災害時に便利!【非常用・レジ袋トイレ】の作り方
夏の大雨でトイレが流れなくなったとき、我が家では登山で携帯トイレを使ってきた経験を生かし、レジ袋を利用した簡易的なトイレを作り使用しました。とても良い方法だったので、その作り方と結果をレポートします。
こちらのプリントをご利用ください
まず、急いでいる方はこちらのプリントをご覧ください。
これは「こういうものがあったら助かるのにな…」と、トイレが使えなくなった時に切実に思ったものを書いてみました。トイレが使えなくなってしまって不安に思っている方がいたらプリントして渡してあげるのも良いでしょうし、ラインなどで転送するなどして使ってもらえるとよいかと思います。
我が家でやった「レジ袋トイレ」の作り方
下水が一切流せない状況になったとき、我が家で行ったトイレの方法はこちらです。
おしっこのみなら
バケツにする。ためておくか、外に捨てる。
うんちは、以下の方法で行う。
- スーパーのレジ袋などを二重にする。
- 袋の中に、使い終わったティッシュや新聞紙など水分を吸わせるものを少し入れておく。子供用おむつ、介護用おむつ、ペットのトイレシートなど水分を吸うものがあればさらにベスト
- トイレの個室にこもり、ビニールの中に排泄。
- 手で前後に持って中腰でもいいし、和式トイレのように形を整えて床に置き、しゃがんでするのも良い。跳ね返り防止のため、手で持つのがおすすめ。
- なるべく空気を抜いてぎゅっとしばる。
- ジップ付き袋などにまとめて入れておく。
- ごみの日に捨てる
この方法の優れている点は、家にあるものでできるところです。今は非常用の自宅用のトイレが各種売られていますが、これを備えている家庭はごくわずかではないでしょうか。そして「使えない!」となったときにホームセンターに買いに行くことは不可能であることを、と改めて知りました。
携帯トイレ用グッズは、さすがに優秀
我が家には登山用携帯トイレのジップ付き袋があったので、それにためておきました。これは臭いを漏らさない機能があるということですが、実際にとても効果を感じました。
その日の夜にはトイレも使えるようになり、このジップ付き袋はもったいないので再利用しようと考えました。そこで中身のビニールを可燃ごみに移そうとしたところ、3回分のうんち&おしっこはものすごく臭いのです。生ごみの比ではありません。
子供が3歳くらいの時にはどの家庭でもうんち入りのおむつがあると思いますが、それと臭いは同種です。しかし10倍くらいのハードさです。やはりおむつの凝固剤で水分が固められた上でおむつ本体にぶあつく包まれているのと、直にビニールに入っているのとではだいぶ激しさが違うのでしょうか。もちろん量の問題もあると思います。
このジップ付き袋に中身を3つ入れてトイレの個室に置いていても、臭いが気になることはなかったのです。しかし中身を外のごみ箱に捨てた後に、カラになったこの袋を、ジップを開けた状態で玄関に置いておくと、近くを通るだけですごい臭いが漂って来ました。カラの袋からです。
ここで分かったのは、「ああ、登山で持ち歩く場合、単なるビニール袋に入れただけではとてもザックに入れることはできない。専用の袋か、何か臭いを消すものが無くてはムリだ」ということです。
うんち袋を捨てる方法。トイレに流すか
排泄物の袋3つは、新聞紙とビニール袋でさらに厳重にくるんで、可燃ごみの中心に埋めてごみの日に出しましたが、臭いので少し申し訳ない気持ちになりました。これがものすごく暑い日だったらどうなるんだろう。町内全員の分であったらどうなんだろう。数日続いたらどうなってしまうんだろう。道路が不通になり、ごみ収集車が遅れる可能性は十分ありますし、大雨が降るのはだいたい暑い夏ですよね。
では、排泄物の袋をやぶって中身をトイレに流せば良いかと考えてみると、これは難しいと思いました。おむつの場合、おむつの凝固剤が水分を吸ってくれるので、コロコロうんちならトイレに流して捨てることができました。しかしおしっことうんちの混じったドロドロのものを袋から出してトイレに流すことは厳しそうです。3分の2くらいは捨てられるかもしれないけど、3分の1はビニールに残り、周囲を汚さずにうまく捨てることは困難そうです。
また、今回のケースでは15時間下水が使えなくなっただけでしたが、それでも普通の生活にもどったあとはバタバタでした。避難用に準備した荷物の片付けや、下水への排水を避けるため控えていた茶碗洗いや洗濯物の処理に追われました。とてもくさい袋を破ってトイレに流そう、という気にはなりませんでした。
やはり、緊急用にレジ袋で対応するのは良いとしても、事前に備えができるなら、何かしら対策を取れればベストだと思いました。
事前にトイレにそなえるならこれ。わたしの結論
そこで結論として、もし事前に備えておくなら、最低限、これがいいだろう思ったのはこちらの商品です。これを、レジ袋トイレと併用して使うのです。
こちらは、うんちやおしっこの菌、それ自体を殺して臭いを発生させないという錠剤です。脱臭・除菌効果は1年以上続くという説明がHPにあります。
このタイプなら10回分あり、場所も取らず、2千円程度ととても経済的です。使用期限も一応5年とありますが、勝手な想像ですが、おそらく数年ぐらい過ぎても使えるのではないでしょうか。
もったいないのでおしっこのみの時は使わず、「うんちの時だけ使う」というようにすれば、この量でも、4人家族で3日分くらいの備えとして間に合うのではないでしょうか。効果は薄れるかもしれないけど、もったいなかったら半量づつに節約してして使ってみるなどを試してみてもいいかもしれません。
より積極的に備えたい人には
もっとちゃんとした装備を用意しておいてもいいな、と考える場合は、いくらでも商品があります。ホームセンターなどにも各種あると思います。
組み立て式トイレ
驚異の防臭袋、凝固剤、汚物袋の3点セット
長期間の使用、また介護用にも
レジ袋トイレをおしえてあげよう
トイレの心配はかわいそう
町内が洪水で分断されトイレが使用不可になったとき、人々が心配したのは自家用車の水没とともにトイレの心配でした。トイレを我慢することは健康にとってとてもリスクです。トイレの心配は、その時になると本人にとっては本当に深刻で、とてもかわいそうに思いました。
そこで私は上に紹介したプリントのようなものがあれば、みんなに配布してあげたい、と思いました。「さあ、やってごらんよ!」という感じです。実際に実行しないにしても「ああ、いざとなればこうすればいいのね!」と知るだけで、気持ちは軽くなるものです。不思議なことですが、ライフラインの整っている日本では、登山者やボーイスカウト経験者でもない限り、トイレの便座に座って排泄する以外の方法に、あきれるほど慣れていないのです。
とりあえず私は手書きの絵を写メし、親しい人に送りました。赤ちゃんがいて水の中を歩いてコンビニのトイレを借りに行くことはできない友人は、スッキリできてとても喜んでいました。だって自分のトイレの心配だけでなく、子供のトイレのこと、食料の心配、避難するかどうかの選択、荷物を二階に上げるかどうかの決定など、やらなくてはならないことがたくさんあるのです。
実際、そのコンビニのトイレも車がつかえないため徒歩で20分近くかかり、長蛇の列だったそうです。ギリギリで列に並ぶことを想像するだけで辛いですよね。
町内会や学校で練習を
トイレが使用不可になってしまったことを経験したとき、町内ですぐにこういったプリントが配れる体制であったならば、どんなによかったか!と強く感じました。というのは、私がレジ袋トイレのやり方を口頭でおすすめした友人のご主人は、話を聞いておどろいていました。抵抗感がぬぐえず朝から夕方までトイレをガマンしたことと疲労も重なり、体調を悪くしてしまいました。やはり「口頭」ではなく「プリント」のチカラは大きいと思うのです。
町内会の役員は役所に依頼してくれており、道路の水抜きも順調に進み、結果的に夕方には役所によって町内に仮設トイレを設置してもらうことができました。これは「公助」に当たりますが、人々は「自助」として「レジ袋トイレ」の方法を知っておくと安心です。
人は不思議なもので、一度経験しておくと抵抗感がなくなるものです。避難訓練と同じです。排泄の問題は、食料や水と同じくらい大きいと思います。自然災害の多い日本ですから、林間学校で全員が一度やってみてもいいのでは、と思うくらいです。もちろんこれは高速道路の渋滞でトイレに困ったときにも同様に使えます。
みなさんも機会があればぜひ一度経験してみることをおすすめします。