漆喰塗りDIY⑥ コテ跡残しのパターンにも苦戦。シーラーで灰汁がでなくなる
前回塗った壁の、その上のスペースに漆喰を塗ることにした。今度は下地に寒冷紗(かんれいしゃ)は使わずにシーラーのみ。さて、違いはあるだろうか。(寒冷紗のことを書いた日記)
左官が楽しいと感じる様になる
畳約1畳分のスペースに用意した漆喰は5キロ。漆喰の配合は、「城かべ漆喰」を3キロ、「高級城かべ」を2キロ。すでに多く使用している高級城かべが先になくならないよう、なんとなく量を調節した。
下塗りは、前回多くのことを学んだので苦労しなかった。漆喰をぼたぼたとこぼすこともない。それよりもむしろ、楽しさや幸福感すらでてきた。あんなにうまくいかずに辟易していた漆喰作業が楽しくくなりつつある。
その楽しさの理由はコテさばきを多少覚えたからだと思う。自分が思った様に漆喰が塗れると嬉しい。これはハマってしまうかもしれない、と思った。
またわかったのは左官作業というのは繊細で、色々なことを考えながら塗らなければならないということだった。漆喰をコテに乗せる量だとか、コテの向きや角度、力の加減なども気にしながらコテを動かさなければならない。それに漆喰の状態についても考える必要がある。単純ではないから飽きがこない。
前回は考える余裕すらなかったが、今回こう思えたのは収穫だ。
もちろんまだまだムラもたくさんあるし、どう対処したらいいのかわらかない部分も多いけれど下塗りは遥かにスムーズに上手に塗れた。そして一番重要だなのは落ち着くということ、というのも学んだ。
前回は、うわー漆喰がこぼれた、早く塗らないと乾いてしまう、腕が疲れた、うまく濡れない→なおす→もっと汚くなる→漆喰が乾いてゆく→たすけて→やめたい、の様に救いのない状態で、作業が終わると人生に絶望した時くらい絶望した。
しかし今回は漆喰のことが少しわかり、コテの使い方も少しわかるようになると慌てることもなくなり、落ち着いて作業を進めることができた。
さて、しかし今回はきれいに平らに塗るのではない。コテ跡を残したワイルドな表情を壁につけるのだ。うまくいくだろうか。
コテ跡を残した仕上げ塗りのパターンにも苦戦
仕上げ塗りはラフにコテ跡を残す、というテーマで望んだけどかなり手こずった。平らにするよりは幾分らくだったけれど、完成度は50点くらいだろうか。
まずは思いっきりラフに、コテ跡をつけながらさくさくとガンガン漆喰を盛りながら楽しんで塗った。今回は漆喰を大量に用意したのだ。怖くない。
コテ跡は細かくつけ、高低差は激しくつけた。そしてすぐに完成。まっ平らに仕上げるのよりはずいぶん楽だな、楽しいなと思い、養生テープを剥がした。
しかし見るうちにどんどん気になってきた。どうも壁にして派手すぎて主張しすぎている。見ていて落ち着かない。そして部屋の電気をつけていたので気にならなかったのだけれど、電気を消して窓から入る横からの光で壁をみるともはや家の壁ではない。高い所と低いところの差が多く、陰影がありすぎるし、コテ跡が細かすぎる。まるでテーマパークの洞窟の壁の様だ。
まあいいか、というにはあまりにも気になりすぎたし、ここで基本形を作っとかないと今後の作業のバランスがおかしくなる。他をあわせなければならなくなる。どうしようか、と考えれば考えるほど気になってきて、そして漆喰を塗り直すことにした。
まずは漆喰が乾いてしまう前に、仕上げ塗りしたぶんだけの漆喰をコテで剥ぎ取った。そしてとり終わった漆喰は水でやわらかくして戻し、もとの漆喰に混ぜた。こうゆうのはありなのだろうか?そしてもう一回養生テープを貼り直す。下塗りが乾いてしまうのではないだろうかと焦る中での養生はきつい。前半戦の余裕はなんだったのだろうか。
そして再び仕上げ塗り。テーマは高低差をつけすぎずにさり気なくコテ跡を出す。コテ跡は細かくしすぎない。
しかしこれもバランスが難しかった。どれくらいの力加減が良いのだろうか。塗っては脚立から下りて遠くから眺め、そして電気を消したりつけたりして陰影を確かめる。そんな作業を何度か繰り返した。
2つめの壁の仕上がりとシーラーの効果
結果、先ほどよりは落ち着き壁らしくなり、まあ許せるかな、と思える様にはなった。ただ今度はビビリ過ぎて平にしすぎてしまい、物足りない気もしてきた。きれいに塗ろうと思って全然きれいに塗れなかった壁、みたいになった。本当にバランスが難しい。技術的なこともあるだろうけれど、センスも重要らしい。
まあでもやりなおすまでではないとは思う。いまいちではあるけれど、とりあえずはこのままでやっていけそうだ。
今回5キロ漆喰を用意したけれど、使ったのはその半分くらい。かなり厚塗りの壁にしようと思ったけれど、途中で薄くしたのでさほど使わなくて済んだ。畳1枚で5キロ使うのであればあとどれだけの漆喰が必要なのだろうか、と心配していたのでよかった。とりあえず畳1枚で漆喰2.5キロの計算でいけそうだ。
今回学んだことは、仕上げ塗りは何度も何度もコテを動かさないこと。コテを動かす度にどんどん平らになりコテの表情がなくなってしまう。それに最初に塗った箇所をあとから手直しすするのもいけないと思った。漆喰が乾きかけてるときにコテで擦ると表面のツヤの出方が変わる気がする。それと城かべシーラーを使えば柱から灰汁がでなくなる、というのもわかった。
まあ一番の収穫は漆喰塗りを楽しいと思えたこと。けれど大きな課題がある。どうしたら、主張せずかつ地味すぎないコテ跡を残した壁、を作ることができるだろうか。メインの大きな壁を塗る前に、その答えにたどり着かなければならない。研究しよう。