初心者のための登山とキャンプ入門

ミルフォードトラック・トレッキング初日

ミルフォードトラックとジェームス

2011年1月13日木曜日。本日はミルフォードトラックのトレッキング初日だ。朝は8時前に起きた。眠れたような、眠れなかったような、睡眠中ずっと意識があったような気がするが、とりあえず二度寝もせず起きることにした。朝食にハムを乗っけたトーストを食べコーヒーを飲み、荷物を整理する。必要のない荷物はフロントに預けた。そして昨日知り合ったオーストラリア人のジェームスと一緒に、バス乗り場であるDOCに向かった。歩きながらジェームスに、僕と歩くのは問題ないだろうか、一人で歩きたくはないのか、的な事を聞くと彼は笑顔で、僕と歩きたいと言ってくれた。とても嬉しい。

友達になったジェームズ

DOCには4名日本人らしき人たちがいた。荷物から見るとデイハイキングのようで、僕らの歩くミルフォードトラックとは違うようだ。それともガイド付きのトレッキングだろうか。話しかけようと思ったけど、なんとなくやめた。
バスは9時45分にDOCを出発、テアナウ湖沿いを走り、数十分後にフェリー乗り場であるテアナウダウンに到着した。このフェリーに乗ってたどり着いた湖の先がミルフォードトラックのトレッキングのスタート地点だ。

ミルフォードトラック入口

フェリーの中でジェームスと会話をし続けた。彼は英語で色々と話しかけてくれる。もし僕が答えに悩んでいるようなら例を出してくれるし、わからない単語なら一生懸命説明をしてくれる。僕が英語で最後まで話せるように手伝ってくれるのだ。彼は僕に英語を教えようと一生懸命してくれ、それが僕の喜びだ、的な事を言ってくれている。素晴らしい先生である、と思いたいところだが、僕は朝から英語の先生であるジェームスと常に一緒に行動しているのでとても、とてもハードだ。今まではわからないところは笑っているか、イエッとか言っていれば済んだが、もうそうはいかなくなった。基本的に質問される事がが多いので答えないわけにはいかないのだ。そうして一生懸命苦心して話しているうちに、フェリーは「Wharf」と呼ばれるトレッキングの出発点に到着した。空は快晴、気温は歩くのにちょうど良い、やや肌寒い感じだ。

きれいに整備されたトレッキングコースを歩く。二人並んで歩けるくらいの道の幅だ。木々は苔むしており、日本の山ではみない感じの植物ばかり。そんな道を歩いた。途中Red Beech?長寿のブナだろうか、とか見たり湿原に寄り道したりして進む。今までは被写体がいないつまらない写真しか撮れなかったが、今はジェームスがいるので絵が多少面白くなる。しかもハンサムなので助かる。彼に写真を送る約束した。

ミルフォードトラック上
巨大なブナの木
湿原地帯
川で給水と休憩

そうやって二人は川沿いの道をゆっくりと歩いて行くが、英語でのトークはひたすら続いてゆく。僕の趣味、日本で住むならどこがいいか、彼の仕事のこと、僕の仕事のこと、僕の家族構成や、彼の姉の話しなど、まだまだ沢山あるが、そんな話をしながら歩いた。とてもハードである。荷物を持って歩くよりよっぽどハードで、しかも時間が経つに連れジェームスの英語の授業は厳しさをましていく。僕が彼の質問につまると答えるまで待ち続けるし、発音の訂正も多くなってきた。なかなか答えにくい難題も振ってくる。そうしてそうこうする間に初日の宿泊先である、クリントンハットに到着した。ハットとは山小屋のようなもの。本日の歩行時間は約1時間30分。

クリントンハット
クリントンハット

クリントンハットの宿舎は2棟。それ以外には屋根付きのキッチンダイニングの棟が一つ、離れにトイレがある。宿舎もキッチンもトイレも全て掃除が行き届いておりとても清潔だ。キッチンにはシンクが3つ、コンロが6つ備え付けてある。水も水道の蛇口から出るし、食器を洗うための洗剤と思われるものも用意されている。また10人がけくらいの大きなテーブルがあり、食事はここでとることができる。宿舎とキッチン同様、はなれにあるトイレもとても清潔で掃除が行き届いている。水洗トイレだしトイレットペーパーも備え付けてある。手を洗えるばかりか鏡までついていたれりつくせり。さすが超高級トレッキングコースだけあり設備は抜群、山の中とは思えない贅沢さ。アウトドアに慣れていない女性でも安心して過ごせる事と思う。

クリントンハットの屋円付きキッチン
クリントンハットのキッチンのコンロ
クリントンハットの洗面台
クリントンハットの水洗トイレ

宿舎には木製で振動のなさそうな二段ベッドがいくつかならんでおり、厚めの暖かそうなマットも用意されている。マットの厚さは15cm以上あるだろうか。体操の授業で使いそうなボリュームのあるものだ。毛布は用意されていないので、それは自分で持ち込まなければならない。また一つ一つのベッドの間隔も離れているので窮屈で息苦しいこともない。ジャケットをかけれるようなフックもある。そうそう、ちなみに宿舎は土足厳禁である(専用のサンダルを用意しておくとよいかも)。

クリントンハットのベッド
クリントンハット、登山靴は外に

クリントンハットに着き荷物を整理した後、僕はこうしてパソコンを打っているが、大体の人は昼寝に入った。僕は夜眠れなくなるのを避けたいのでなんとか起きていようと思う。
本日はミルフォードトラックの初日、海外でのトレッキングの初日である。明日からはもっと歩かなければいけない。そしてジェームスとの英語レッスンは、より大変さを増すだろうと予想される。予習をする時間が欲しい。

夜8時になると、DOCのスタッフによる講習会が、キッチン&ダイニングルームで始まった。身長190はあろうかと思われるジャイアントババ体型のおじいちゃんで、ハットでの注意事項などを語っていた。彼は流暢に慣れた感じで皆に話す。時には厳しい顔で、そして時には笑いを交える。聴衆はその都度笑い場は和やかになる。しかし僕にはさっぱりわからない。なんにもわからないと言っていい。笑いどころももちろんわからないし、スタッフと目が合うたびに、何か質問されるのではないか、とびくびくしていた。中学生時代の授業を思い出した。彼はハットの話やトラックの話が終わると、今度はミルフォードトラックで出くわす動物の話をしているようだった。鳥の鳴きまねを口笛でやったりなんかしている。片手にはトランシーバーを持ち、そのアンテナの先を反対の手でぴしぴしはじきながら、まるで教壇の上の教授のようだ。早く終われと思った。

長い演説のあとに食事をとった。僕は毎夜簡単にフリーズドライで、今日はテリヤキ味だ。ニュージーランドのフリーズドライメーカーは多分これしかないだろう。パッケージが異様にでかいのが納得いかないが、味は思ったよりも良かった。食事をとったぞ、と言う気分になることができた。

クリントンハットでの晩御飯

そして10時頃寝袋に潜り込んだ。寝袋の中でしばらくスピードラーニングの英語を聴き、わりと早めに寝ることができた。もう時差ぼけなんか怖くない。(1/13 end)