開墾鍬(オイルステイン&ブライワックス仕上げ)の完成
北海道旭川・移住の記録 #21
2020年6月22日(月)。昨日は開墾鍬の楔打ちを失敗した。今日は作戦を変え、まずは柄の防御力を上げるためにオイルステインとブライワックスで塗装。そして今回は柄の中心ではなく端にクサビを打ち込んだ。こうして開墾鍬は無事に完成した。
鍬の柄にオイルステインで着色、そして笹刈り
開墾鍬の柄をオイルステインで着色する
朝、目覚ましもなく目を覚ます。きっとまた5時に起きてしまったと思い二度寝。そしてまた目を覚ます。5時40分くらいだろうかと思い時計を見る。5時40分ちょうど。とても嬉しい。
体が完全に出来上がってきている。毎日寝る時間が違う不規則な生活から、日が昇り目を覚まし、日が沈み眠るという生活に。これが普通なのだ。10年以上不規則な生活リズムで暮らしてきたが、ついに普通の、一般的な生活リズムを経験することが出来ている。悪くない。やはりエアウィーヴはいらないのかもしれない。
クルミは今日もなくなっていた。2個設置して、一つは入り口の柵の上に置いておいたがそちらもなくなった。リスか、カラスか。今夜は3つ置き、徐々に窓に誘導してみよう。
早速、昨日の開墾鍬の作成の続きだ。
まずは昨日の失敗して出来てしまった中央の溝をパテで埋め、失敗したとバレない様に細工する。その後商品名の入ったシールを剥がし、180番のヤスリを用い柄の表面を軽くならす。
なお今回はクサビを中心に打たず横に詰め込む感じで打つ。なのでその分の柄も削る。
続いてオイルステインの「チーク」で柄を着色。一応、水気への対策になるのではなかろうか。それにこういった改造はとても楽しい。
こなれてきた半森ぐらし
オイルステインを乾かす間に草刈りだ。
今にもお隣さんの領域に踏み込みそうな笹を狩る。笹の頭だけ刈っても根は静かにお隣さんちに忍び込むので、なるべく根こそぎ刈るように努めた。
そんな努力の甲斐もあって、今日はメートル級が何本も収穫できた。しかしその一方で、勢い余ってなんかの木の根っこも刈ってしまった。
笹は賢いのか、たまたま偶然なのかはわからないが、他の木の根っこがあればその下を通る事が多い。笹の茎を辿って根っこを引きちぎったつもりだが、いざ根っこを取り出すと「どなた?」ということがまれにあるのだ。
なるべく木の周りを掘るときは注意をしているつもりだけど、木の根もかなり遠くまで根を伸ばしているのだ。本当に申し訳ない。そしてこのことはすっかりと忘れてしまおう。
そうやって笹の根っこを引きずり出しながら刈っていたので、かなり地面がぐちゃぐちゃになってしまった。お隣さんのきれいな土地まで汚らしくなってしまったので、何事もなかったかの様にカモフラージュをする。
掘り起こした部分は踏み硬め、その上に枯れ葉を撒き石を乗せる。そして明るい色の砂を持ってきてパラパラと撒く。そして最後は掃き清める。坊主が枯山水を作るが如く、自然の風景を演出するのだ。
半森暮らしに少しは慣れてきた気がする。よそ者の僕は、当初は背を曲げて視線を落とし、申し訳なさそうに遠慮気味に森の中を歩いていたが、今はどうどうと胸を張って闊歩できる様になった。「俺がこの森の主である」とそういう謎の自覚が芽生えてきた。
スズメバチの巣を破壊し、スズメバチに嫌がるスプレーを吹きかけ、鬱陶しい虫を追い払い、家のクモはダイソンで吸引し、笹などの雑草を無慈悲に借り、カラスを追い払い、リスにはクルミを分け与え、マルハナバチには屋根裏を貸してあげる。そんなことを毎日繰り返しているうちに、森の主的な自覚がでてきたのかもしれない。
鏡の前で手ぬぐいで汗を拭きながらそんなことを考えている。体重が落ち、体がしまって来たように思う。このまま野良仕事を毎朝続けていれば、そのうちクリスティアーノ・ロナウドみたいな体になれるかもしれない。
ブライワックスを塗り、クサビを打って開墾鍬の完成
柄にブライワックスを塗りワックス仕上げに
笹刈り前に塗ったオイルステインがこの短時間で乾いたとは思えないが、とっとと作業を終わらせたかったので先に進む。
まずは240番のサンドペーパーで柄の表面にできたケバを軽く取る。その後ブライワックスのミディアムブラウンをスチールウールで塗り込む。そしてしばし放置。
ブライワックスを塗った鍬の柄を放置している間、入り口のテラスの柵の上にクルミを配置してみる。
考えてみるに、最近リスの目撃頻度が高いのは、僕が毎日クルミを置いているからではないだろうか。ここいらにクルミが落ちていると知っているリスが、ちょいちょい確認しに来ているのではなかろうか。そういうわけで、昼間からもクルミを置いてみるが、森のアイドルのリスは、そう簡単には姿を現してくれないのだろう。
屋根がパラパラ、雨が降ってきた。リスはどこで雨宿りしているのだろうか。
柄に塗ったブライワックスが馴染んだ頃、スチールウールで磨く。本来はタワシが適ししているのかもしれないが、タワシがないのでスチールウールを使ってみる。
柄を磨いていると、先に塗ったオイルステインが落ちているのがわかる。流石に乾燥時間が短すぎたのだ。しかし色合い的にはちょうどいい塩梅になった、と思う。そしてブライワックスの艶も適度にでてきた。
柄にクサビを打ち込み、開墾鍬の完成
そして最後はクサビ打ちである。今回は中央ではなく、細く削った外側の短編の隙間に打ち込む。金槌で打っていくと適度に、いい感じにクサビは入る。キンキンと音を部屋中もしくは町内の終わりまで響かせて打っていく。するとどんどん入っていく。
もっともっと最後までクサビを打ち込みたかったけれど、自分にはこれ以上のパワーもなく、またそろそろ騒音も心配なのでやめることにした。
こうして移住第一号のDIY、開梱鍬が完成した。
出来は30点くらい。一番のミスは柄を削り過ぎてしまったこと。柄と刃先の間に隙間がたくさんできてしまったので、再び細めのクサビを両サイドに打つか、あるいはグルーガンなんかでシーリングをしたほうがよいのかもしれない。隙間に泥が入り込むと柄を痛めてしまうかもしれない。
これだけ本気でクサビを打ち込んだのだから、そうそう飛んで行くことはないと思うが、柄のフィニッシュをワックスにしてしまったので滑る。柄ごと飛んでいくかもしれない。
そして湖に落ち、金の鍬か銀の鍬か、みたいな。