富士山の疲れない登り方 高山病にならないために
富士登山で疲れてバテないように、また高山病にならない様登るためには体のコンディション、そして登り方が重要になります。
このページでは山を登るペースや疲れない登り方、富士登山前のコンディションの作り方、また荷物の軽量化の方法などを書いています。
富士山を登るペース
フルマラソンの様なイメージで登る
富士山を登り方のイメージは、フルマラソンを走り通そうとするのと似ているのではないかと思います。 自分の全身と相談するように、そろそろとウォーミングアップをするように走り「体があったまってきたなぁ」と思っても先は長いことを思い出し、我慢強く自分のペースを守る、という様なイメージです。
「苦しいな」というペースでは下ってくるまで体がもちません。ですので「これならいける」というペースを見つけることが重要です。
また横を元気な若者が走り抜けていっても気にせず呼吸を大切に守って、足腰が最後までもつように丁寧に地面に足を置くことも大事なことです。
急坂になったからと言いそこで疲れてしまわないように、歩幅は小さく筋肉は使わず、気が付いたら「急登は終わってた」というくらいの登り方が望ましいのです。
とくにふざけてスタートダッシュで登ったりすると、のちのちにその疲れが来るし、走ったり休んだりしているととても長くは続かない。そういうこともフルマラソンと同じです。
とにかく自分にダメージを与えないように省エネで登ること、そしてちゃんとエネルギーを余らせた状態で下山口に戻ってくること。ギリギリではいけない。ガス欠だと集中力もなくなり、浮石に足を取られたりと下山時でのケガにつながってしまいます。
富士山の登り方のポイント
①小さな歩幅で登り下り
山の登り方の基本は「小さな歩幅」で登ることす。大股で登り続けると足の筋肉を使いもたなくなるので、小股で省エネをしながら登ります。
ですので「どこに足を置いたら小さい歩幅で登れるだろうか」と意識しながら登る必要があります。ベテランの人のあとをついていると、蛇行しながらも小さな歩幅で登れる様工夫して登っているのがわかります。
大きな段差がある時も同じです。小さなステップを探して小刻みに登るか、歩数が増えても段差の少ない場所を選んで登ります。
これらの事は山を下山時も同じで、小さな歩幅でゆっくりと下ります。急斜面になるほど歩幅を小さくするように心がけて下さい。大きく踏み出すと膝を痛める原因にもなります。
②休憩は1時間に10分をめやすに
休憩は1時間に10分くらいを目安にします。50分ゆっくりと登って10分休むというリズムで登れる様にしましょう。ペースのところでも書きましたが、例えば30分急いで登って30分休むという様な登り方をすると、疲れて下山まで体がもたなくなります。
なお1時間に10分というのは目安ですので、休憩に適した場所があればそこで休憩をしてもかまいません。ただし全体の行動時間は把握しておかないと大幅に遅れる可能性もありますので時間の調節は必要になります。
休憩の際に体を冷やし過ぎると体力を消耗してしまいますので、寒くなる前に上着を着ましょう。またその際には水分や食料も補給します。
③水分をこまめに補給する
休憩時には水分と食料を補給します、と上に書きましたが、休憩時以外でも積極的に水分を摂りましょう。「のどが乾く前に飲む」が登山の鉄則です。特に富士山では高山病にかかる恐れもあるので、通常より意識的に多く水を飲むくらいでちょうど良いとおもいます。
そう言った理由で、ザックを下ろさなくてもこまめに水が飲める様、事前にドリンクホルダーを用意してすぐに水が飲める様にしておくとよいでしょう。(上の画像の商品はリュックのショルダーストラップに取り付けて使用するタイプで大変便利です。)
なお水分補給だけは不十分ですので、スポーツドリンクや水に溶かして飲む粉末などを用意し、失ったミネラルを補給することも大事です。
こちらは水を持ち運ぶためのソフトボトルです。2リットル入ります。山小屋で水を買うと高いので、節約したい方にはこういったアイテムもおすすめです。
④おかしを食べてこまめにエネルギーを補給する
食べ物も水分と同じで、休憩以外でも積極的に摂る様に心がけます。
登山ではたくさんのエネルギーを使います。エネルギー不足に陥ると「シャリバテ」と言われる脳がぼーっとして動けなくなる状態になり、ひどい場合は嘔吐する事もあります。
ですのでお腹が空いたなあと思う前にこまめにお菓子(登山では行動食と呼んだりします)などを食べ、失ったエネルギーを補給しながら登りましょう。
チョコレートや飴などの糖分が含まれる食べ物、もしくはご飯など炭水化物が含まれる食べ物がシャリバテには有効です。
荷物を軽くしよう
あれを持っていくべきか、これは置いていくべきか、と物が無い山の中なのでいろいろと心配になりますが、荷物が多いと登山はすごく疲れます。必要なものだけ厳選して持って行くようにしましょう。
コインロッカーを使用する
バスや電車で富士登山に来られる方は、着替えやガイドブックなど登山では使用しない物を持っていることが多いかも知れません。駅前のコインロッカー、もしくは吉田口五合目のコインロッカー等を利用し余分なものは預けてから登山にでる様にしましょう。
食料・飲み物は山小屋で買う
富士山の山小屋では水や食料、お菓子などを買うことができますが、物価が高いことで有名です。例えば富士山の山頂なら水は500mlで約500円。
なのでなるべくなら水は自分で5合目から担ぎあげたいものですが、荷物を軽くするために水は全て山小屋で買う、という方法もありだと思います。
日帰りの富士登山では少なくとも2リットルの飲み物は欲しいので、それらを全部山小屋で買うと2000円ほどかかります。しかし「2000円で楽ができる」と考えると安いものでしょう。そしてごはんも山小屋で食べる様にすればさらに荷物を軽くできます。
ラクをお金で買うみたいな話しではありますが、安全で無理のない登山をするためにも山小屋を上手に利用するのも一つの考え方です。
軽い装備を買う・荷物の軽量化をがんばる
これもお金がかかる話しですが、例えばレインウェアやダウンジャケットなら高価なモデルは軽量化されたものがほとんどです。これらを揃えるだけでもペットボトル1本分くらい荷物を軽くすることもできます。
しかしそれ以外にもできる事はたくさんあります。
- 数人で登る場合は荷物を分担して持つ。(例えば5人で登る場合、1人が日焼け止めを持ってくる。)
- 満タンの日焼け止めではなく必要な分だけ用意する。
- 化粧品類は必要な分だけ小瓶に移す。
- 重たい財布は持っていかない。ジップロックなどにお金を入れる。
- 汗ふきシート等も必要なぶんだけ持っていく。
- 携帯のモバイルバッテリーは持っていかない。使わない時は電源を切る。
- お菓子の外袋は捨ててくる。
細かいことばかりになってしまいましたが、上記のことをするだけでも荷物をかなり軽くすることができます。まだまだ探せば軽量化できるものはたくさんあるでしょう。
このような感じで、登山のベテランの方も常に荷物の軽量化に努めています。ザックが重いと登山が大変になるとわかっているので、どうしたらもっと軽くできるだろうかと日々工夫を凝らしているのです。
それでも、万が一のことを考え防寒着や救急セット、ヘッドランプ、非常食等は必ず用意しましょう。どんな状況でも遭難することは考えられますので、そこだけは抜かないで荷物の軽量化をしてください。
富士登山前のコンディション作り
富士登山1週間前は軽い運動を
富士山に行くならば、誰もが「登頂したい」と思うのは当たり前のことです。それでも頂上まで行ける人もいれば、行けない人もたくさんいます。
その違いはなんでしょうか。たしかに高山病になりやすい体質の人とそうでない人がいるのかもしれません。体力の問題も多少あるでしょう。
でもそれ以前に、私は体のコンディションの問題が重要ではないかと思います。一番には、先に述べたように当日の体の使い方だと思います。そして食事の取り方、水の取り方、休憩の取り方、装備の選び方…などです。
事前に運動をして筋肉を目覚めさせる
あと事前に出来ることとしては、富士山に登る前の1週間前とかに軽い”スロージョギング”や”ウォーキング”をした方が良いことは確かです。まったく体を使わないで挑むよりも、筋肉を目覚めさせておいたほうが良いのです。日常的にスポーツをしている人には必要のないことかもしれません。
それから本当に富士登山直前になって出来ることとしては、とにかく睡眠を取って、良く食べて、体を十分休ませておくことだと思います。
富士登山に自信がない人・体力が心配な人
山小屋に宿泊する。もしくは山小屋で休憩する
それでも「心配だ」と思う人は、富士山の5合目か8合目で1泊するプランを試すのも良いと思います。1日で一気に登るよりも高度順応ができるので、高山病になる確率も下がります。
また宿泊をしなくても「数時間で2,000円」などという値段で山小屋に休憩も出来ると思うので、体力に心配な人はそういうものも利用するつもりで富士山登山の計画をしてはどうでしょうか。
あとはこのサイトでも書いていますが、富士山登山が初めての人には山小屋の空いている時期に登ってもらうことがよいでしょう。
筋力に自信がない人はスポーツタイツがおすすめ
普段運動をしていない人、筋力に自信がない人、階段の登り下りなどをする機会が少ない人には「スポーツタイツ」がおすすめです。一度履くとそれなしでは登れない、という人もいるほどです。
富士登山は登りも下りもきついですが、足、特に太ももがキツイと感じるのは下山の時です。太ももが痛いな、くらいならまだいいのですが、痛いを通り越して一歩を踏み出すのにも必死になることもあります(私の経験上ですが)。
しかしスポーツタイツを履くとこの様な状態にはなりません。タイツが筋肉をサポートしてくれるので「一歩を踏み出すのが必死になる」ということがなくなります。足はとっくに限界にきているのに、それをタイツが助けてくれているのです。
富士山に限らず登山では何度もスポーツタイツには助けられてきたので、足の筋力に自信のない人には本当におすすめです。詳しくは下のリンク先にも書いていますのでぜひ読んでみてください。
即効性がウリの筋肉痛軽減サプリに期待する
こちらはまだまだ日本での認知度は低いサプリですが、ぜひとも試して頂きたいのが「カツサプ」です。カツオを凝縮したエキスの働きで乳酸をエネルギーに変え、筋肉を保護し、富士登山の下山中や翌日以降に怖い筋肉痛を半減する効果があるとのことです。
登山以外では例えば、強度の疲労がかかるトライアスロン大会の本番などに飲まれたりしてアスリートの評価が高いのです。
飲み方は、富士登山は体力的にハードなので、登山前に1本、登山中は1-2時間に1本という感じで粉末を水に溶かして集中的に飲んでいきます。他のサプリと比べると少しお高いですが、「全く運動していないので自信がない!」人や「今年こそ富士山の頂上に立ちたい!」と言った人の、ここ一番のサプリとしておすすめです。
50歳、ヘビースモーカーの母親が富士山に登った話し
私が、50歳のヘビースモーカーの、普段全然運動をしない母を連れていったときは、とにかくゆっくり登るように時間をとりました。
深夜過ぎに登り始め、8合目辺りでご来光を見ました。富士山の頂上に着いたのは昼前で、それからはまたものすごくゆっくりと下ってきました。最後は、”登山口まで1時間くらいを乗せてくれる馬”が店じまいの時間で、「2人乗って3,000円」という破格の値段だったので乗馬したことを覚えています。
おそらく16時間という長時間の行動だったと思いますが、そのぶん風を避けるカッパや休憩時に敷くマット、そして温かい飲み物も充分にとれる準備をして行きました。