自転車旅行6日目:群馬県妙義から長野県軽井沢へ
2007年5月12日
碓氷峠。群馬から長野へと向かうために通らなくてはならない、中山道の難所である。
古くからみんな、関東から京都をめざしこの峠を越えてきた。
碓氷峠への道のり
本来なら、僕らは碓氷峠の入り口の「坂元宿」というところで一泊する予定だった。妙義からの距離もそうだし、峠を攻める前に体力を整える必要があったからである・・・。
朝、6時30分に起床し、妙義神社へと足を運んだ。朝の深い森の中の神社はまさに神聖な場所で、眠たかったがとてもすがしがしい気分がした。
ここ道の駅妙義のキャンプ条件は最高に良いものの、一つだけ難点がある。ここが峠という事である。走り屋と暴走族の排気音。とてもやかましい。あるものは先の山を目指しのぼり、またあるものは道の駅で休息し、暴走族に関しては道の駅周辺でふかしまくった。
おかげで完全に寝た気分がしない。
お互い後片付けと準備をし、朝ごはんに買った大福とクッキーのようなものとコーヒーを飲み出発した。9時30分頃だ。
道は下り坂である。妙義へはさんざん登ったため、ごほうびの下り坂だ。
自転車で一番気持ちのいい瞬間は峠を下る事かも知れない。
遠くの山をみつめ、髪をなびかせながら快走し中山道に出た。
中山道はゆるいのぼり坂だった。また交通量も多かったが、車は僕らを避けて通ってくれた。
ロードバイクにも何度か追い越された。「こんにちは」と挨拶をし去っていく。
峠はもうすぐそこなのだ。
碓氷峠
中山道の「坂元宿」にテントを張る予定だったが、気がついたら坂本宿にいた。10時過ぎの事だ。峠を下ったために簡単に距離がかせげたのだ。 しばらく悩んだが、僕らは碓氷峠を越える事を決めた。突然、心の準備をしないまま碓氷峠越えをする事になってしまった。
きつく、急なカーブを何度か抜けると、ゆるい登りのまっすぐな道が続いた。通りの両側にはいい感じの民家もある。実はここらへんが坂元宿だった。歴史的な感じはないが、峠を前にし気持ちのいい町並みだった。休憩中ロードバイクのおっさん達と話たりした。すごくいい人たちだった。僕はゴーグルにスパッツにっていうコテンコテンの人たちが苦手だったけど、良い人達だった。苦手をやめる事にした。
本格的に峠の入り口に来た。ここから先は民家の一つもない。話によると自販はあるか、ないか・・・という感じだった。
峠に踏み入れる。いくつか山は登ったが、峠と言えるのはこれが最初だ。少し緊張した。
道は妙義の様に急ではなく、ゆったりとしたのぼりだった。なんとかいける気がした。しばらくゆるい登りを登る。途中で休憩しながら登る。たまに車が横を通るが、聞こえるのは僕の息使いだけだ。
登る度に下界から離れて行っているのがわかる。空気が変わって行く。
途中僕は気づいた事がある。峠は楽しい。
上り坂だからきつい事には変わりがないが、空気がいいし、木陰が涼しい。
また時折吹く山の風がなんとも心地良いのである。
車は通るけれども、碓氷バイパスも通っているため、大半はそちらでいく。
山道だが、車に怯え国道を走るより全くいい。
休み休みだが、快適に碓氷峠を登っていった。
どれくらい上ったのだろうか。まだ頂上には着きそうにない。 碓氷峠のカーブの数は184個あるという。カーブごとにある表札が自分の現在地を示してくれる。
カーブの表札が145になったとき、もう僕は自転車のペダルをこげなくなった。足の限界と、勾配が突然きつくなったのだ。今までギヤを一番下に落としたり、一個上げてまた落としたり、場面場面ごまかしながら乗っていたが、ついに限界が来た。やりたくはなかったが僕は自転車を押して上る事を決めた。
案外自転車を押して上るのは楽だった。妙義の時は自転車を押すこともままならなかったが、碓氷峠くらいの勾配なら余裕だ。しかも馬を連れているみたいで気持ち良いではないか。僕は自転車を押すことの楽さを味わってしまい、それからは押したり乗ったりを繰り返した。
それからいくつものカーブをまがり、表札の数字の桁は大きくなった。そして184、とうとう頂上についた。頂上は、碓氷峠を登り切った喜びを感じるには、あまりにも寂しいつくりだった。長野の看板と、何が書いてあるのかわからない碑が建っているだけだった。せめて、ゴール!とかお疲れ様、的な表現が無理やりでも欲しかった。空気を読んで欲しかった。
まあそれでも碓氷峠の頂上についたのである。峠を越えたのである。病院でよく言うあれだ。峠を越えたのだ。ペナントでも売っていたら絶対買っているところだ。本当に。でも、一番心配していた峠を越える事が出来た。嬉しい。
とうとう群馬県の碓氷峠を越えて長野県に入った!自転車で長野までこれたのである!
軽井沢
頂上ではすこし休憩し、峠を長野に向け下った。寒さ対策のため、一枚上からジャンパーを羽織、帽子をハットからニットに買えたが、一瞬で峠を下り終えてしまった。長野側から碓氷峠のてっぺんまでの距離はかなり短いのである。逆だったらよかったのに。
そして とうとう軽井沢に着いた。僕の関東脱出の目安の地は軽井沢だった。来た事もないし、峠を越えたあとの楽園的なイメージがあった。天皇家の人々が避暑にゆく、優雅なイメージがあった。テニスをしている金持ち大学生がいるイメージがあった。そのキーポイントの軽井沢にとうとう自転車で到着したのだ。
思ったとおり、軽井沢は良いところだ。遠くに見える山々、低い建物。みんなの土地の使い方の豪華さ。こうゆう別荘地はこまごまとしていないからゆったりとして見える。歩道も広く、木々も多いので走っていると最高に気持ちがいい。駅で観光マップをもらい、ドロップアウトしたとみられる老夫婦が開いたコオシャレな店でひれかつを食べ、今日の寝床の予定の公園を目指した。
風越公園
軽井沢の駅の近くに道の駅は無く、またキャンプ場もない。僕らは中山道からそれた公園でキャンプする事を決めた。
この公園は広い。目の前はテニスコート、その前にはスケートリンクもある。民家もなく人もいない。水もあるし、木も多いのですごしやすそうじゃないか。ただ一つ、寒い。今は6時前だが、もうすでにダウンまで着込んでいる。この先が思いやられる。そしてもう一つ、ウィルコムのエアーエッジの電波が無い。もうかれこれ3日もアップしないことになる。後で中山道まで戻って試してみるが、ちゃんとアップ出来るか心配だ。
ふう、とにかく今日は峠を越えた。寝床も確保した。
あとは気持ちよく朝が迎えられるかどうかだ。
出発地 | 現在地 | 走行距離 | 走行時間 | 総走行距離 | 朝飯 | 昼飯 | 夜飯 |
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妙義 | 軽井沢 | 32k | 6時間 | 182.5k | 大福 | ひれかつ定食 | かにスープ |