登山何日目でもOK。一品で満足なバジリコパスタ
今回は比較的山でもうまく作れて、軽くて用意も簡単なバジリコパスタの紹介です。シーチキンのアクセントが効いて食べやすいですし、カロリーもたくさん補えるのがうれしいメニューです。シーチキンと交互に食べれば、食感もちがうので一品でも結構満足できますよ。
バジリコパスタの食材
サラスパ
登山の定番。長さが短いのでコッヘルに入りやすいのと、かつパッキングしやすく、さらにジッパーの袋に入っているので登山には便利。さらに細いので茹で時間も4分と短く、200g入りなので二人分にちょうど良いし、一人なら二回分にピッタリ。エネルギーも一食あたり(100g)358kcalと高く、パワーをチャージできる。はごろもフーズより100円と値段も安いのもうれしいですよね。ただやっぱり細いので麺の食べごたえ的には普通のパスタと全然違うなぁという印象があります。
シーチキン 「液切りしないで使えるツナフレーク」
これは登山の料理にはちょうどいいサイズで、かなりオススメです。油漬けの普通のシーチキンなんですが、たっぷりの油ではないので捨てる必要が無いことと、何よりも缶のゴミが出ないのがすばらしい。50g入り、126円。今回のように歯ごたえもなくひとつの味のメニューにはすごく大事なアクセント。スーパーで売っていない場合は、取り扱いをお願いしてみてはどうでしょうか。
粉末バジリコ
2人分で6gととにかく軽い。2袋(2人前☓2)で110円。粉末パスタソースは各種発売されています。
オリーブオイル
大さじ2杯(30ml)。小さい入れ物に入れて持っていきます。
今回の食材全部。2人分、 288gと夕食には軽め。また、二人分で281円(一人141円)とまぁまぁ安いかな、と思います。
作り方ー贅沢バージョン
パスタの硬さにうるさくて確実においしいパスタを食べたい人で、かつ水場環境と燃料と時間が許す方は以下のように茹でるとベストでしょう。
1. 茹でる
一食ずつ茹でます。1Lの水を沸騰させ、1人前(100g)のパスタをいれて、写真のように常にゴボゴボと沸騰させながら4分間茹でます。 お湯がテント内にこぼれないように注意して下さい。
2. オリーブオイルと粉末バジリコを和える
お湯を捨てて、オリーブオイル(一人15ml)を全体に和えたあと、粉末バジリコを混ぜます。1食づつ茹でた場合、バジリコの配分に注意して下さい。
3. 盛りつけてシーチキンを乗せたら、できあがり
冷めたり伸びたりするとまずくなるので出来た人から順次食べます。
普段の生活では、これに角切りトマトを乗せるとさらにおいしいのですが、登山に持っていくのはなかなか難しいですね。荷物に余裕のある場合はぜひためしてみてください。その場合はタッパーに入れて運ぶと良いですよ。
パスタの量は普通のレストランとかで出る量と同じ一人前(100g)なのでかなりしっかりした量があります。なので逆に、シーチキンという味の変化が無いと食べ飽きてしまう、かもしれません。私は「具のないラーメン」とか、味に変化のない食べ物は苦手なのでこのツナのおかげでおいしく食べることが出来ます。それでも飽きた場合はマヨネーズもいいかもしれません。
検証―水と燃料を節約して茹でる
これはTV番組でやっていた、ゆで時間短縮テクニックのアレンジです。サラスパの場合はどうなるか、さらに水が少ない場合でも出来るものかと試してみました。1. パスタを水に浸しておく
200gのパスタ(一袋、2人分)に400mlの水を入れ1時間浸しました。
白く濁ってそうめんのようになりました。こうすると短時間で、もっちり茹で上がるというのですが、どうなるでしょうか。
2. 1分間火にかける
火をつけて、かき混ぜながら1分ほど茹でます。すぐに火が通った部分から黄色っぽくなります。水分は1分火にかけた時点でほとんどなくなりました。
3. 1分間蒸らす
タオルなどで包んで、1分間予熱で火を通しました。写真がボケていますが、開けた頃には全部のパスタに完全に火が入り黄色くなっていました。
食べた感想は、沸騰させ続けて茹でた時よりも茹で過ぎな感じがしました。1時間という浸し時間はサラスパには長すぎたのかもしれません。またはお湯を少なくして捨てなかったので粉っぽくなったのかもしれません。延びた麺を食べるのが苦ではない人は、浸し時間や水の量や蒸らし時間を調整して山でも使える省エネな方法を試してみるのもよいかと思います。
登山と麺を考察
山で麺をうまく茹でるのは難しい
3で検証した方法は確かに環境にも良くいろんな面で省エネですが、私は登山で麺をおいしく食べたいなら、贅を尽くすしかないと思います。
というのも、標高の高いテント場で外界並においしいと満足できる麺を茹でるのは本当に難しく、私が登山中にさまざまな麺を食べたなかで、「もっと食べたい」と思えるほど美味しくゆであがった記憶は1回しかありません。
それは湧水が豊富にある場所で 「そうめん」 の昼ごはんを企画した時です。お湯を沸かす時間や燃料消費も考えず、大量のお湯を沸かし、大きなコッヘルで激しく沸騰させながらそうめんを茹で、やかんについていたアミで素早く水を切り、全員分のコッへルを総動員して予め溜めておいた湧水で一気にしめる(冷やす)という方法で成功しました。豊富な湧水と言っても、4人分のそうめんを延びさせずに一気に冷やすにはそうしないと足らなかったのです。そのおかげで、外界と遜色ないおいしい冷えたそうめんが出来ました。しかしこのときは実験も兼ねて時間をかけてやってみたのですが、普段の登山ですとなかなかこんなことやっていられませんよね。
麺がまずくなる理由
その他の麺を食べた記憶といえば、ラーメンでもにゅうめんでもスープパスタでもなんかクテッとして予想以上にスープが少なくなってしまってドロドロっぽくなってしまう事が常でした。「山で食べるものはなんでもおいしい」と聞きますが、経験上はお米や麺は外界で作ったほうがおいしい気がしています。なぜかと考えてみると、思いついた理由は以下のとおりです。
- 標高が高くなると沸点が低くなる(2000mなら93℃)
- スープを捨てられないので残すまいと水をついつい少なめにしてしまう
- 普段の鍋と違うコッヘルで作るので水の分量を誤ってしまう
- ちいさなコッヘルで数人分作る時はさらに水の分量を誤って少なめにしてしまう
- 外気が外界より低い上に全体がアルミやチタンの薄いコッヘルや食器からは熱が一気に逃げてしまう
- テント内であってもすきま風などで火が不安定になり、想像よりも低い温度で調理している。
最も根本的な理由は沸点の低さに依るのでしょうが、このようないろんな理由で総合的に温度が低く水が少ないためドロンとしたマズイものが出来てしまうことが多いのでは無いかと仮定します(水が少ないことは温度も低くさせます)。であるならば、なるべくお湯の温度を高くキープしながら調理する必要があります。そうなると2でやった贅沢バージョンになってしまいます。お湯は多く(充分に)、茹でるものは少なく(お湯の温度を下げないように)、火力は最大で、というわけです。
炊飯の原理が通用する?
また、パスタでは未検証ではありますが次のことも山でおいしいパスタを食べるためのヒントになるのでは無いかと想像しています。
- 日本酒を少し入れて茹でる
- 水に浸しておいてから調理する(2で検証したやり方)
日本酒を入れるというのは、お米を炊いた時に芯飯から復活させる時のテクニックとして昔教わったことがあります。日本酒にどんな力があるのかは定かではありませんが、もしこれが本当ならパスタにもなにか良い影響を与えてくれる気がします。水に浸すのは、同じくお米も水に浸すからです。もちろん外界でも浸すのですが、山の上でお米を炊く時に浸すということは芯飯を避ける大きなポイントとなるからです。ぜひみなさんも標高の高いところでも麺を上手に茹でる方法を検証してみて下さい。