富士山の登頂プランを立てる
富士登山のだいたいの日程が決まったら、次は富士山の登頂プランを立てましょう。何時に五合目に着き、出発→山小屋に到着→山小屋を出発→頂上→下山・・・とプランを立てていきます。
プランは大きくご来光を頂上で見るか見ないかの2つに別れ、さらにそれぞれに2つのプランがあります。この4つのプランが富士登山の代表的なプランです。これ以外には、頂上の山小屋に宿泊してお鉢めぐりをするプランなどがあります。
ここで紹介しているパターンは、往復の行動時間を12~14時間、お鉢めぐりはプラス1時間半~2時間を前提に計算しており、これは順調にゆっくり歩いた場合の標準的な時間となっています。
徹夜でご来光プラン(徹夜登山・夜登り)
※ この登り方ですが、『弾丸登山』と名付けられ、「登山者が自粛してくれるようによびかけて欲しい」と山梨・静岡県長が観光庁に対し要請しました(2013年6月5日)。
一番ハードなプラン
富士山の登頂プランの中で一番ハードなスケジュールのプランですが、山小屋宿泊代や必要な休日を節約できることから依然として人気があります。
仕事を早めに切り上げて富士山に向かい、五合目を夜8時頃出発し、寝ずに登り続けご来光に間に合うように登頂。朝の5時前後、ご来光を見たあとそのまま下山を開始し、帰路に付く、というようなイメージで、とてもハードです。時間がない人や週末一日しか休めない、という人に多いプランです。
体力に自信がない人はやめた方が良いでしょう。またご来光に間に合わせようと急いで登ると、高山病になりやすくなるので注意が必要です。
行程のイメージ
- 20:00 五合目 発
- 21:00 六合目 着
- 22:00 七合目 着
- 24:00 八合目 着
- 02:00 本八合目 着
- 03:00 九合目 着
- 03:30 山頂 着
- 06:00 下山開始
- 10:00 五合目着 登山終了
メリット(人気の理由)
- 夜中じゅう歩いて登頂し御来光を見る、というイベント性
- 山小屋宿泊代がかからない
- 日帰り出来る
デメリット
- 疲れに加え眠気とも戦わないといけない可能性大
- 週末やお盆は八合目より上で御来光渋滞に巻き込まれる可能性あり
- 急な高度上昇による高山病や、疲れによる下山時の転倒の危険
- 夜、暗い中ライトを使って見えにくい道を歩くことは、疲労が増大する
コツ
- 「混んでいたら小屋の前で御来光を見てもいい」という心づもりをしていくと気持ちに余裕が。
- あまりに眠くなったら御来光組出発後の山小屋で仮眠をうけ入れてるところもあるので利用する。
- 渋滞や御来光待ちで疲れた体が冷えてしまうと低体温症になり危険なので、防寒には特に注意を。
- 運転して帰る場合はかならず仮眠をとる。
徹夜でご来光プランの経験談
8月頭に須走ルートを徹夜登山をしました。まだ”弾丸登山”と言われる前だったので、深夜でも駐車場には車がいっぱいでにぎやかでした。
気持ちよさそうな樹林を抜けて行きましたが真っ暗で何も見えませんでした。すでに肌寒く、暗くて何も見えない道を歩いていると眠くなりました。眠気に勝てず、カッパを着て道端でちょこっと寝ました。
それでも眠気に勝てず、八合目当たりで2時間ほど山小屋で仮眠しました。3000円くらいでした。そこの小屋は寝袋ではなく布団で、小屋の人が「御来光ですよー」と起こしてくれましたが、あまりの眠さに「御来光見なくていいです」といって2度寝しました。最高に幸せな2度寝でした。
その後はのんびり登りました。仮眠したにも関わらず友人はその後気持ち悪くなって吐いていましたが、吐いてしまうとコロっと元気になり登頂しました。 たまたま山小屋で仮眠させてもらえたのでよかったですが、もしできていなかったら、と考えるとちょっと怖いです。
山小屋一泊山頂ご来光プラン
ゆったり山頂ご来光プラン
山小屋で一泊してご来光を見るゆったりプランです。
1日目は夕方頃までに七合目か八合目まで登り山小屋に到着。そこでゆっくりと仮眠し、次の日の午前0時から1時頃山小屋を出発。ご来光の前に富士山の頂上へと到着します。
五合目から一気に頂上まで登らず山小屋に留まるので、体が高度に慣れ高山病を予防します。「余裕をもって山頂でのご来光を迎えたい」という場合はこのプランがベストでしょう。
行程のイメージ
- 11:00 五合目 発
- 12:00 六合目 着
- 13:30 七合目 着
- 15:30 八合目 山小屋 着
- 24:00 八合目 山小屋 発
- 01:40 本八合目 着
- 02:40 九合目 着
- 03:20 山頂 着
- 06:00 下山開始
- 10:00 五合目着 登山終了
メリット
- 体力・時間的に余裕ができる
- 初の山小屋で「眠れなかった」という場合に、やっぱり朝まで寝てから出発するという選択肢もあるので、登頂の可能性が高まる
デメリット
このパターンの登山者がかなり多いため、混雑予想日を避けないと、山小屋の混雑・御来光渋滞などに巻き込まれる可能性が高い
コツ
週末やお盆などにしか登山日を確保できなかった場合は、山小屋でも登山道でも大量の人にもまれ、人疲れする可能性があります。八合目より下の山小屋に宿泊して、歩きながら御来光を見る、吉田ルートを外す、など調整して 人ごみを避けたほうがベターです。
ゆったりご来光プランの経験談
7月中旬の平日に吉田口八合目の山小屋に泊りました。平日だったからか山小屋もそこまでは混んでいませんでした。
夜は眠くて寝るというより「とにかく寝ないと!」という感じで、思えば思うほど寝れなくて、結局寝たかどうかわからない状態で起きて夜中の12時頃出発。少し渋滞が出来ていましたが長い時間立ち止まるほどでもなく、逆に寝不足の体にはダラダラした歩きの方が息も切れずちょうどよくて、テンションが低い間に頂上までの暗くてキツイ登りも終わってなんだかラッキーという感じでした。
4時ごろに到着したので御来光を待つ時間もちょうどよく、帰りは明るくなった道を戻ってくる、というのも登るときと見える景色が違って良いかも、と思いました。
七、八合目一泊プラン
超ゆったりプラン。体力に自信がない方は
初日の夕方頃までに七合目か八合目の山小屋に着き、宿泊します。睡眠をしっかりとり、朝食もしっかり食べ、小屋の前で御来光を見て5時頃出発し、午前中に富士山の頂上へ。朝もゆっくりで、しかもご来光にあわせる必要がないので、時間に余裕のあるプランです。
途中山小屋で一泊するので高山病の予防にもなり、また下山もあせる必要がないので夕方までには五合目に到着することができます。
体力に自信がない人におすすめのゆったりプランです。メンバーの中に体力やガッツが未知数の人がいたり、また、外国からのお友達を連れてきたからなにがなんでも登頂をさせてあげたいんだ~!とか、そういうケースならこれくら余裕を持たせた方が良いかもしれません。
それに山の滞在時間も長いですから、時間によってくるくると変わる雲や風の表情や夕日や星や夜景。それらを余裕をもって楽しめるプランと言えるかもしれません。
行程のイメージ
- 11:00 五合目 発
- 12:00 六合目 着
- 13:30 七合目 着
- 15:30 八合目 山小屋 着
- 翌05:00 八合目 山小屋 発
- 06:40 本八合目 着
- 07:40 九合目 着
- 08:40 山頂 着
- 10:00 下山開始
- 14:00 五合目着 登山終了
メリット
- 十分な余裕がある
- お鉢めぐりをする時間的余裕もあり
五合目一泊プラン(前泊・日帰り)
夜間五合目に到着予定の人は
夜間登山口に到着する人が利用する事が多いプランです。初日は五合目の山小屋や車中で仮眠し、翌朝の早朝3時か4時頃に起きて出発。七、八合目あたりでご来光を見て、午前中に頂上に到着、下山というプランです。
七、八合目の山小屋で仮眠をとらずに登るプランなので、体力的にきつい人もいるかも知れません。
行程のイメージ
- 04:00 五合目 発
- 05:00 六合目 着
- 06:20 七合目 着
- 08:20 八合目 着
- 10:00 本八合目 着
- 11:00 九合目 着
- 11:30 山頂 着
- 13:00 下山開始
- 17:00 五合目着 登山終了
メリット
- 前夜に一泊するので高度順応が出来る
- 車中泊なら山小屋代がかからない
- 日帰りできるし、明るいうちに歩ける
デメリット
- お鉢めぐりはかなり厳しい
- 仮眠も無いのでそこそこハード
- マイカーでの五合目車中泊は、マイカー規制期間中はできない
五合目一泊プランの経験談
7月あたまの金曜日に吉田口五合目で車中泊、土曜日の日中に登ったことがあります。
金曜日は夜9時半駐車場に着くと50台くらい車があり、その後深夜も続々と車が集まってきていました。土曜の予報は雨で、駐車場に着いた時からかなり降っていました。
4時に起きて5時に出発、渋滞も無く、それほどゆっくり休憩もしていないのに(もちろんお鉢めぐりも無し)駐車場に戻ってきたのは19時。合計14時間行動でした。
時間がかかったことの一つに仲間の高山病で足取りが重かったこともありますが、まだ雪が残っていて下山道(ブルドーザー道)が使えず、下りも岩場を下ってこなければならなかったことがありました。登る人と譲り合いながらの下りなので時間も取られましたし、疲れた体で集中して岩場を下ることはけっこう大変な様子した。