"ヒルクライマー" 自転車で山登り
本気で山を攻めたくなる本
「ヒルクライマー」という本を読んだ。
なんのテレビ番組をみたのかわからないけれど、突然親父が「お前ヒルクライムって知ってるか!?」と訪ねてきた。夜中に、大声でだ。隣の部屋で寝ていた姉が「うるさい!」と怒鳴った。
「ヒルクライマー」と聞き、「ああ、自転車で山に登るんだろうな」と思った。昔マガジンかなんかの漫画でそのカタカナを見た事がある。しかし話しを聞いていると、どうやらそれは本当に山を自転車で登るだけの競技で、下りはないらしい。赤城山でのヒルクライマーの大会のテレビプログラムをみて親父は熱くなったようだ。「面白そうだ」と言っていた。
確かに僕もそう思う。数年前東京から沖縄までランドナーで旅をしたけれど、一番気持ちのいい場所は峠を登っている時だ。峠では車の数が極端に減り、辺りがシンとして空気が変わる。重たい荷物を背負ったランドナーでよろよろの登りだったけれど、それでも峠が一番気持ちよかった。ギアを一番軽いのにして、必死にペダルを回してもがきながら頂上にたどり着く。自分自身と格闘してそれに打ち勝つ。その達成感はたまらない。でも競技であるヒルクライムとは感覚が少し違うかもしれない。競技には出たことがない。あくまで自分の自転車は移動用だ。
アマゾンマーケットプレイスで買った中古のヒルクライマーが届いた。
1ページ目で読むのを諦めようと思うような文章だった。説明的すぎて言葉が頭に全く入ってこないし、人と人が3流CMの様な会話をしている。まいったなあと思ったが、それでも根気よく読む事にした。そしたらそれはだんだんと気にならなくなった。
読み続けるうちになかなか面白いんじゃないか、と思い始めるようになった。僕自身、山を自転車で登るということが好きと言うこともあり、本を読みながら自分が山に登っている事を思い出した。頭に映像も浮かんだ。特にレース中の描写はテンポが良くて疾走感がある。素早い画面展開は気持ちがいい。
ヒルクライマーを読みながら、もう僕は山に登りたくなっていた。自分が必死にペダルをまわして坂道に悶えている映像が頭に浮かぶ。影響を受けやすいのかもしれないな。
この「ヒルクライマー」、文章はどうかと思うがそこまで悪い本じゃない。嫌いじゃない。気楽に読めるし山に登りたくなった。それが一番重要なことだ。
今僕のランドナーは自宅と駅の移動用として使っている。整備はほとんどしない、というかやり方がよくわからない。たまにCRCをチェーンに噴きかけるのとタイヤに空気を入れるだけ。カンチブレーキのセッティングはめちゃくちゃ。でもいつかはびしっと整備して、もっと快適に走るマシンに生まれ変わらせたい。
それと同時に、近い将来昼クライミングにも挑戦したい。本気で山をチャリを攻める気分を味わいたい。峠でもがきたい。頭の中で色々な葛藤と戦いたい。
登山もそうだけれど自転車も年食ってもできる。まだまだやりたい事がいっぱいだ。