初心者の北アルプス縦走 -装備と服装・コース情報-
アラタとヤハケンによる初心者の3回目の登山の記録。今回は9月20(日)~22(火)の2泊3日の北アルプス縦走登山です。コースの計画、コースタイムから装備や防寒対策、それとコースの情報もあります。始めて北アルプスに行かれる方のお役に立てれば幸いです。
北アルプス縦走登山 概要
登山期間2009/09/20(日)-22(火)
日付 | 9/20(日) | 9/21(月) | 9/22(火) |
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コース | 上高地→徳沢→横尾→涸沢 | 涸沢→北穂高岳→涸沢岳→穂高岳山荘 | 穂高岳山荘→涸沢→横尾→徳沢→上高地 |
天気 | 晴れ | 晴れのち曇り | 雨のち曇り |
標高差 | 800m(登り) | 800m(登り) | 1500m(下り) |
行動時間 | 7時間30分 | 8時間 | 7時間40分 |
宿泊 | テント泊 | ||
食事 | 自炊×4、コンビニ×1、山小屋の食事×2 | ||
メンバー | アラタ(28)、ヤハケン(28) |
コースの紹介
これが出発前に用意した登山用地図。一日目は上高地から徳沢、横尾を過ぎ涸沢へ。二日目は北穂高岳に登って、そこから涸沢岳を越えて穂高岳山荘へ。三日目は奥穂高岳、前穂高岳と登り重太郎新道を使い上高地へ、と言うような予定だった。
しかし三日目は雨のため奥穂高岳には登らず、ザイテングラードから涸沢へと降り行きと同様のコースで帰ってきた。
もしかしたら奥穂高岳には登らないかもな、と言う事も考え選んだコースだったが全くその通りになった。帰りのコースに屏風岩の南側を通りパノラマコースで下山する方法もあったが、ガスって何も見えないので往路と同じコースを選んだ。
コースとポイントの情報
上高地バスターミナルと上高地食堂
上高地バスターミナルの前は広場になっており、テーブルがあるのでここで食事や荷物の整理、また給水もここでできる。トイレはチップ制。
またここには建物が2つあり、一つは「上高地インフォメーションセンター」。上高地に関する情報の提供や、登山関係の小物を扱う売店、コイン式シャワーなどがある。もう一つはお土産屋。2階は「上高地食堂」で朝6時からのオープン。モーニングセットはコーヒーつきで確か700円。トイレ有り。
上高地から横尾までの登山道
上高地から横尾までの標高差は約100m。したがってここまでの3時間はほぼ平坦な道のりと言える。数回小さな山を登ったり下りたりを繰り返すだけだ。道幅も2人が並んで歩けるほど充分な広さだ。
ここまではかなり整備されている道なのでスニーカーでも問題ない。梓川と明神岳を眺めながらの道はとてもすがすがしい。緑もいっぱいだ。
徳沢の公衆トイレ
徳沢には無料の公衆トイレがあるので利用したい。また徳沢ロッヂの外来入浴は400円。16:30~19:30の間に利用できる。
横尾から本谷橋までの登山道
横尾の吊橋を越えてから登山道は大きく変化する。横尾から本谷橋までの歩行時間は約1時間で、標高は160mほどしかあがらないのでそこまではきつい登りではない。しかしずっと平坦な道を歩いていたので結構登っている気もする。
道幅も狭くなり、大きめの石も増えてくるので歩きにくくなる。さすがにここはスニーカーではきついだろう。
左手に屏風岩を眺めながらの登山はなかなか気持ちが良い。
本谷橋
横尾から1時間ほどあるけば本谷橋。大きな吊橋だ。沢の右岸、橋を渡った向こう側が広く休憩に適している。川の流れが気持ちいいが、虫が多い。
本谷橋から涸沢までの登山道
本谷橋から涸沢までの標高差は約500m。ここから登りは急になる。涸沢までは2時間ほど。がんばりどころだ。
沢沿いを西にずーっと登り続ける。日差しが強いので日焼け対策とこまめの給水を忘れないようにしたい。
先の方に「鯉のぼり」が見えたらもう涸沢ヒュッテは近い。
涸沢
まわりを巨大な穂高連峰に囲まれた涸沢。紅葉がきれいだ。涸沢ヒュッテにある水は無料、トイレは一回100円。かなりきれいでトイレットペーパーもついている。夜ここから眺めるテントの夜景は最高だ。
テント場はこの広大な岩場。早めについてなるべく地面が平らに整えられているスポットを探した方が良い。そして面倒くさがらずにしっかりと地面を整えること。びっくりするくらいでこぼこなのだ。余裕がある人は余分にマットをもう一枚用意するといいと思う。また衣類も多めにあると地面とマットの下に入れてでこぼこを少しでも緩和する事ができる。
涸沢から北穂高岳までの登山道
登り始めは緑に囲まれた気持ちの良い道を登る。中盤は比較的登りやすい石のサイズだが、かなりガレた場所もあるので落石には注意したい。傾斜がきついので一気に転がり落ちること間違いないだろう。後半は大きな岩をぐいぐいと登って標高を稼ぐ。
写真は垂直では!と思わせる様な感じだが実際そんなことはない。クサリにしっかりと掴まって登れば簡単に登れるであろう。距離も写真ほどは長くない。
ハシゴも簡単。右のおじさんはハシゴを待ちきれないので下っている。
北穂高岳山頂付近。落石に注意だ。
北穂高岳山頂 (空中カフェ)
北穂の山頂は広い。晴れていれば槍ヶ岳が見える。
山頂から少し北に下ると北穂高小屋がある。人気は写真の空中カフェだ。槍を眺めながら食事を楽しむことができる。連休中は場所を取るのが大変だ。
北穂高岳から穂高岳山荘への登山道
写真がこれくらいしかないので説明するのが難しいが、こんな様な道を歩いていく。稜線上は歩かず、稜線のすぐ下の東側を歩いたり西側を歩いたりする。基本的にはしっかり足を乗せる事ができる場所がほとんどなので、慎重に進めば危険は少ないと思う。
山と高原地図には危険のマークが記されていたが、いったいどこが危険箇所だったのだろうか。この道のどこが危険かどうか考えると、全て危険ではないか、と思ったりもする。俺は3箇所ほど注意したところがあった。
涸沢岳頂上付近はほぼ直登する。手を使ってよいしょ!と言う場所が多い。よいしょ!とした時に頭を岩にぶつけないよう注意したい。クサリとハシゴはあるがどちらとも短い距離で難しいことはない。ただパワーを使ってクサリを登るよりは、ちゃんと石に足を乗せて登り、クサリは補助的に使うのが安全だと思う。また落石が多い箇所もあるので注意したい。
穂高岳山荘
テント場台はトイレ付きで600円。水は1リットル150円。こぼすと山荘のおねーちゃんに怒られちゃうので注意しよう。
ここのテント場は東側西側色んな所にちらばっている。早めに到着すれば静かで素敵な場所を確保できるだろう。俺達はヘリポートにテントを張った。山荘前やヘリポートは地面が平なのでとても嬉しい。目の前には奥穂高岳がどどんとそびえ立つ。
コースタイム
9/20(日) | 時間 |
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沢渡上バス停発 | 6:10 |
上高地着 | 6:35 |
上高地発 | 7:47 |
明神館 | 8:45 |
徳沢 | 9:45 |
横尾 | 11:00 |
横尾発 | 12:10 |
本谷橋 | 13:10 |
涸沢 | 15:15 |
9/21(月) | 時間 |
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涸沢発 | 6:30 |
北穂高岳山頂 | 9:30 |
涸沢岳山頂 | 14:15 |
穂高岳山荘 | 14:35 |
9/22(火) | 時間 |
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穂高岳山荘 発 | 6:40 |
涸沢 | 8:40 |
本谷橋 | 10:20 |
横尾 | 11:45 |
徳沢 | 13:35 |
明神館 | 14:25 |
上高地 | 15:00 |
※上のコースタイムには昼飯や1時間毎の休憩、渋滞、きのことりの時間などが含まれています。
このコースタイムと山と高原地図のコースタイムを見比べるとほぼ一緒かそれより早いと言う事がわかった。とうとう参考タイムに追いつく事ができたのだ!とても嬉しいし、今後地図を見ながら計画を立てるのが楽チンだ。毎回毎回自分のコースタイムを残しているので、何となくペースと言うものがわかってきた気がする。
北アルプス縦走の装備(9月半ば~後半)
9月半ばの北アルプスということで装備を考えたが、ほとんど前回と変わっていない。
項目 | 重量 | メーカー | コメント |
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登山靴 | 630g(片足) | Caravan(キャラバン) GK-57 | 問題なかったけど、やっぱりもっと固い靴がいいなあ |
ザック | 2400g | GREGORY(グレゴリー) トリコニ 60 | 使用2回目。各ベルトをSサイズに変更したい |
テント | 1650g | アライテント エアライズ(2) | 姉のだが、自分のテントの様に愛着が沸いてきた |
シュラフ | 780g | エア 450 Xショート | 半袖で寝れるくらい暖かかった。 |
シュラフカバー | 489g | ハミングバードのスリーピングバッグカバー(ゴア) | 朝にはばっちり結露していた。 |
マット | 260g | リッジレスト スモール | 色んな場所でシート代わりに大活躍。だがぼろい。 |
時計 | 80g | 昔のカシオのプロトレック | コンパス代わりに。高度、気圧、温度が測れる。 |
水筒 | 48g | プラティパス・プラティパス 2 | いらない時は小さくできる、形が変わるのが良い。 |
ヘッドランプ | 81g | 不明 | 姉の。充分。 |
エアリア | 42g | 槍ケ岳・穂高岳(2012年版) | 山頂から地形を楽しむために |
地形図 | 4g | 手作り地形図。電子国土ポータルよりプリントして作成 | 行動中の地図。標高やコースタイムを記入してある |
手ぬぐい | 26g | タオルや鍋つかみのため | |
コンビニごはん1食分 | - | 菓子パン×2 | 甘いのも良いが、ソーセージも悪くない。 |
非常食 | 150g | カロリーメイトチョコ味×1、スニッカーズ | 非常事態でカロリーメイトを食べることに。。。 |
コッヘル | 155g | スノーピーク チタントレック900 | 調理用に。ストーブ等はヤハケンが持つ。 |
ランタン | 180g | ユーコ キャンドルランタン | 使わなかったに等しい。 |
インナーダウン | 177g | mont-bell/モンベル U.L.ダウンインナージャケット | 使う事は少なかったがあると安心。 |
カッパ上 | 411g | マーモットのアルパインジャケット | カッパと防寒着兼。一年間洗ってないので雨染み込む |
カッパ下 | 255g | ハミックスのハミングバード | 姉のもの |
ザックカバー | 142g | グレゴリー レインカバー 60 | ゆるくつけやすかった。効果はわからない。 |
行動食 | 615g | アーモンドチョコ、カントリーマーム | 姉のおすすめでアレンジをしてみた |
味噌汁2ヶ | 35g | アマノフーズの豚汁となめこ汁 | 食べず持ち帰る |
コーヒー | 50g | インスタントコーヒー | 寒い日は特に嬉しい。 |
ペットボトル | 346g | エビアン330ml | 次回からは不採用。専用のものか500mlにすべき。 |
トイレットペーパーセット | 35g | トイレットペーパーとビニール袋 | |
えんぴつ | 4g | 前回ボールペンが役に立たなかったので。 | |
いろいろセット | 172g | 薬、予備のライター、テーピング、ロープ、 ウェットティッシュ、スプーン、糸と針など |
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合計 | 8508g + 水1500gと防寒着。 ちょうど10キロくらいかな |
今回購入したイスカのエア450
思い切って購入したのはイスカの寝袋「エア450ショート」だ。ナンガやモンベルの寝袋と悩んだが、安くてダウン量が多いイスカの寝袋に決定した。イスカの寝袋は「春夏の3000mに最適・・・」と言われていたが確かにその通りだった。涸沢や穂高岳山荘のテント場はかなり寒かったが、シュラフカバーとあわせると半袖でも暖かく眠ることができた。
シュラフカバーについて
連泊ではシュラフカバーが必須、と姉に言われて持って行く事にしたが、本当に持って行って良かったと思う。朝起きるとシュラフカバーがかなり濡れていたからだ。外とテント内の結露やテント内と寝袋との結露を防いでくれたようなのだ。勉強になった。
マットについて
岩場ばかりで座り心地が悪い場所が多かったので、そんな時ロールマットが役立った。簡単にすぐ敷けるのが嬉しい。ただ3000mくらいの岩場に行くときはひっかかってちょっと邪魔かも。またぼろくて薄くなっているので、涸沢のテント場ではきついと思った。リッジレストの新品か、もう一枚コンパクトタイプのマットを用意すれば完璧だろう。
登山靴について
北穂高岳の山頂まではキャラバンのGK-57程度で大丈夫だろうと思う。(一応メーカーでは、無積雪期の中級山岳、山小屋利用と言う位置づけ)ただ北穂から穂高岳山荘への完全な岩の道ではもっとソールが固い登山靴が適しているだろう。この岩に乗りたいな、って思ったときつま先がぺにゃっと曲がってしまう事がなんどかあった。それでも全然危険はないけれど、固い登山靴であればより足が安定して安全だし、疲労も少なくなるだろう。
いつか北アルプスを登る予定で登山靴を買う人には、やっぱり4万円前後の登山靴がおすすめ。店員さんの言っていることは正しいと思った!
北アルプスの服装と防寒対策(9月半ば~後半)
9月の北アルプスはかなり寒いと考えられたので、今回は充分な防寒着を用意した。風があるないでかなり違ってくると思うが、これぐらい用意すれば寒い思いをせず登山を楽しめるだろうと思う。ただもう一枚薄手の羽織るシャツ(良く見るチェックのシャツ)があれば3000m付近の岩場の渋滞で約に立ったのではないかと思う。また雨が降った時は岩やクサリは冷たいので、レイングローブがあると大活躍するのではないかと思った。夜外でまったりとしたい人は耳まで被れるニット帽があると良いだろう。
- 行動中 シャツ一枚orシャツ+フリース
- 休憩中 シャツ+フリース
- テント場 シャツ+フリース+アウター
- 夜 シャツ+フリース+アウター+ネックウォーマー+手袋
- 朝 シャツ+フリース+アウター+ネックウォーマー+手袋+インナーダウン
項目 | メーカー・特徴 | コメント |
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ソックス | 姉からもらったロングソックス | スマートウール。寒いのでロングソックス変更した。 |
タイツ | ワコール CW-X<スタビライクスモデル>メンズ | 最近思い始めたのだが、もしかしてすごく楽かも。 |
Tシャツ | イリオモテヤマネコTシャツ | ポリエステル100%。 |
ロンT | パタゴニアのベースレイヤー | ジッパーで温度調節ができる。が派手すぎる。 |
パンツ | グラミチのヘリンボーン七分パンツ |
かっこいいのか悪いのか。暖かいけど岩の上では滑りやすい。 |
帽子 | KAVUのシンセティックストラップキャップ | ナイロンなので乾きやすい。雨にも強い。風で飛ばない。 |
アウター | マーモットのアルパインジャケット | カッパと兼用 |
インナーダウン | mont-bell/モンベル U.L.ダウンインナージャケット | 使う事は少なかったがあると安心。 |
ネックウォーマー | モンベルの安いやつ。フリース。 | やっぱりネックウォーマーは楽チン。寝るときは枕カバーに。 |
手袋 | ウールの分厚い手袋 | 暖かかった |
フリースジャケット | ユニクロ | 安くてぼろくて扱いやすい。メインの防寒着として使用。 |