アンティークリキッドとバターミルクペイントと石灰で机の脚をアンティーク加工で腐食風に。
エイジング加工でアンティーク風の物を作るためのテクニックを紹介している本、スクラップメイドのインテリアで紹介されていた、なんでもないものを鉄の腐食風にするテクニックを実験した。
使用した塗料はオールドビレッジのバターミルクペイント、アンティークリキッド、そして石灰(漆喰)。接着剤には木工用の水性ボンドを使用。
石灰と漆喰
「スクラップメイドのインテリア」では、腐食加工するために石灰をバターミルクペイントに混ぜるとあった。塗料に石灰を混ぜることでザラザラになり鉄の質感がでるようだ。またその石灰入り塗料の上から重ね塗りをしヤスリがけをすると、ザラザラの部分がサビの様にでてくるらしい。
僕が使用したのは石灰ではなく持っていた漆喰。調べてみると漆喰と石灰の違いはツナギがあるかないかの違いだけらしい。
塗料に配合する漆喰の分量はスクラップメイドのインテリアに書いてある。だけど僕は面倒なので感覚でやった。
なお漆喰を壁に塗る時は一日くらい練り置きをしておくけれど、練り置きした漆喰よりは漆喰をしない方がツブツブが残るので、サビの感じがよりでると思う。練り置きしたものは粉がまとまってモチっとしてしまう。
プライマーは使わずにボンドで接着
机の脚の素材は鋼のようで、その上からポリエステル塗装とやらがされ表面はとてもつるつる。直にバターミルクペイントを塗ってみると剥がれやすいが、漆喰は割りとしっかりとくっつくことがわかった。
けれど直に漆喰を塗ると加工中に取れてしまうかもしれないので、密着スプレーを使うことにした。
ミッチャクロンはアマゾンでも高評価のプライマー。鉄やプラスチックやガラスなどいろんな素材に使用できるらしい。「スクラップメイドのインテリア」では金属プライマー、プラスチックプライマーと2種類紹介されていたので、一本で済むミッチャクロンはとても便利だと思った。
しかしミッチャクロンの効果はほぼない様だった。恐らく机の脚のポリエステル塗装には向かないのではないだろうか。ミッチャクロンを吹きかけその上にバターミルクペイントを塗っても、直塗りと同じく擦ればすぐに剥がれてしまう。
ということでせっかく買ったミッチャクロンは諦め、漆喰にボンドを混ぜることにした。漆喰を水で溶かし、そこに水性ボンドを適量とバターミルクペイントを加える。試しに脚に塗ってみたがボンドの力はすごい。つるつるの脚にビシっと漆喰が張り付いた。
下地塗り
下地は上でも書いた様に、水性ボンド、水、漆喰、そしてバターミルクペイント
のChild's Rocker Dark Redを混ぜたものを使う。
バターミルクペイントのチャイルズロッカーダークレッドはあずき色なのでサビになるのかな?と疑問があったけれど、完成したものはかなり良い感じの雰囲気になったと思う。
下地塗りの写真を撮っていなかったので、代わりに味噌の容器に下地塗料を塗った写真を。こんな感じが下地の色になる。
上塗りとサンドペーパーがけ
下地が乾いたらバターミルクペイントの「Yellowish White」で上塗り。2度塗りはしていないけれど、下地の色が出すぎているところがないように塗った。
上塗りが乾いたらサンドペーパーをかけて下地のツブツブを出す。使用したサンドペーパーは240番。どれくらいツブツブを出させるかは感覚。出し過ぎると腐食感が激しくなるし、出さなすぎても寂しくなる。
漆喰が脚にしっかりと密着しているので、本気でサンドペーパーをかけても問題がなかった。
アンティークリキッドでアンティーク加工
サンドペーパーでサビのツブツブを表に出すだけでも古い感じはするけれど、やっぱり色数が少ないのでリアリティがない。ということでアンティークリキッドで汚すことになる。
ここまでは比較的簡単な作業だったけれど、ここからが大変だった。
本には、「アンティークリキッドを塗り拭き取る」、的な感じで簡単にしか書いていなかったので気楽に考えていたが、そんなに簡単なものではなかった。
アンティークリキッドは強烈なので、バーっと塗って拭き取るだけだと全体が黄ばむというか茶ばんでしまって、アンティークどころか外に数年放置された粗大ごみの机の脚みたいになってしまう。なので汚し方の加減が非常に重要で、ここからがエイジングの本番で集中しなければならない、と思った。
基本的に汚す部分は脚の下部と上部。そしてサビの浮き出た部分。それ以外はバランスをみながら適当に汚すけれど、さりげなく汚すのが非常に難しい。何も考えないで作業を進めるとすぐに嘘っぽくなってしまう。
なのでひとつひとつの汚れやサビは、爪楊枝にアンティークリキッドを塗りちまちまと作っていく。そして布でリキッドをこすったり叩いたり、薄い黄ばみはペイント薄め液でリキッドを溶かして作ったり、そんなことを机の脚合計で4本、それにフレーム4面もやらなければならなかった。
ものすごく時間がかかり最後はいい加減イヤになった。自分はなぜこんなにも時間と金と労力をかけ机の脚を汚しているのか、と自問しながら作業を進めた。
アンティーク加工のできと反省
自分で言うのも何だけれど、出来はいいんじゃないだろうか。人に聞いたら間違いなく「粗大ごみから拾ってきたの?」と言われる様には仕上がった。それくらいリアルに汚せた気がするけれど、その結果机が良い物になったかどうかは別物で、今のところ「とにかく机の脚が汚くなってしまった」、という印象しかない。
机の天板がピカピカすぎるのもあるし、部屋全体の統一感がないこともあるだろうと思う。この机を見て「アンティークみたいでステキよ」と言ってくれる人はまずいないだろう。
反省点はエイジングさせすぎたこと。下地の漆喰を盛りすぎ腐食感が強くなってしまった。効果がないと寂しいなあ、と少しやりすぎてしまった。漆喰で腐食感が多くなれば、その分アンティークリキッドで汚さないとバランスがとれなくなると思う。なのでよりいっそうダメージが多くなってしまう。
それ以外は概ねうまくいった様に思う。あともう少し根気と時間をかければ、よりリアルな腐食感をだせるだろうと思う。
今回アンティーク加工を体験しての収穫は、漆喰がかなり使えると気づいたこと。まっ平らに塗料を塗るだけだと味気ないが、漆喰で凹凸を作ることで素材感がでてくる。今回は鉄の腐食感を出してみたけれど、木材っぽくしてみたりと色々な表現ができるだろうなと感じた。漆喰の量を調節したり、削ったり、仕上げ方を変えてみたりと、色々な表現方法を今後研究してみようと思う。