ソロストーブ / Solo stove とクッカーを使った”石焼き芋”の作り方
初使用でお米を炊くことが出来たソロストーブ、今度は石焼き芋を作りに挑戦しました。
さつまいもって、蒸かしたりチンしたらあっという間に食べられる物を、あえて1時間かけてじっくり焼くと甘ーくなるんですよね。 こうしたガス代をたくさん食うものに、燃料代のかからないソロストーブが向いているのでは、と思ったのです。
石焼き芋の石を買う
石焼き芋に使う石はどうしたら良いのだろうか?
ネットの情報では河原の小石でもいいし、100円ショップで売っている園芸用でもいいし、溶岩石が熱にはいいし、割れるものはダメだとかいろいろ書いてある。なんでもいいわけではないらしい。
近くに河原があったら拾いに行くか迷うところだったけど、あいにく無かったのでネットで買えないかと考えたところすぐに買えた。キャプテンスタッグというアウトドアメーカーが販売している。しかも個人向けの小サイズ、3キロだ。焼き芋用石だから何も考えなくていい。
届いた石には ”天然石” とだけ書いてある。平ぺったいグレーの石だ。ツヤのあるものとないものがある。なんだか意外でもあった。たしかに河原にたくさんありそうだし、一軒家の玄関わきとかにたくさん敷き詰めてありそうだ。
よく洗って、完全に乾いてから使うということだ。湿ったままで使うと破裂するという。
そうは言っても一応”洗え”って書いてあるだけでしょー?と思いながら洗ってみたら、けっこう汚れている。3回目洗い終わった所でも、こんな感じで水は濁った。
石はツルツルに見えるけど表面の小さな凸凹にこまかな砂がたくさん付いているんだろう。面倒くさいので3回で止めにした。
そして外に干した。このグリーンのバスタオルはけっこう汚くなった。
ソロストーブ使用前の準備
燃料の枝など
小枝となんかの木の実と、火付け役の杉の葉。今回は1時間火を炊き続けるので足りるかなーと心配になった。(結局これでは30分も持たなかった。なんかの木の実をさらに14個と杉の葉をさらに一掴み使った。)
その他の道具
1.ソロストーブ
ソロストーブとは、木の枝や松ぼっくりなどを燃料にするストーブ。構造は一見アルミの筒のようになっているだけなんだけど、下に穴が開いていてそこから取り込んだ空気で気流ができて、少ない燃料で面白いほど燃えるというもの。255gと軽い。
2. 角型山用クッカー(フタあり)
ダッチオーブンで石焼芋を作る人はたくさんいるんだけど、登山ではダッチオーブンは重すぎて持っていけないので登山用のクッカーでトライしてみたいと思います。空焚き状態が続くと思うんだけど、大丈夫なんだろうか、という心配もある。
3. さつまいも
石焼芋は皮ごと食べるのでよく洗っておく。
4. マッチ
火付け用に、1本使うだけ。
5. 石鹸
ホテルに泊まった時の洗顔セットに入っていた石鹸。石鹸水を鍋底に塗ってから火にかけると煤(スス)が落ちやすいというので、今回はこれでためしてみることに。
6. 軍手
7.石
これまで知らなかったことですが、那智黒石(なちぐろいし)という囲碁の黒い碁石や書道の硯(すずり)に使われる石があって、それが石焼き芋にはとても良いそうです。
黒いほど遠赤外線の放出がよく、熱にも強いとのこと。私が買ったものはそれかどうかわかりませんがとても良く似ています。
定価では1kgあたり500円とけっこう高いので、ほぼ同種ではないかと思います。もし河原で拾おうと思う人は、囲碁の碁石を目標にして石を集めたら良いんじゃないかと思います。
クッカーに石鹸を塗る
ソロストーブが登山で使いづらい点は、クッカーにススが付くことだけだと思います。キャンプの時などは、鍋底を水で濡らして、そこに粉末のクレンザーを激しく振りかけるとパリパリと焦げが落ちると習いました。
しかし環境への影響を考えるとどうかなと思い、ショップの方が勧めていた「石鹸水を塗りつける」をやってみました。
ホテルでもらった小さな洗顔用石鹸に水を数滴垂らし、ヌメヌメとなべの周りに塗りつけます。結果がたのしみです。
クッカーに石と芋を詰める
まずクッカーの底が見えなくなるくらい石を敷き詰めます。そこへ芋を並べて小石で埋めます。芋は細かったので5本入りましたが上の方は石の下に隠れきれていないものも出てしまいました。石は1/3ほどあまりました。
石の箱に書いてあった説明によると、石を底が見えないくらいに入れて30分温め、それから芋を入れて石をかぶせて30分焼くらしいです。途中3回くらい芋をひっくり返す、とのことです。
庭ならできるけど、登山ではムリですよね。ひっくり返すにはアチアチの石を取り除くお玉と入れ物が必要だし、芋をひっくり返すトングか箸も必要。やけどしそうで危ないし、クッカーが小さくて満杯。何をする余裕もない。ということで、初めから全部セットして冷たい石から火にかける方法でやってみることにします。
大根やにんじんなどの根菜類で味噌汁を作るときも、冷たい水から茹でると甘くなるって言うじゃないですか。だから冷たいところからスタートしてもいい気がするんですよね。
燃料に着火、そして1時間焼く
以下、時間の経過を追って解説します
燃料に着火
予めゴトクをおいて、枝をポイポイと適当に詰めます。一番上には杉をおいて、マッチを一本ポンっと乗っける。
3分後 火柱が立つ(二次燃焼)
瞬間的に杉の葉に火がつき、中のものがユラユラと燃え始める。3分経つ頃には、タテに長い火になる。おそらくこれが、二次燃焼。今回は燃料不足が心配なのでとっととクッカーを乗せる。
クッカーを置く
クッカーが重い。これはダッチオーブンでは難しそうだ。倒れないようにしないと。
火はバッチリ、クッカーの底にあたっている。
火が弱まったら枝をポイっと入れて火をつなぐ。枝にはすぐに火がつく。やっぱり細いものはすぐに燃えてしまう。
30分後 燃料が尽きる
一番上の写真の燃料が尽きた。あ~あと30分燃焼しないと~
ということで、変な木の実をさらに14個と、一時的にしか燃えない杉の葉をチョコチョコと入れて火をつなぐ。
弱い風があって同じ方向に火がなびいてしまうので、たまーにクッカーの向きを変えてみる。登山ではほとんどがテントの中で調理していたけど、ソロストーブは常に屋外で使うので風防を買ってもいいかもしれない。
40分後 たまにジワ~っと音がする
クッカーの中で垂れた水滴が熱い鍋底に当たって蒸発する音がたまに聞こえる。クッカーのフタとのすき間からは蒸気が出ている。
フタをキッチリ締めたほうが圧力で美味しくなる気もするけど石が邪魔してフタが締まらない。うーん・・・ レンジしないとダメかなぁ~という予感がする。
適当に突っ込んだ杉の葉にはすぐに火が付き、ちゃんと入れないとこのように落っこちてしまう。ここはコンクリートだからいいけど登山の場合だったら下に耐火の板があると良いかもしれないなぁと思う。
また、燃料をくべるのに何か小さいトング的なものがあると良いかも。今度100円ショップで見てみよう。
さらに杉の葉を継ぎ足しつつ、火を保つ。
しかし本当に驚くのが、どれだけ燃料を入れてもこの小さなソロストーブの内部は全然いっぱいにならないと言うこと。
普通に一枚の紙を燃やそうと思っても、一部だけ燃えて火が消えてしまったり形を保った黒い燃えカスになったり。でもこのソロストーブではみんなフワフワの白い灰になる。内部ではものすごくうまく燃焼が起こっているんだろうと思う。
60分後 フタを開ける
石は水蒸気で濡れて黒くなっている。甘栗みたいに石が黒々となるんだと思ってたけど、ただ湿っただけみたいで予想外だ。やはり生煮えか・・・
そして芋に箸を刺して火が通ってるか確認すると・・・
スッと通った~!充分に火が入っている感じだ。
さらに全部を出してみると・・・下の方の芋は皮の一部が焼き芋屋さんの芋みたいに焼けていてめちゃくちゃいい感じに焼けていてビックリだ。たぶん回転させると何ヶ所かにこのおこげが出来るんだろうと思う。
でも味はどうだろう?と思ったら、これはもう見ただけでおいしいとわかる具合に焼けていた。
食べてみたら、めちゃくちゃおいしい。すごくあまい。普通の、もらったさつまいもなのに。正直ビックリ。ダッチオーブンを使って家のガスコンロで作っていた焼き芋よりも、はるかに甘い。
甘い理由の考察
この美味しさはやっぱり石から遠赤外線が出ているからなんでしょうか。
物理的には、デンプンがベータアミラーゼという酵素によって分解され、麦芽糖に変わることでさつまいもの甘味が出るとのこと。そしてこのベータアミラーゼが70℃前後で働くため、この温度でゆっくりと火を通すとよいとあります。過去にためしてガッテンで検証されたそうです。
知らない間にクッカーの中はちょうどこのような温度になっていたのでしょうか。もしかしてフタが少し開いていたのが良かったとか?とにかく初挑戦でこんなにおいしいとは、驚きです。
さらに芋を埋めずに、石を敷いて上に芋を置くだけのやり方、芋を半分だけ石に埋めるやり方などいろいろあるのですね。どうやっても石焼芋は出来上がるのでしょうが、どれが一番美味しいのか検証して欲しいところです。
それにしても、ソロストーブと石焼芋は本当に相性が良いと思います。1時間ダラダラと焼き続ける燃料代が気にならないし、焚き火気分で枝をくべるのは本当に楽しいです。
クッカーの掃除
クッカーについたスス
こんな感じで、分厚いススがクッカーの外側に着きました。ちなみに空焚きを心配した内側はなんの変化もなく、使っていないかのようにキレイでした。
石鹸の効果
流水を当てると、下の写真のようにこれくらいまでは勝手にキレイになりました。明らかに石鹸を塗ったほうが落ちやすいです。
石鹸の塗り跡が見え、かなりキレイになっている場所もあります。塗りが足りなかったか、きっと何かコツがあるのでしょう。今後の課題です。