、いろいろ書いてきてゴチャゴチャしてきたので…この辺でひとまず整理したいと思います。
まず毎日人それぞれ必要なカロリー(計算したモノ)を…
- 主食
- 野菜・フルーツ
- 肉・魚などおかず
- 砂糖など調味料
の順の割合(量)を食べる。
基本的には普通の食事と思っていいです。
そして、自分の状況に合わせて食事のメニューを選択してください。
ケガをしにくくするには
肉 or 魚のおかずに
牛乳をプラスします。
クライミングのケアを目的にした食事
筋肉のゴールデンタイム。
栄養や食事の話をしてきましたが…栄養を一番効率的に摂取する時間があります。
良く筋トレなどの本などをみると「ゴールデンタイム」と言われ、運動後15〜30分内に摂取するのが一番効果的とされています。
…がしかし、ジムや外岩で終わった直後に食事をはじめてしまうのも、周りの人や帰りの時間などに影響がでてしまいます。そこで普段の食事のバランスを調整できる事からサプリメントを使ってしまうのも良い手かもしれません。
プロテイン
今まで筋肉をムキムキにするために飲むものと思ってたのですが…実際調べてみると思ってたモノと違いビックリしました。プロテインとはタンパク質を効果的に摂取できるサプリメントで筋肉をつきやすくする事や、疲労回復などさまざまな効果があり尚かつ目的別に種類も3つに分類されます。
に分かれます。そしてプロテインの役割はタンパク質を摂取するために買って飲む物なのでタンパク質の含有量が70%以上のモノを選んでほしいと思います。中には糖質が多めな物でタンパク質が少ないものもありますので、目的(タンパク質を摂取する事)を気をつけて選んでほしいと思います。
そして、中にはビタミン・ミネラルが配合されている物と配合されていない物もあります。筋肉を付けるために必要なビタミン・ミネラルなので食事で摂取できる人・自信がない人でビタミンの配合の有無を選んでもらえればいい思います。
筋肉を付けたい人に最も人気のあるプロテインがこのホエイプロテインでクライミングをやる場合多くの方がこのタイプを選ぶと思いますので、ホエイプロテインの説明をしたいと思います。
WPC製法
…濃縮乳清タンパク質と訳す事ができ、アミノ酸やカルシウム・ビタミンなどの成分も配合されたモノ。
比較的コストも安く、タンパク質も80%くらいまでの物が多い商品。
WPI製法
…分離乳清タンパク質と訳す事ができ、不純物を含まない純度の高いタンパク質を摂取できるモノ。
ビタミン・ミネラルは配合されていないが、その分90%くらいのタンパク質が摂取できる商品。
などがあります。
他にもウエイトを落としやすくする「ソイプロテイン」のオススメを紹介します。
アミノ酸
疲れをとりやすくするサプリメントというイメージだったのですが20種類のアミノ酸で結合されたタンパク質という事で。
- 筋力の向上
- 持久力の向上
- 疲労回復
という事でプロテインとそれほと変わりのないサプリメントとして認識しがちですが…より疲労回復に向いたサプリメントとして認識すると良いと思います。
これは運動中に摂取する事により乳酸の発生を抑える効果もあるのでパンプしにくい体作りを可能にし、エネルギーも効率よく吸収できるという事も運動中・運動後にも摂取できるサプリメントとしては他にはないサプリメントという事になります。
といったサプリメントを使うと…効率的な栄養を摂取、不足した栄養の補給など…食事だけでは補えない部分を補助できますので上手く使っていけると良いかもしれません。
ヤハケンの食生活の見直し
という事で今回、調べてみあまりのちゃんとしてない自分にガッカリしました。
今までは何も考えず食べたい時に食べたい物を食べてきて偏った食生活をしてきました。
基本1日に1食か2食程度しか食べてないので、1日の必要カロリーもギリギリな感じがしてますが…
あまり朝の物を食べるという事が生活のサイクルに無いので自分になりにできる範囲でやろうと思いました。
そして、自分のサイクルに合う食生活という事で…
朝は何も食べたくないので別の物で置き換えたい探してみると…牛乳+ミロ。牛乳単品より栄養があり尚かつ美味しい。
そして昼と夕食は合わせてしまうとして、今までよりは生活のサイクルを変えることなく食生活が少し改善されると思います。
あとクライミングのケアと成長を目指しプロテイン(サプリメント)でカバーしようと思います。これは、今の所ボルダリングに夢中なのでアミノ酸ではなく、プロテインでパワーアップも考えホエイプロテインでビタミンも補給しつつ疲労回復などにもつながって補って行こうと思いました。
ガッツリ食生活を見直しして改善するのが一番だと思うのですが…たぶん続かないので少しずつ改善して行こうと思います。
という事で簡単に補える物も増えていますし、必要な栄養素勉強したので、サプリメントなどでも補えてしまう世の中なので上手く使っていこうと。意外に簡単にできてしまうかもしれませんね。
という事で自分にあった出来る範囲で食生活を見直すのも上達の近道かもしれませんので是非見直してください。