山行後半でもOK!ボリューム煮物
山行も後半になるとインスタントやフリーズドライばかりになりがちです。そんな時に生野菜が入った家で食べるような煮物が出てきたらうれしいですよね。今回は日持ちして、かつ、軽めの材料でできる高野豆腐の煮物を紹介します。もちろん初日に作る人はこの材料にする必要はなく、好きな食材を持って行ってください。時間のある時の夕食向けのメニューです。
高野豆腐の煮物に使用する食材
1. 高野豆腐(ひとくちさん)
正式名称は凍り豆腐。豆腐を凍結させてマイナス3℃で熟成させてから乾燥させたものです。カルシウムと鉄分が豊富で常温保存可能で軽く、水分を吸うと食べごたえがあり、かつ安くどこでも手に入るという登山にも大変便利な食材です。回は水戻しもカットも不要、かつ粉末味だしが付いている商品があったので使いました。(株)みすずコーポレーションより148円、83g。
2. 干ししいたけ
干ししいたけもおいしいだしが出てボリュームも出してくれます。登山の料理では何かと使え、“ちゃんとした料理”っぽくなるので便利です。適量を持って行ってください。今回は一人2枚くらいにしました。
3. 乾燥昆布
昆布も軽いうえに良い味が出て便利な食材です。今回は家にだし昆布があったので使いましたが、これだと歯ごたえがあります。新しく買うなら、煮て食べる用の「早煮昆布」というものがあります。これはだし昆布より若く柔らかい時にとったものです。これも適当に食べたい分だけ、持って行きましょう。
4. にんじん
にんじんは登山に最も適した生野菜ではないでしょうか。傷みにも強く皮を食べてもさほど気にならないところもすばらしく、大変便利です。小さめのものが1本あれば十分です。にんじんは洗って持って行き、山ではすぐに切れるようにしておきましょう。
5. うどんスープ
味の調節用に。最後にくわしく説明しています。
持っていく準備
干ししいたけの軸は家で取っていき、登山中に出るゴミを減らします。ついでに適当なサイズに割って持っていきます。ちょっと大きめが煮物には◎です。
今回の食材、3人分で185g。メインディッシュとしてはかなり軽めなので保存性が優れているだけでなく山行期間中長く持ち歩くにも良いですよね。付け合せは白米とあと一品、たとえばさんま缶など少し味の濃いものがあると良いですね。
今回はたまたまあった干ししいたけの袋にまとめてしまいましたが、パッケージがたいして重くないしゴミにもならない場合はそのまま持って行った方が良い場合もあります。高野豆腐にはニオイがつきやすいですし、開封してしまうと、万が一山行が延期になった場合などに持ちが悪くなったりします。
煮物の作り方手順・ポイント
1. 昆布と干ししいたけを水につける
時間がたっぷりあれば、先に鍋に干ししいたけと昆布、そして指定の分量の水を入れて15分くらいつけておきます。今回の高野豆腐のパッケージでは、水は500ml。つけておいたら昆布が予想以上に大きく開いたので割いて結んでみました。
2. にんじんを乱切りにする
にんじんを切ります。
今回はテント場にも早く着いておしゃべりしながらゆっくり夕食を作るようなシーンに合ったメニューです。ですので薄切りせずに歯ごたえを残した乱切りにします。山では燃料節約のために薄切りが多いですが、せっかくの生野菜を薄切りにすると存在感がなくなってしまいます。
3. にんじんが柔らかくなるまで煮る
フタをして、にんじんが柔らかくなるまで煮ます。
4. 添付の味だしを溶かし高野豆腐を入れる
5. 水を追加。濃い目が好きならうどんスープで調節
干ししいたけと昆布が水を吸って高野豆腐が吸う分の水がなくなっていたので水を追加しました。味が薄まりますので濃い目をご希望の方は“うどんスープ”で調節してください。
6. 15分間煮て完成
15分間煮て、高野豆腐に味が染み込んだら出来上がりです。
やはりこれはおしゃべりしながら作る料理ですね。「15分間も煮ていられない!」 という人は、高野豆腐がやわらかくなったら火から下ろして、フリースなどでくるんで保温して置いても良いでしょう。その場合、テントの中で他の人にけとばされないように気をつけてくださいね。
また、煮物は冷めていくうちに味が染み込みますし温め直さなくてもおいしいのが良い点です。コンロが1台しかない場合などは、テント場についたらコーヒーを飲みつつ作っておいて夕ごはんの時にはお米を炊くだけ、というふうにするのも良いですよね。
今回は3人分のおかずとして作りました。一人分の量はちょうどお茶碗1杯くらいです。きちんと盛るとかなり美味しそうに見えます。味はやさしい醤油出汁の味で、汁まで飲めてしまいます。幕の内弁当に入っている煮物のような感じです。
今回の便利食材「うどんスープ」
登山をしない人はあまり知らないのではないでしょうか。これの優れている点は、“粉末である” という点です。しかも一袋8gと小分けになっており、ひとつで250mlのスープが出来ます。ヤマキ(株)より8g☓8袋入りで128円と値段も安いです。より有名な商品にヒガシマルがあります。
このように、うどん・おでん・煮物・鍋ものなど和食のなんにでも使えます。粉末の醤油も販売されていますがなかなか手に入りづらかったり、常備していても意外に使わなかったりします。これは味の濃さの調節に便利ですし、出汁が入ってしますからお湯を注ぐだけで和風のスープになります。乾燥わけぎや乾燥わかめが余っていたら入れるとちゃんとした料理の一品になりますよ。