登山・キャンプでのおいしいご飯の炊き方
とっても簡単で、美味しく炊ける方法です!
山やキャンプでのご飯の炊け具合は食事の満足度を決定します。おかずの味が少し微妙でも、ご飯さえ美味しければたいていは満足のいく食事になります。
お米が炊きあがるまでの約20分、担当をしっかりきめて気合いを入れて火を見守りましょう!
なお料理道具は「登山の料理道具と食事道具」で解説しています。
おいしいご飯の炊き方、手順
1. 必要な道具
- お米(無洗米)と水
- ストーブ
- クッカー(コッヘル)
- ガスカートリッジ(燃料)
- ぐんて、手袋
- ライター
2. お水の計り方
炊飯用の水を計るためだけに計量カップを持っていくのはナンセンスです。
自分の使う食器のコップなどに計量カップ1杯分の200mlなど、目印をつけておくと何かと便利です。粉ココアやスープを溶かす時などにも目安になって役に立ちます。
アルミのコップの内側に200mlの目印をナイフで付けたり、プラスチック製の食器なら外側にシールや油性マジックなどで書いてもよいでしょう。
ナルゲンボトルなどはじめから目盛りが付いたドリンクボトルを持っていると簡単ですね。
3. お米の量と水の量
米は洗わなくてよい無洗米がベストです。これなら米のとぎ汁で山を汚すのが気になるくらいの超自然愛護家の方にも安心です。米を誤って流して罪悪感を感じることもありません。
お米は1食分ごとにビニール袋に分けて持っていきます。
私は、男性は1食1合、女性は0.5~0.75合を目安にしています。男性が1人、女性が2名の1食分なら約2合を1食分としてビニールに入れていきます。
お米1合=150~160g。水の量は米の重量(g)×1.2倍、無洗米の場合は1.45倍が適当です。
つまり1合の無洗米に対して230mlとなります。
- 無洗米1合の水の量:220~230ml
- 通常米1合の水の量 180~190ml
4. 炊き方のポイント
山や標高の高いキャンプ場では標高が高くなるにつれ気圧が低くなり、すなわち沸点が低くなります。
お湯は100度に行かずに沸騰してしまうわけですから、米をはじめそばやそうめんをゆでるなどのデンプン系は、よくよく注意しないと粉っぽさが残る場合があります。そして米の場合は芯が残ってしまう場合もあります。
また、風や外気の低さが火の強さや鍋の温度に影響しますので「芯飯(しんめし)」を防ぐために以下のポイントが重要です。
- 可能な限り米を長く水に浸しておく。芯飯の発生を防ぎます。
- 風の当たらないところで炊く。火の調節が命です。
- 鍋とフタとのスキマを無くす。フタの上に缶詰など重石を置いて圧力と鍋内の温度を保ちましょう。
- 時間をキッチリ計って火の調節をする。
- フタを開けてチェックするときは瞬間的に終わらせる。鍋内の温度を下げるのは厳禁です。
5. お米の炊き方
上記のポイントを守って以下の手順で行いましょう。両手に軍手をはめることを忘れずに。
テント内で炊く場合は吹きこぼれ用に雑巾があるとよいでしょう。また、ストーブの燃料が20分もつかを確認して、スタートです。
- ストーブの最大火力で吹きこぼれる直前まで火にかける。
- 吹いたらサっと鍋を持ち上げる(吹きこぼれるすぎるのを阻止するため)
湯気がウデにかかると超熱いので注意! - ストーブの最少火力で20分、そのまま放置。
火が消えるか、消えないかくらいの火力。消えてないか時々チェック。
以上です。ポイントを守ってこの通りに炊けば3000mくらいの標高でもほぼ、うまく炊けます。
食べるまでに時間があるならタオルなどに包んでおけば保温もされてさらにヨシ!です。
「炊き終わる最後に10秒最大火力で水分を飛ばす」という説もありますが、鍋が焦げて洗うのが面倒なため、べつにやらなくてもよいと思います。
芯飯ができてしまったら
万が一芯飯ができた状態で鍋内に水がなかったら、お湯(なければ水)を少し足して鍋の中を一度沸騰させ、同じく沸騰後最少火力で5分くらい様子を見ながら炊き続けます。
あれば日本酒を少し入れるとよい、という説もあります。
要は、「吹いて(沸騰して)から20分」の状態を延長するのです。一度沸騰状態に持っていくことを忘れないでください。
実際にご飯を炊いてみよう!
クッカーを使ったご飯の炊き方を詳しく解説したいと思います。
上で説明した方法で、様々な環境で今まで100回以上はご飯を炊いてきました、ほとんど美味しく炊けています。
しかし、あまりにも気温が低すぎる時は美味しく炊けないこともあります。
この場合テント内など暖かい場所でご飯を炊くのがベストですが、なければストーブ用の風防を用意するだけで結果は断然変わってきます。
今回用意したものは下記のものです。
- アルミのクッカー
- 無洗米1合
- ナルゲンボトル 500ml
- ガスストーブ
お米の袋に水の量を書いておく
今回は男性一人分のお米1合を用意しました。無洗米なので水の量は230ml。
あらかじめ袋に水の量を書いておけば、米に対して水はどれくらいだったけ・・・とテント場で悩む必要もありません。
私はテント場で疲れ果てて頭がまわらないことが良くあるので、なるべく現地では頭を使わない様に準備しています。
ナルゲンボトルで水の量を量る
ナルゲンボトルを使って水の量を量りました。左のメモリがミリリットル、右はオンスになります。
お米を水につける
芯飯を作らないためにも、美味しいご飯を炊くためにもなるべく長い時間お米を水に浸しましょう。テント場、またはキャンプ場でテントを張ったらすぐに米を水につける、くらいの気持ちでも良いかもしれません。
クッカーは底が深いもの、スノーピークのトレック900や1400などのクッカーは収納に便利ですが、経験的に底が浅いものの方がむらの少ないより美味しいご飯が炊ける気がします(もちろんトレック900、1400でも美味しく炊けます!)。
素材はアルミです。チタンのクッカーで炊いている人も中にはいますが、ご飯をたくなら基本はアルミです。
まずは強火にかける
写真ではあまり強火には見えないかもしれませんが、結構強い火です。クッカーにはお米1合分の量の水しか入っていないのであっという間に沸騰してしまいます。
ガスストーブのパワーは以外と強いので、あまりにも強すぎると大変な吹き方をするので注意しましょう。
ストーブは長年愛用しているEPIのREVO-3700です。点火装置付きですが、壊れることもあるのでライターは持参しましょう。
お湯が吹いたらすかさず弱火にする
フタがカタカタと鳴り始め、フタと鍋の隙間に泡プクプクとでてきたら「吹く合図」なので集中します。そしてその後、吹きこぼれたら火力を弱めます。
なるべくなら吹きこぼれる前に火力を弱めたいところですが、経験的に多少は吹きこぼすくらいまで沸騰させてあげた方が美味しく炊ける気がします。
フタに圧力をかけ極力弱火にする
ここでストーブの火をできる限り弱めますが、クッカー内の水が最低限沸騰しているくらいまで弱めます。
また、外気温が低ければやや強めにしたりと状況によっては火力を調節する必要があります。ここでの火力が強すぎると焦げやすくなりますし、弱ければ芯飯だが出来上がります。
また弱い火は消えてしまうこともあるので適度に確認します。
フタの上に乗せる重石ですが取っ手つきのクッカーなら必要ありません。写真の様に、間に何かを挟むことで圧力をかけられます。
ちなみにここで使用しているクッカーはトランギアというメーカーのクッカーセットのものです。
大きなフライパンとお皿もセットになったクッカーで重いのですが、本格的な山ごはんには欠かせない道具です。
登山用というよりは、どちらかと言うとキャンプやツーリングに向いたクッカーかも知れません。
という感じでのんびりと書いていますが、この辺の動作はぱぱぱっとやります。
そのまま20分待つ
写真では見えないですが、鍋とフタの隙間から蒸気がでている写真です。
20分間待機している時のクッカーの様子ですが、フタの隙間から蒸気が常にでている状態で、またその隙間から水がぽとぽととたまに落ちる感じです。
炊き始め前半はクッカーからクツクツと音が聞こえるかもしれませんが、やがて音は止みご飯が炊ける匂いが拡がり始めます。
クッカーから蒸気は20分間ずっと出ていますが、後半は量が少なくなるので見えないこともあるかも知れません。もしかなり早い段階で蒸気が出なくなったなら注意してください。焦げた匂いがしないか匂いの変化を感じ取りましょう。
クッカーを保温してご飯を蒸らす
20分経ったら、タオルやフリースのジャケットか何かでクッカーを覆い保温します。私は寝袋に入れて保温します。
出来上がり
しばらく保温したら完成です。ほんのりとおこげのある、味も食感も申し分のない美味しいご飯が炊きあがりました。
最後にクッカーの掃除の話しになります。
火加減を失敗してご飯が底について取りづらいこともあるかもしれません。その際は、下記のリンク先でクッカーの掃除方法を紹介しているので参考にしてみてください。