富士登山で最も距離の短い「富士宮ルート」の紹介
富士宮ルートの紹介
- 出発地:富士宮口五合目(標高2390m)
- 標高差:約1350m
- 往復の距離:約8.5km
- 所要時間:登り:5時間30分 下り:3時間50分
- 剣ヶ峰往復:+35分
距離と歩行時間が最も短いルート
富士登山で一番人気のあるルートは吉田ルートですが、その次に利用されているのがこの富士宮ルートです。富士山頂を目指す4ルートの中で、最も距離と歩行時間が短いことが人気の理由の一つでしょう。
コース自体は非常にシンプルで、見上げた先に見える山頂目指してひたすら登る、と言ったイメージです。
富士宮ルートで注意したいこと
高山病に注意
富士宮ルートは距離も歩行時間も短いので比較的簡単に思われるかも知れません。しかし富士宮ルートは高山病にかかるリスクが他のルートに比べて高いと言えます。じわじわと登る他のルートとは異なり、短時間で一気に標高を登ってしまうので高山病にかかりやすくなるのです。
ですので富士宮ルートを登る際は五合目で体を高度に慣れさせること、ゆっくりと登ることを心がけましょう。
道の渋滞も多い
富士宮ルートは登山道も下山道も同じ道なので迷いにくいことがメリットとしてあげられます。
しかしその一方で、道幅の狭い場所では登山者と下山者がすれ違うことで道が混雑して渋滞することがあります。そのことも考慮してゆとりのある計画を立てることをお勧めします。
下山時のケガに注意
吉田ルートなどは登山道と下山道が分かれており、下山道はジグザグとした傾斜の浅い道で、膝にも優しい非常に下りやすい道となっています(上の写真)。
しかし富士宮ルートには下山道がなく、そのため登ってきた道と同じ、傾斜のきつい段差のある道を下る必要があります。段差の多い道は膝への負担が多くケガをしやすいので充分に注意をして下ること、また富士登山前にはスクワットなどのトレーニングをしっかりと行っておくことが大切です。
マイカー規制、駐車場、混雑予想など
富士宮口五合目へ向かう際に利用する「富士山スカイライン」にはマイカー規制があり、夏のシーズン中はマイカーで富士宮口五合目へ向かうことが禁止されています。下記リンク先に詳しい情報がありますのでご確認ください。また前年度の登山者の入山数から割り出した混雑予想などもあります。
富士宮ルートを写真で解説
富士宮ルートの様子を写真と文章で紹介します。雰囲気を伝えやすくするために、写真を撮影した時間も記載しています。
登山をした日は7月26日、土曜日です。マイカー規制期間間だったので車は指定された「水ヶ塚公園駐車場」に停め、そこからシャトルバスで五合目の富士宮ルート登山口まで向かいました。
4時55分 「水ヶ塚公園」駐車場
富士山スカイラインがマイカー規制期間中の際に利用する、水ヶ塚公園の駐車場です。ここからシャトルバスに乗り「富士宮口五合目」へと向かいます。早朝のためか利用者はほとんどありませんでした。
- 駐車可能台数 / 約1000台
- 料金 / 1台1000円
水ヶ塚公園 駐車場のトイレ
シャトルバス乗り場
少しわかりづらいですが、お土産屋さんの前にシャトルバスのバス停があります。
5時 シャトルバス待ちの様子
6時始発のシャトルバスを待つ登山者の様子。バスのチケットは、バスが到着して乗り込む前に窓口で購入します。
- 運賃:片道1150円 / 往復1,500円(子供は半額)
- 所要時間:登り40分、下り35分
バス停の横にはタクシー乗り場もあります。
水ヶ塚駐車場から富士宮口五合目までの料金は約4,370円です。グループでの富士登山でしたら利用しても良いかもしれません。ただし深夜22:00から早朝5:00までは深夜の割増料金がかかります。
5時24分 バスのチケット購入と環境保全協力金の支払い
シャトルバスが到着。窓口でバスのチケットを購入したのち、そのままの流れで富士山「環境保全協力金」代1000円を支払います。
環境保全協力金を支払うと領収書、バッチ、富士登山のガイドブック、富士宮ルートの地図などがもらえます。
6時22分 富士宮口五合目に到着
6時に水ヶ塚駐車場を出発したシャトルバスは30分もかからずに「富士宮口五合目」に到着しました。始発で水ヶ塚を発ったバスは5台。多くの登山者が早朝から富士登山を始めます。
五合目から山頂の眺め
富士宮口五合目からの富士山の眺めです。マイカー規制期間外であればここまで車で来られます。
6時24分 「五合目レストハウス」2390m
シャトルバスから降りて階段を少し登ると、宿泊施設、売店、トイレ、食堂が併設された「表口五合目レストハウス」に到着します。こちらは広い場所なので荷物の整理や準備運動に適しています。
またここはすでに標高2400メートルもありますので、少なくとも1時間は使って体を高度に慣らしましょう。高山病の予防になります。
6時41分 富士宮ルート登山口より登山開始
表口五合目レストハウスから道路を挟んで反対側に富士宮ルートの登山口があります。上で「1時間は高度に体を慣らしましょう」と書きましたが、私は他の場所でゆっくりするつもりだったので荷物の整理と準備運動を済ませると登山を開始しました。
6時45分 富士宮口五合目の公衆トイレ
登り始めて数分で公衆トイレがでてきます。表口五合目レストハウスのトイレは混んでいることもあるので、こちらのトイレを利用するのも良いと思います。
トイレはチップ制で利用料金は100円です。
6時53分 ゆったりとした登り坂
公衆トイレを過ぎると長い、ゆったりとした登り坂が続きます。この区間はウォーミングアップをする区間としておすすめです。散歩をする様な感覚でゆっくりと登りながら、登山靴の履き心地やザックの背負い心地を確認しましょう。
またここでは、周りの登山者が平地と同じ様な速いスピードで登っていくことに焦りを感じるかも知れません。ですが周りに惑わされずに、ウォーミングアップとして考えゆっくりとマイペースで登りましょう。
この区間を振り返るとこの様な感じです。遠くに南アルプスの山が少し顔を出しています。
7時4分 六合目「宝永山荘、雲海荘」2490m
登山を開始してから30分もしないうちに、六合目の宝永山荘、雲海荘に到着します。 ここで水分を補給したりして軽く一息つくことをおすすめします。
ここまで少し歩いてみて、なんだか登山靴がしっくりこなかったりザックのバランスが悪かったりと感じることがあるかもしれません。この六合目から本格的な登りが始まるので、その前に登山靴やザックなどの調節をしっかりておきましょう。また日焼け止めを塗ることも忘れない様にしましょう。
六合目のトイレ
六合目のトイレはこの様な感じです。コインを入れて使用する仕組みになっています。一回200円。
7時9分 本格的な登りが始まる
六合目からは、これまでの道とうってかわって厳しくなります。ここから山頂まで同じ様な傾斜の道が続きます。
この辺りの登山道は写真の様な感じです。斜面がきつい上に地面が砂礫なので滑りやすいです。この様な道で直線に登っていくと滑りやすく疲れやすいので、ジグザグと登りやすい角度を選んで登りましょう。
8時8分 新七合目「御来光山荘」2790m
6合目の山小屋から約1時間登ると、新七合目の御来光山荘に到着します。
ここまでで全体の距離の3分の1ほどは歩いたことになりますが、この辺り、標高が2800mを超えた辺りから体が思う様に動かなくなる、と感じる人が多い様な気がします。
恐らく、ここからはこれまでと同じ様なペースで登ることは難しくなってくるので、無理をせず自分が苦しくないと感じるペースまで落として登りましょう。またしっかりと休憩し、水分をたくさん摂ることも大切です。
道の混雑
道が狭かったり、登山者の登るペースが落ちてきたりすると道が混雑することもあります。暑いし疲れてきたりと精神的にきつくなってきますが、道を譲ったり声を掛け合いながら協力して登山を楽しみましょう。
8時53分 七合目「山口山荘」3030m
七合目でやっと標高は3000mを超えます。登山を開始してからこの七合目までで標高を約600メートル登ったことになりますが、ここから山頂まではさらに700メートルを登らなければなりません。
経験的に、この3000メートルを越えた辺りから高山病の症状が出てくる人が多い気がします。充分に時間を取って休憩し、体を高度に慣らしましょう。
七合目の岩のジグザグ道
七合目から八合目の間は、写真の様な岩のジグザグ道が続きます。
9時49分 八合目「池田館」3220m
山頂までの道のりが見える
八合目から30分ほど登ると、ようやく富士山の山頂の様子が確認できる様になります。
10時39分 九合目「万年雪山荘」3400m
九合目からの眺め
登山開始してから4時間。ずいぶんと高いところまで登ってきました。写真中央上に見える山は愛鷹山(あしたかやま)です。
九合目から眺める宝永山
宝永の大噴火で作られた宝永山も上から見下ろせる様になりました。(写真左上)
11時30分 九合五勺「胸突山荘」3550m
山頂までの最後の山小屋、九合五勺の「胸突山荘」です。五勺は0.5合ぶんになります。
山頂までの最後の道のりです。ここまでくるとはっきりと山頂の様子が見えてきます。
山頂付近の渋滞の様子
山頂付近の渋滞の様子です。山頂付近の道は狭く、下山者とのすれ違いが多いため渋滞が起こりやすくなります(富士宮ルートは登山道と下山道が同じなため)。
お盆などの混雑期の利用は避けること、また時間に余裕のある登山計画を立てることをおすすめします。
山頂の鳥居が見えたらゴール間近です。
12時15分 富士宮ルート頂上に到着(3710m)
富士宮口五合目から登山を開始して、約5時間30分で頂上にに到着しました。
体力に余裕があれば3776メートルの「剣ヶ峰」に登ったり、山頂をぐるっと一周する「お鉢めぐり」もおすすめですが、下山はさらに大変ですしケガも多くなりますので無理はしない様にしましょう。たくさん休憩してエネルギーを補給して、下山の体力を蓄えましょう。
トイレもすぐ頂上のすぐ近くにあります。