登山の食事・料理作りに必要な道具の解説
山で火を使ってお湯を沸かしたりごはんを作ったり、そんな時に必要な道具の解説をしています。基本的なストーブやクッカーなどの装備に加え、あると便利だったり面白い道具も紹介しています。
ストーブ(バーナー)とは?
火を使った料理に欠かせないのがストーブです。バーナーとも言います。ストーブには使用する燃料の違いから、ガスストーブ、ガソリンストーブ、アルコールストーブなどの種類がありますが、登山で一般的なものはガスストーブです。
上の写真で言うと、上の金属部分がストーブで下の緑色の物がガスカートリッジになります。鍋などで使用するコンロと機能的に違いはありませんが、山専用の物は軽くコンパクト、低温で使用しても火力が落ちにくいなどの特徴があります。また下の写真の「クッカー(コッヘル、鍋)」との相性が良く収納に優れています。
少しわかりづらいですが、クッカーの中にガスカートリッジと付属の袋に入れたストーブを収めた状態です。この上にクッカーのフタをします。
この様に、クッカー、ストーブ、ガスカートリッジの3点をきれいに収納し嵩を減らすことができるので、限られた量の荷物しか持てない登山ではガスストーブとクッカーのコンビネーションが定番です。なおストーブの種類については下記リンク先でより詳しく紹介しています。
クッカー(コッヘル)の素材と容量
クッカーまたはコッヘルとも言いますが、登山などの屋外で使用するための鍋、食器セットの様なものです。フタ部分と本体部分に分かれていて、フタ部分がフライパンになったり取り皿になったりすることもあれば、本体部分でお茶を飲むこともあります。状況によって使い分けます。
なおクッカーの形状は大きく2種類ありますが、上の写真の様な円筒形タイプのものがガスカートリッジとの相性も良く一般的です。
クッカーの素材
クッカーの素材にはアルミとチタンがあります。各素材の特徴は、
アルミのクッカー
- 安い
- へこみやすい
- 炊飯、調理に向く(熱伝導率が良い)
チタンのクッカー
- 高い
- 軽くて頑丈
- 調理に不向き(熱伝導率が悪い)、焦げ付きやすい
などがあげられます。
なのでご飯を炊いたり炒めものを作ったり、そう言った場合にはアルミのクッカーが最適です。一方お湯しか沸かない、作ってもスープくらいという人はチタンのクッカーでも良いかもしれません。火にかけても熱が伝わりにくいので、口をつけて熱々の飲み物を飲むことができます。
クッカーの容量、サイズについて
クッカーのサイズは数種類あり、例えば人気のクッカー、スノーピークのトレックシリーズは容量の違いごとに700ml(チタンのみ)、900ml、1400mlとあります。上の写真はそのスノーピークのトレック1400にチタントレック900を収納した状態になります。1400、900、700、とマトリョーシカ的にクッカーを収納できるので、あとからクッカーを追加したい場合にも便利です。
チタントレック700
- 容量:700ml
- カートリッジは小型の110サイズのみ収納可
(プリムス 小型ガス IP-110) - 日清のカップヌードル二人分のお湯を作れる
- ご飯1合炊けるがチタンなので不向き
トレック900
- 容量:フタ250ml、本体900ml
- 2合ぶんのご飯が炊ける
- 一般的なカップラーメン2食ぶんのお湯、カップヌードルなら3食
トレック1400
- 容量:フタ500ml、本体1,400ml
- 3合ぶんのご飯が炊ける
- 一般的なカップラーメン3食ぶんのお湯
スノーピークのクッカーの中で一番人気はやはり「トレック900」ですね。アルミで安いし大きさも手頃なので、調理、パッキングとバランスが良いのだと思います。
数人で料理を楽しむ登山なら「角形クッカー」
数人での登山で、レトルトやフリーズドライではなく少し凝った料理を作りたいという人におすすめなのが「角形クッカー」です。パッキングや調理がしやすい、液体を注ぎやすいなどの特徴があります。円柱型のクッカーと違いガスカートリッジやストーブを収納できませんが、中にアルミの食器や食材を入れることができるのでデッドスペースを作らず利用できます。
超本格的な山ごはん用クッカー
フライパン、鍋、プレートがセットになったクッカーです。特徴は、重さが280グラムで直径20cmのフッ素加工されている、本格的なフライパンがセットに組み込まれていることです。この手の豪勢なクッカーを使用している人を山でまず見かけませんが、山での料理は登山の楽しいイベントの一つでもあるので、多少重くても盛り上げるために持って行くことが多いです。
メモリ付きドリンクボトル
メモリの着いたドリンクボトルは計量カップ代わりにもなるので便利です。
こちらのドリンクボトルは登山で定番のナルゲンボトルで、リットルとオンスのメモリがついています。頑丈、しっかりと閉まる蓋、フックがついていて蓋が落ちない、飲み口が広く掃除しやすい、匂いがつかないなどの特徴があり人気があります。
調味料入れ(液体)
砂糖、塩胡椒等の調味料は漏れる心配がないのでケースに気を使う必要はありません。ですのでフィルムケースや小袋、アルミホイル等で問題ないと思います。しかし醤油や油などの液体の調味料は、登山中に高い確率で漏れますので専用の物を用意した方が安全です。
上の写真は全て、ドリンクボトルと同じナルゲンの調味料ケースです。サイズ、形状、様々なタイプが販売されていますが、どれも液体が漏れないので登山に最適です。私は油専用に一番左のタイプ(30ml)を使用しています。キャップは差し込んであるので取れそうですが、不思議と一度も取れたことも油が漏れたこともありません。ただ中身の液体は1滴ずつしかでないので量を多く使う調味料には向きません。
手づくりのまな板
100円ショップのキッチングッズコーナーに売っている薄いプラスティックのまな板を、ハサミで切ってクッカーと同じサイズにすると収納が簡単です。円柱型のクッカーの場合、丸めて収納出来る様な形にしてやれば面が大きく取れます。
まな板はなくても大丈夫ですが、クッカーの上で切ってクッカーを傷つけることも、煩わしさもないのであると便利です。
ナイフ、マルチツール
登山の料理だけでなく、非常用としてもナイフは用意した方が良いと思います。
マルチツール、十徳ナイフ、などの呼び方がある多機能のナイフですが、経験上、登山ではナイフ一本で間に合います。でもハサミはあると便利です。またこちらのビクトリノックスのナイフはピンセットも付いているのでケガをした際に使用する可能性はあります。
ドライバー付きだったり栓抜き付きだったりと、色々な機能がついていてどれを選ぶか難しいマルチツールですが、登山ではシンプルで軽くて薄いモデルがおすすめです。災害用として兼ねる場合にはドライバーやノコギリが付いたセットも良いと思いますが、あまり重すぎないものがベターです。ちなみに私はレザーマンの重めのマルチツールを使っていますが、ナイフとハサミ以外使用する機会は滅多にありません。
その他の食事、料理道具
サーモス(保温ボトル)
保温力・耐久性が高いサーモスの「山専用」保温ボトルです。500mlと900mlの2タイプあります。保温力が高いので、料理は作らずカップラーメンやフリーズドライを食べるならこちらを利用するのもありです。コッヘル、ストーブ、ガスカートリッジなどの荷物を減らすことができます。
風防(ウインドスクリーン、シールド)
ストーブの火を風から守る時に使用するのが風防(ウインドスクリーン、シールド)です。上の写真は少々わかりづらいですが、ガソリンストーブの火を銀色の風防で風から守っているところです。
ちなみにこちらはご飯を炊いている写真です。ご飯を炊く時は火の加減がとても大事なので外で炊く際に風防は欠かせません。
網、トースター
網は山の料理道具の中でもかなりの変わり種で、登山よりはキャンプ道具になるかもしれません。私は登山の前泊で使用することが多いです。
上の写真はプリムスのトースターで、網の目が細かいのでパンがきれいに美味しくやけます。下の写真はスーパーで300円で売っているお餅なんかを焼く網です。受け皿がついているので肉や魚を豪快に焼くことができます。