富士山の4大登山ルートを紹介
富士山の山頂に向かうルートは「吉田ルート」「富士宮ルート」「須走ルート」「御殿場ルート」の4つあり、それぞれのルートに特徴があります。このページでは利用者の多い人気のルート順に、各ルートの特徴や登山時間、距離、難易度などを紹介しています。
各ルートの距離・標高・歩行時間の比較
吉田ルート | 富士宮ルート | 須走ルート | 御殿場ルート | |
---|---|---|---|---|
往復距離 | 14km | 8.5km | 13km | 17.5km |
標高差 | 1450m | 1350m | 1800m | 2300m |
登り時間 | 6時間10分 | 5時間30分 | 6時間50分 | 8時間10分 |
下り時間 | 3時間30分 | 3時間50分 | 3時間20分 | 4時間20分 |
剣ヶ峰往復 | +1時間30分 | +35分 | +1時間30分 | +35分 |
混雑 | ★★★★★ | ★★★ | ★★ | ★ |
疲労度 | ★★★ | ★★ | ★★★ | ★★★★★ |
施設数 (便利度) | ★★★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★ |
高山病リスク | ★★★ | ★★★★★ | ★★ | ★ |
下山難易度 | ★★★ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★★★ |
地図 | 地図 | 地図 | 地図 | 地図 |
各ルートの登り・下りの時間は各人の 体力、疲労度などにより相当な差異が生じます。目安程度にご利用下さい。
なお「登り時間」と「下り時間」には山頂でのお鉢めぐり(富士山の山頂をぐるっと周ること)や剣ヶ峰(富士山の一番高いところ)までの所要時間は含まれていません。お鉢めぐりの所要時間は約1時間30分で、剣ヶ峰の往復のみの場合は、表の「剣ヶ峰往復」の時間を足して下さい。
※ 吉田ルートと須走ルートの頂上は剣ヶ峰の反対に位置しているため、剣ヶ峰の往復だけでもお鉢めぐりと同じ時間が必要になります。
全体図・市販の登山地図
4ルート全て載った全体地図です。
A4サイズでプリントしやすい様に作っておりますが、こちらの地図は簡易的なもので水にも弱いです。
登山専用の地図は遥かに詳細で水にも強く、コースの情報だけでなく近辺の公共機関や駐車場の情報も掲載されています。本格的な地図があれば登山もより楽しくなるのでおすすめです。
吉田ルート
- 出発地:富士スバルライン五合目(標高2305m)
- 標高差:約1450m
- 往復の距離:約14km
- 所要時間:登り:6時間10分 下り:3時間30分
- 剣ヶ峰往復:+1時間30分
富士登山のメイン登山道・山小屋も多く初心者も安心
登山道で最もポピュラーなのが吉田ルートで、全体の6割の登山者がこのルートを利用します。首都圏からのアクセスが便利な「富士スバルライン五合目」の登山口には食堂や土産物屋、登山用品を販売する店などもあり観光地の様な賑わいを見せています。
吉田ルート上には登山者も山小屋も多く、救護所も3箇所あることから初心者は安心して登ることができます。また登山道と下山道が別れているのですれ違いでの混雑が起こりにくく、ブルドーザーで均した下山道は道幅も広く段差も少ないので初心者にも下りやすいです。
吉田ルートでは、天気に恵まれれば夕方には影富士を、早朝にはご来光を見ることができます。
☓ここが弱点
週末やお盆などのピーク時には登山道だけでなく、五合目の駐車場も、駐車場までの道も大変混雑します。バスの下車までに時間がかかったり、トイレで並んだり、歩行中も渋滞にはまって予定が大幅に狂ったりするので注意が必要です。
ツアー客も多いため、特に八合目では山小屋が混雑します。富士登山のピーク時期、もしくは時間帯をずらしての登山が必須です。
吉田ルートに関するページ
富士宮ルート
- 出発地:富士宮口五合目(標高2390m)
- 標高差:約1350m
- 往復の距離:約8.5km
- 所要時間:登り:5時間30分 下り:3時間50分
- 剣ヶ峰往復:+35分
太平洋を背に登る、4ルート中最短のルート
吉田ルートに次いで人気のあるのが富士宮ルートで、約2.5割の登山者がこのルートを使います。富士登山4ルートの中で最も山頂までの距離が短く、また剣ヶ峰までも一番近いのが魅力です。天気が良く空気が澄んでいれば駿河湾を一望することもできます。
登山道と下山道が同じなので、道に迷う心配はありません。救護所も一箇所あります。
☓ここが弱点
登山道と下山道が同じなので、ピーク時には道を譲りあうため渋滞します。また短い距離で急に高度を稼いで登ってしまうため、高山病を発症するリスクは他のルートに比べて高いです。高山病対策は特に意識しましょう。
また下山時に段差を下るシーンも多いため、転倒やヒザを傷めるリスクも他のルートより高くなっています。足首やヒザをいたわりながらの丁寧な下山が必要です。
ご来光はルート上からほとんど見ることはできず、富士山の斜面から上がる感じで見ることができます。
富士宮ルートに関するページ
須走ルート
- 出発地:須走口五合目(標高1970m)
- 標高差:約1800m
- 往復の距離:約13km
- 所要時間:登り:6時間50分 下り:3時間20分
- 剣ヶ峰往復:+1時間30分
ピーク時に登山をする人におすすめ。下山は豪快な砂走り
標高差はありますが、須走ルートは4ルートの中でも距離が2番目に短いルートです。登山者の約1割しかこのルートを使わないため、静かな登山を楽しみたい方、お盆や週末の混雑した時期に富士登山を計画している方におすすめです。
また六合目近くまでは緑が多く高山植物を見ながらの登山を楽しめるのが須走ルートの特徴。下山時は砂礫の急斜面を下る砂走りを楽しめます。ルート上のほぼどこからでもご来光を見ることができます。
☓ここが弱点
利用者が少ないのは八合目までで、本八合目より上は吉田ルートと合流するため混雑します。山頂で御来光を見ようとすると合流後は渋滞にはまります。
また須走ルートの下山道は、最初吉田ルートと同じ道ですが「八合目」で別れます。大勢の吉田ルートを下山する登山者につられて道を間違ってしまうという事例が多発していますので、八合目の分岐には注意が必要です。
須走ルートに関するページ
御殿場ルート
- 出発地:御殿場口新五合目(標高1440m)
- 標高差:約2300m
- 往復の距離:約17.5km
- 所要時間:登り:8時間10分 下り:4時間20分
- 剣ヶ峰往復:+35分
登りが8時間を越える超ロングルート。下りの大砂走りは人気。
全ルートの中で最も標高差が大きく距離も長いのが御殿場ルートで、全体の約6%の登山者が利用します。混雑しない静かな富士登山を楽しめるので、山道での渋滞や混雑を避けたい人にはおすすめです。標高の低いところからジワジワと登っていくため、高山病リクスは最も低いルートでもあります。
御殿場ルートの醍醐味は往路のとても長い砂走りです。ぐいぐいと月面を駆けるような不思議な体験に惹かれて下山に御殿場ルートをとる人もいます。
五合目登山口へのマイカー規制が無いこともメリットです。また、宝永山も楽しむプリンスルートも人気です。
☓ここが弱点
長いコースなので体力と時間を必要とします。山小屋が少ないので食料や水、装備等を計画的に持参する必要があります。
特に、十分な量の水を用意して脱水症には気をつけたいところです。携帯トイレも用意した方がいいでしょう。(富士山のトイレと携帯トイレのススメ )
また、このルートは午後になると駿河湾で温められた水蒸気が山肌を下りてホワイトアウトになることがよくあります。その上登山者も少ないことから道迷いのリスクが他ルートよりも高く、標柱を確認しながら注意深く歩く必要があります。
御殿場ルートに関するページ
お鉢めぐり
- 距離:約2.5km
- 所要時間:約1時間30分
富士山頂を一周するお鉢めぐり
お鉢めぐりとは、直径600メートル、深さ約200メートルの富士山の火口の周りをぐるっと一周することを言います。大迫力の火口を眺めながらゆったりと歩き、久須志神社や浅間神社にお参り、そして剣ヶ峰に登るお鉢めぐりは富士登山者に人気のイベントとなっています。
ただし日帰り登山の場合は下山を考えなければならないので、お鉢めぐりで約1時間30分も余分に歩くのは体力的ににきついかもしれません。小屋泊りで時間的に余裕がある、晴れて展望も良く風も強くない、体力も下るのに十分ある、この条件がそろったときに「行きたければ、行く」くらいの気持ちでも良いかもしれません。