ノアで車中泊。ベッドキットの自作と車中泊体験記
キャンピングカーフェスティバルに行って驚いたのは、よくある四角くて背の高いキャンピングカー以外に、ハイエースなどのミニバンや軽トラックを利用して車中泊するキットがいっぱい売られていたことです。
「ならばノアでも」と思い、ベットキットの購入も考えましたが最終的にベニヤ板でベッドキットを自作したのでした。寝心地もばっちりでした。
ノア専用ベッドキットを発見
キャンピングカーフェスティバルに行ってからというもの、気になり続けていた車中泊。いつかはやってみたいという夢が膨らみます。そして車中泊において最も大切なことは、なによりも、「ベッドが平らであること」のようです。
「フルフラット」と言っても、やっぱり傾斜やシートのでこぼこが完全に無い訳ではありません。ましてやうちのノアは7人乗りで2列目のシート間には大きな溝があるので、なんとかしないといけません。マットやエアーマットを利用するなどいろいろな方法があるようですが、一番気になったのが雑誌で見つけたこの商品です。
なんと、ノア専用のベッドキットがあるんですね。お値段は6万円前後。何泊か家族でホテルに泊まったと考えると、すぐに元は取れそうです。見ていると使わない時は場所を取らずに収納できそうだし、マットの材質などとても作りも良さそうです。
私は”誕生日プレゼント”とか”結婚記念日”とかにかこつけて、ほとんどこれを買う直前まで期待が高まってしまいました。
ノア用ベッドの自作
知人に「作れば?」と言われて、「まさか、出来ないこと無いだろうけど、大変そう」と思いつつインターネットを検索してみると、ノア用ベッドを自作している人ってたくさんいらっしゃることがわかりました。
制作のパターンとしては、このようなものでした。
- イレクターパイプ(ホームセンターで売っている)を使ってフレームを作り、ベニヤを乗せる
- 角材を使ってフレームを作り、ベニヤを乗せる
- セカンドシートを外し、床をベッドとして使う
- 倒したシートの上にベニヤを乗せ、ベッドとして使う
インターネットにDIY作品を載せている人は、かなり器用な方も多いので、う~んむずかしそうだと思って見ていましたが、このうち4番だけはとても簡単そうに見え、「私にもできる」と思わせてくれましたので、これを作ってみることにしました。
参考にしたのはこちらのサイトです。
この方は天才なのでは無いかと思ってしまいます。初心者にもわかりやすい、これ以上無いと思えるほどの簡単さなのです。
すべてこちらに書かれてあるとおり、指定のベニヤをホームセンターで買い、書かれてあるサイズのとおりにその場でカットしてもらい、ドリルをレンタルし、家に帰って穴を開けたら結束バンドでつなぎ合わせるだけで出来てしまいます。費用もだいたい3000円程度で収まりました。
ここで大切なのは、書かれてあるサイズのとおりに作ることです。
私は「よりベット部分が大きい方が良いだろう」と欲を出し、時間を掛けて車内を採寸し、このサイトで教えてくれているサイズよりも幅を広くし、長さも長くして作りました。するとどうでしょう、ベッドが広く取れて良かったと思ったのも束の間、収納に困ってしまったのです。
もとの作品はジャバラにたたんだあとにサードシートの足の間をスッと入るように設計されていますが、私の作ったものはギシギシです。後ろのドアも閉まるか閉まらないかのぎりぎり。物があってなかなかうまく入らないときは、「ええい、めんどくさい」と真ん中の通路に収納してしまいます。すると、やっぱり車内がとてもジャマなのです。
「先達はあらまほしきことなり」ですが、素晴らしい先達が居ても、言うことを聞かないなら意味がありませんね。
あと工夫した点は、それぞれの板の周囲にガムテープを貼ったことくらいです。ベニヤはどうしてもトゲが出てしまうので、これはやってよかったかなと思います。
ちなみに下の写真の結束バンドの留め方は間違っています。お手本のサイトでは八の字にするように教えてくれていますが、これも、やってみて理由がわかりました。写真の状態で留めると、たまに板と板が重なりあって段が出来てしまうのです。また、このようにギュウギュウに留めるよりも余裕のある八の字で留めたほうが畳みやすいです。
車中泊体験 その1、ファミリーで泊まる。
まずは近所のサービスエリア
板が出来たのは9月の3連休の初日。さっそくその夜、車中泊の練習をしに近くのSAに泊まりに行くことにしました。本当は近くではなくてどこか遠くが良かったのですが、夜10時を超えて高速道路を走っていると子供の眠さが限界にやって来ました。チャイルドシートを括りつけていますから、SAに着いてからチャイルドシートを外して、座席を倒して荷物を片付け、板を敷いてマットレスを敷くという作業をする前に子供が寝てしまうと大変めんどうなことになるのです。そこで、家から1時間もしない近場のSAに泊まることになったのです。
板の他の装備
作成した板の他に、宿泊のために持って行った物は次のものです。
- 普段使っているマットレス
- カーテン用のシートと、ガムテープ、ハサミ
- 車内のLEDライト
- タオルケット数枚
敷布団には普段使っているマットレスで試した所十分なクッションがあったので、これ一枚で済ませました。サードシートの背面部分が盛り上がって枕代わりになりますので、枕は無くても大丈夫でした。
それ以外にどうしても車中泊に必要な物はカーテンとの情報がありましたので、家で不要になった防音・断熱シート(冬場のカーペットの下に敷いていたもの)を持って行き、現地で窓のサイズに切ってガムテープで貼ることにしました。カーテンも、買うとけっこう高価ですよね。
結果、SAは一晩中車が出入りしてその度にライトも当たるので、カーテンは必須ということが分かりました。ガムテープで貼るのは面倒ですので頻繁にやるには良い方法ではありませんが、貼る方法さえ解決すれば、素材としては100円ショップの銀マットなどでも十分ではないかと思います。
車内のライトをつけっぱなしにするとバッテリーが上がってしまうと考え、子供がライトを点けたまま寝たいと言った時のために単三電池指式のLEDライトを2つ持って行きました。これは大変便利でした。
もう一つ車中泊に必須なものといえば網戸があるようですが、真夏では無いので今回は多少ガマンするとして、熱い中薄着で寝て凌ぐことにしました。なので掛け布団にはタオルケットのみ持って行きました。
他に得た情報では、必ず結露ができるので、そのためにはスクイジーが便利という話です。100円ショップでも売っていますよね。私は持って行かずにタオルで拭きましたが、拭きあとが残って運転中に結構気になりました。
狭すぎた、という感想。
今回は大人2人、5歳と2歳の子供という4人で寝ましたが、結論としては狭かった、ということでした。これは、ベッドキットを買おうと思った際に全く考えなかったことでした。「6万円のキットを買わなくてよかった」心からそう思いました。
しかし、とってもよく眠れました。
大人1人と子供2人の3人ならいけるかもしれません。写真の中央に立っている子供はまもなく3歳になる年で、保育園のクラスではやや大きめの方です。身長は90cmはありますので高さ的には十分なのですけどね。
まさかの結末、バッテリー上がり
家族の皆がよく眠れたようです。SAの洗面所で歯磨きをし朝ごはんを買ってさあ出発と思ったら、なんとバッテリーが上がっていて呆然としました。クーラーもナビも付けていないのになぜ、と思いましたがそもそも前回ディーラーに行った時に「バッテリーが減っていますよ、今すぐに買い替えなくても、まぁ大丈夫ですが」といって見積もりをもらっていたのを思い出しました。
エンジンを切った後は車内の電灯も長くは付けないように気をつけていましたがそれでも熱いからと言っては電動スライドドアを開け、トイレに行くといってはまたドアを開閉していたので、それが良くなかったのかなと思います。
連休のなか日、車も人もお店も賑やかに溢れかえるサービスエリアでレスキューを呼んで治してもらいました。もちろんケーブルも備え付けていたしお願いすれば協力して貰えそうな警備員さんたちもたくさんいましたが、「ちょっと繋がせてください」と頼み込む気力もなかったのです。目的地も決めないままなんとなく出発したものですから、暑くて狭い中寝た後の、「こんなとこでいったい何をやってるんだろう・・・」感がドーンと押し寄せました。
ガッチリいつもと同じくらいの時間まで寝てしまったのでそれほど遠出は出来ませんでしたが、もしここが家なら「今日くらいゆっくりしよう」とめんどうくさくなってしまったかもしれません。でも目覚めたところはSAでしたので、その後いつもよりもちょっと遠くへ足を伸ばし観光することが出来ました。
車中泊体験 その2、登山の前泊。
朝7時に登山口集合
前回の車中泊体験では狭かったものの、作成した板の寝心地、マットレスの弾力、窓に貼ったシートの遮光などはとても満足できました。
そこへ10月に日本百名山である石川県の白山へ登る計画が浮上し、私は友人と二人で登山口へ向かうことになりました。登山口には朝7時に集合。当初は3時に出発しようと計画していましたが、もしかして迷ったり渋滞したりして遅刻してしまう可能性もあります。あせって運転してその後ガッシリ登るよりは、前夜に登山口に着いたほうが安心かなと思ったのです。
10月3日、白山登山口は寒かった
白山の登山口の一つ、市ノ瀬には750台もの駐車場があって、トイレも有り、ビジターセンターもあることから比較的ひとけもあり、安全なところだろうと予想しました。
私達が着いた深夜の12時前には多くの車中泊の人たちが居ました。といっても登山の人は朝も早いので、シートを最大限にリクライニングして早朝まで仮眠するという方が多いのだろうと思います。私たちは名古屋を夜8時に出発する前に板とマットレスを用意して寝るだけの体制で行ったので、トイレに行って歯磨きをした後はすぐに寝ました。
市ノ瀬の標高は850mで森の中なのでそこまでの寒さを予想していませんでした。しかし車を降りてみると、名古屋とは打って変わって冬のような寒さに呼吸ができなくなったほどでした。ブルブル震えながら車に戻り、用意していたモンベルの3シーズン用の寝袋と、防寒着、ネックウォーマーなどの小物を使ってなんとか暖かく眠ることが出来ました。
途中1,2回は目が覚めましたが慣れない環境で眠りが浅いと言うこともなく朝の6時半を迎えました。前夜に4時間運転はしていましたが、翌朝にはスッカリ疲れも取れ、その日は10時間近く歩いても眠くなることはありませんでした。
今回は30代の女性2人でしたので、余裕を持った広さで眠れました。登山では早朝から登り始める事が多いので、登山口に前泊する場合にこの板はとても有効だと思いました。