ウェリントンでフラット探し、奇跡のオーナーからの連絡。
ウェリントンに着いて6日目になる。明日からの宿は決まっていないので、今日は決断をしなければならない日だ。そして今の僕はどの寂しがり屋な女の子よりも、携帯が鳴るのを待っている。フラットのオーナーからの連絡だ。
そんなのに嫌気がさした僕は、昼過ぎまで寝ていた。カーペット掃除業者のおやじが部屋を掃除したがっていたのでしょうがなく起きた。相変わらず携帯はシーンとしている。もう僕にやれる事はない。とりあえずいつものように、インターネットをやりにマックへと向かった。
いつものようにチーズバーガーコンボをたのんだ。うまい。そしていつもの様にインターネットに接続する。もちろんパソコンの方にもフラットからの連絡はない。明日からの宿泊先を調べるため、ウェリントンのバックパッカーを検索。10人部屋のドミトリーで18ドルというのもあるが埋まっている。ドミトリーが23ドルの宿も発見し、ここに移ろうか、と考えているとどうも様子がおかしい。どの宿も2月の4日か5日あたりの予約がとれないのだ。これらの日は国民の休日か何かだろうか。今後バックパッカー暮らしをするとしたら、これはピンチである。2日間野宿ということになってしまう。早いうちにフラットを見つけるか、もしくは語学学校のアパートに入るしかない。
宿に戻り、建物と建物の狭間にできた中庭の様なところで、タバコを吸いながら途方にくれた。こんな僕によって来るのはジャンキーのカナダ人だけである。気分が重い。
バックパッカー暮らしを続けようと考えていたが、どうやらそれは面倒な事になりそうだ。オークランドに行こうか、一週間で250ドルの高級アパートに行くか。
悩んだ末、語学学校がもつ高級アパートに行く事に決めた。とりあえず一ヶ月くらいそこに住み、その間にフラットを見つければよい、という考えにした。
語学学校ではラェウィンという感じの良いおばさんと、アパートの件について話した。内容は以前にスーザンに聞いていたものと同じである。試しにホームステイについて聞いてみると、200ドルちょっとという話しだったが、街からは遠く、バス代に一ヶ月140ドルほどかかるようだ。なので僕はアパートに住む話しを進めた。アパートは全てコミコミで250ドル。インターネットは別料金だけど、語学学校でwifiができるので問題はない。そしてアパートの場所の説明を受け、部屋番号を教えてもらい、部屋の鍵をもらった。そしてクレジットカードで決済。
くやしい瞬間である。イバラの道を選んできたつもりだが、ここに来て一番楽な道をチョイスした。残念でもあるが、しかしそれと安堵感も少しある。明日からの心配をしばらくしなくて良いのだ。とにかく、終わった。と、その時である。
僕の携帯が”ピッ”と鳴った。テキストが送られてきたのだ。見るとフラットのオーナーからである。部屋が一つ空いているから見に来ないか、とのことだ。奇跡である。しかしタイミングが悪い。僕はほんの数秒前に、カードをきったばかりなのだ。とりあえず、今日、部屋を見れるか、と返信。すると、19:15分はオーケーかとの返信。そしてラェウィンにこのメールを見せる。すると彼女は喜んでくれ、グッドラックと言ってくれた。そのフラットがとれれば、先ほどカードをきったアパートのお金もキャンセルもできるという。
最後のチャンスだ。高級アパートに暮らすか、夢のフラットを手に入れるかの分かれ道だ。そして今は18時。あと1時間ちょっとでフラット見学会は開催される。場所は僕が大好きな、マウントビクトリアである。何人が見学に来るのだろうか。どれだけ来ても負けてはならない。確実に勝ち取るのだ。
そして。
1時間前くらいに宿を出発し、マウントビクトリアにあるそのフラットにたどり着いた。30分前についてしまったので、ただぼーっと家の前で時間を潰した。19:15分に待ち合わせって、いったいどれくらい前に訪れていいのだろうか、悩んでしまう。早すぎても困るだろう。悩んだ結果、3分前にチャイムを鳴らした。
でてきたのはサバサバっとした白人の女の子である。年は20代前半だろうか。彼女は家を裸足で歩いているが、僕は靴を履いている。脱がなくて良いのだろうかと思ってしまう。ふと思ったが、ライバルはいないようだ。期待に胸が膨らんだ。しかし真の敵は彼女の英語であった。何を話しているのか99.5%理解できない。聞き直すも速すぎてわからない。大きい目が怖い。とりあえず僕の判断によると、小さい部屋は155ドルだけど人がいて、その人が大きい方に移動するなら使える(交渉するようだ)。大きい方は170ドルで使える、のように判断した。なのでなるべくなら小さい方がいいが、無理なら大きい方でよい、とした。彼女は、小さい部屋の住人と話して、それからまた明日連絡すると言っていた。約5分くらいだろうか。うまくいったのか、いっていないのかもわからない。
家はどんなだったかと言うと、ほとんど覚えていない。話に集中しすぎて何も見ることができなかった。キッチンやらダイニング的なものは全て揃っていたように思う。しかし部屋には何もなかったと思う。なので寝袋とマットで暮らすことになるかもしれない。
明日の何時頃に連絡が来るのだろうか。なるべくなら早い方がいい。なぜなら明日には宿をでなければならない。できることなら明日にでもフラットに移りたいのだ。今の宿をもう一泊する方がベターだろうか。早く連絡が欲しい。語学学校のアパートも、すぐにでもキャンセルしなければならないのだ。
これで全て終わってくれると嬉しい。
そうそう、語学学校のラェウィンが言うには、今の時期フラットを探すのが一番難しいらしい。ウェリントンの大学に通うため、学生たちが集まってくるようだ。(1/27 end)