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漆喰塗りDIY④ 漆喰塗り本番。コテで塗る難しさとベニヤからの灰汁。

塗った漆喰と柱からの灰汁

寒冷紗(寒冷紗)とこんにゃく糊で壁に下地処理を施した翌日、とうとう漆喰塗りを開始。初めての漆喰塗りだ。

はじめての漆喰塗り。コテが難しい。

まずは水引きを防ぐため壁に水をかけなければならない。刷毛でペタペタと水を塗っていたが、こんにゃく糊同様うまく塗れないので霧吹で水をかけることに。
しかし霧吹きもなかなか大変で、連続でかけ続けているとそのうち疲れて握力がなくなってくる。漆喰塗りに影響をおよぼすのではないだろうかと不安になるくらい手がつかれた。

昨日練り置きした漆喰に、水0.1リットルを足し練りなおす。そしてオタマでバケツから漆喰をすくい、手作りのコテにのっけて漆喰塗りを開始。

高級城かべ漆喰

コテで壁に漆喰を塗りつける。重い。
まだまだ漆喰が硬い様だ。ということでまた水を0.3リットルくらい追加し漆喰を練り直すと、今度は塗りやすくなった。

だけども、左官はとても難しいということを知った。まずコテと鏝板をうまく扱えない。バケツからすくった漆喰を鏝板に乗せるまでは上手にできる。けれどそこから先がめちゃくちゃだ。 何も考えていないのでコテから漆喰は落ちるし、鏝板から漆喰は落ちるわで、とても塗る作業なんかに集中できない。塗っているのかこぼしているのかどちらなんだろうか、と考えてしまうほどだ。
養生も甘く、想像したよりも遥か遠くに漆喰は飛んでいってしまっている。一旦落ち着いてリラックスしたいけど、そうもいかない。漆喰は待ってくれない。

こんなはずじゃないんだ!と誰かに追われ続けている様な緊張感の中で漆喰塗りは進んだ。写真を撮る余裕なんてまるでない。

下塗りを終え仕上げ塗りへ。ベニヤから灰汁。

ベニヤの壁から灰汁がでた
わかりにくいけれど灰汁がでた部分の堺。

3キロ以上の漆喰を使い、約2畳分の下塗りはなんとか終えた。でもどうやら用意した4キロでは足りない様子。

続けて仕上げ塗りに。たぶん、仕上げ塗りはある程度下塗りの漆喰が乾いてからやるべきなのだろう。しかし作業中の僕は混乱しており、下塗りが終わるとすぐさま仕上げ塗りにとりかかった。

案の定、さほど乾いていない漆喰の上から漆喰を塗るのは大変だった。
コテを動かすと下塗りの漆喰までもズルズルと動いてしまう。けれど混乱した僕は止まらずにそのまま突き進んだ。

そして僕のやる気がなくなる事件が起こった。
ベニヤ丸出しの部分から灰汁がでてきて、下塗りした漆喰が見事に黄色になってしまっているのだ。しかもベニヤ部分の漆喰が固まるスピードがかなり早い。これはこんにゃく糊を塗っている時に気づいていたけれど、壁紙のあるなしによって水を吸い込むスピードが全然変わってくるようだ。
(ちなみになぜベニヤ丸出しの部分があるかと言うと、もともと壁紙が剥がれていたところの壁紙を、姪がさらにむしり取ってそのエリアを拡大。その後、みすぼらしいと思ったのか、姉がそのエリアの壁紙を四角く切り抜いた。)

ということで、これはもう、後日漆喰を塗り直さなければなるまい。そんなテンションが下がったなかでの作業は悲惨だった。
用意した漆喰がなくなると、追加でもう1キロ分の漆喰を練り、仕上げ塗りは終わった。出来はめちゃくちゃだ。

表面の仕上げ

しばらく時間を置いてから漆喰の表面を整える作業をした。コテ跡が小汚く壁全体にあるし、漆喰の厚みもバラバラだ。それをコテで整えようと思った。

この整え作業で漆喰の表面はある程度きれいにまとまった。けれど代償も大きかった。乾きはじめた漆喰を無理やりに動かすもんだから、漆喰が下地からゴソッと動いてしまう。それを補修していると気泡もたくさんでた。
そしてその作業を続け表面を整えた。壊し、なおし、壊し、なおしと繰り返し続け気分は最悪だった。困ってばかりで全然楽しくない。思うように全然いかない。

そして作業は、追加の漆喰がなくなり、また漆喰が乾いて動かなくなり、どうしようもなくなった時点で終了することにした。

漆喰壁の出来栄えと感想

完成した灰汁の出た漆喰の壁

出来上がった漆喰壁のクオリティは非常に低い。この上から壁紙を張って隠してしまいたいくらいだ。

一番ひどいのはやはりベニヤ部分からの灰汁だろう。ベニヤの部分だけきれいに四角に黄ばんでいる。むしろ真っ白な壁よりも味があって素敵だけれど、きれいに四角いので気持ちが悪い。
また柱に接している部分にも灰汁がでてきて、端の1ミリか2ミリくらいが黄ばんでしまった。これも嫌だ。

柱からも2mmほどのアクがでた

そして漆喰の表面の質は、マットな部分があったりテカった部分があったりと色々だ。原因は、漆喰の乾燥中に表面を整えようとしつこくコテでこすったせいだと思われる。なので光があたるとムラがあって小汚い。

ツヤが出たり出なかったりの漆喰壁の表面

あいていた壁の穴の箇所は膨らんでブサイクになった。けれど、寒冷紗のおかげか、割れたりすることはなさそうだ。

穴の上に漆喰を塗ったところ

また漆喰の厚さもまばらでボコボコとしている。下地がベニヤの部分の漆喰が薄くなってしまったが、厚みを整える前に漆喰がなくなってしまった。

まばらな厚みの漆喰壁

初めての漆喰塗りで学んだこと

漆喰を塗る前の壁
1.何もしていないもともとの壁
寒冷紗を張った壁
2.寒冷紗を貼った壁
漆喰を塗った壁
3.漆喰を塗った壁

アク止めをしなければならない

まずはアク止めのシーラー的なものを塗らなければならない。重ね塗りをすればこれ以上アクはでないかも知れないけれど、いずれにせよ柱からのアクを止めるためにもシーラーは必要になる。
でもシーラーを使いはじめてしまうと、せっかくの寒冷紗もこんにゃく糊も必要なくなってしまうことだろう。うーん、良い方法はないものか。

漆喰の量が足りない

ネットで調べると漆喰4キロで2畳分くらいという感じだったけれど、今回漆喰を2畳で5キロ使った。でもこれでも全然足りない。僕は1ミリもしくは2ミリくらいで漆喰を塗りたかったが、全然その厚さに到達していない。部分的には1ミリはあるかもしれないが、平均で0.5ミリくらいなんじゃないだろうか。

僕はボテボテの厚塗りの壁にしたかったので、1畳で5キロくらいは使った方が良さそう。そうなると今回購入した20キロの漆喰では足りないので買い足さなくてはならない。

きれいに整えるのは諦めよう

僕の漆喰塗りのテーマはなるべくきれいな表面にする、だった。もちろん職人の様にやろうとは思わないが、丁寧に仕上げたなかに素人の努力の跡を感じる壁、というテーマだった。でも無理だ。とてもきれいになんかはできないし、むしろ苦労だけを感じる悲しい壁という印象になった。

壁を注意深く見るようになった

まあでもはじめからうまくできるとは思わない。やり続けながら学び、メインの大きな壁を塗るまでにある程度のところまでいければいいと思う。

今回の作業を終えて感じたのは、壁を見る目が変わったということだ。街を歩いていても塗り壁を見るとどうやってコテを動かしているか気になるし、テレビを見ていても人を見ずにその向こうの壁を見る様になった。
それと自分が塗った壁を一日に何度も見る様になった。ここはどうやって塗ってこの様になったか、とかをじっくり見て考える様になった。

今までの人生で壁について考えることはなかった。テレビの映像やそこから流れてくる音楽や、家具や空の色や、そんな事には感心があったけれど壁には全く感心も意識もなかった。壁は壁だった。
けれど今回一つの壁に漆喰を塗った事で、壁に感心を持つ様になれたことが嬉しい。モノ作りの喜びと同じだろうけれど、壁が仲間になった様な気がする。今まで他人だった壁と急に友達になれた様な気がして嬉しくなる。
だから今度は、もっと素敵な壁にしてあげたいと思った。