初心者のための登山とキャンプ入門

南アルプス南部 塩見岳・荒川岳・赤石岳・聖岳 5泊6日 縦走登山の記録

赤石岳からみた富士山

2012年9月15日から20日にかけて南アルプス南部の縦走をしてきました。計画では21日までの6泊7日で光岳登頂までを予定していましたが、台風16号の接近により途中赤石岳避難小屋で一泊停滞し、その後聖岳を経て聖岳登山口へ下山しました。初めての南アルプス南部の長期縦走、そして単独行ということで、今回はリサーチも兼ねて小屋利用の計画で行って来ました。
このページでは登山コースやアクセス情報と駐車場、コースタイムや用意した装備の事などを紹介しています。

南アルプス南部縦走のコースとデータ

南アルプス南部 縦走のコース

縦走のコースと距離・標高差

1日目:塩見岳(赤色の線)

  • コース:鳥倉ゲート → 三伏峠 → 塩見岳 → 三伏峠小屋
  • 距離:18km
  • 標高差:+2250m, -1300m
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2日目:荒川岳(青色)

  • コース:三伏峠 → 荒川岳 → 中岳避難小屋
  • 距離:12km
  • 標高差:+1360m, -890m
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3日目:赤石岳(緑色)

  • コース:中岳避難小屋 → 悪沢岳ピストン → 赤石岳 → 赤石岳避難小屋
  • 距離:8.3km
  • 標高差:+985m, -955m
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4日目:停滞

5日目:聖岳(黄色)

  • コース:赤石岳避難小屋 → 百間洞 → 兎岳 → 聖岳 → 聖平小屋
  • 距離:12km
  • 標高差:+1120m, -1950m
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6日目:下山(ピンク)

  • コース:聖平小屋 → 小聖岳ピストン → 聖岳登山口
  • 距離:11km
  • 標高差:+716m, -1840m
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南アルプス南部 縦走の参考タイム(山と高原地図より)

1日目:塩見岳 鳥倉駐車場ゲート 0:00
鳥倉登山口 0:50
三伏峠 3:45
塩見小屋 7:10
塩見岳 8:30
塩見小屋 9:20
三伏峠 12:40
2日目:荒川岳 三伏峠小屋 0:00
小河内岳 2:30
高山裏避難小屋 5:35
荒川前岳 8:50
荒川中岳(中岳避難小屋) 9:00
3日目:赤石岳 中岳避難小屋 0:00
荒川東岳(悪沢岳) 1:30
中岳避難小屋 2:45
荒川小屋 3:55
赤石岳 6:30
赤石岳避難小屋 6:31
5日目:聖岳 赤石岳避難小屋 0:00
百間洞山の家 2:15
兎岳 5:30
聖岳 7:40
聖平小屋 9:30
6日目:下山 聖平小屋 0:00
小聖岳 1:30
聖平小屋 2:30
聖沢吊橋 6:00
聖岳登山口 7:15

山小屋・電車バスの料金と情報、アクセス

今回利用した山小屋の料金と連絡先

小屋名 料金(寝具込み) 管理者 水場
営業期間(収容人数) 連絡先
三伏峠小屋 8000円、素5000円、弁当1000円 山塩館(長野県) 小屋から10分
7/1-9/中(150人) 0265-39-3110
荒川中岳避難小屋 素5000円、軽食有、トイレ有料 (株)東海フォレスト
7/16-9/30(20人) 0547-46-4717
赤石岳避難小屋 素5000円、軽食有、トイレ有料 (株)東海フォレスト  
7/16-9/30(30人) 0547-46-4717
聖平小屋 8000円、素5000円、弁当500円 井川観光協会 小屋脇
7/15-9/23(120人) 054-260-2211

下山時のバス・電車の料金

  • 白樺荘 → 井川駅までのバス:700円
  • 井川駅 → 静岡までの電車:3660円

鳥倉ゲート、畑薙大吊橋から静岡へのアクセス

松川ICから鳥倉ゲート

  • 中央自動車道「豊科松川IC」→ 県道松川大鹿線・国道152号・鳥倉林道 → 鳥倉ゲート(越路)

畑薙大吊橋から静岡

  • 畑薙大吊橋→(井川観光協会無料バス)→白樺荘→(井川地区自主運行バス)→大井川鐵道井川駅→JR東海道線金谷駅→静岡

南アルプス縦走に便利なリンク

時刻表・駐車場など

山小屋ホームページ

登山道・通行止め情報など

天気予報

計画の立案について

今回は計画の立案と下調べをたまたま遊びに来ていた姉に託しました。と言うのも、夏が終わる前に百名山にもっと登りたい、でも自分には新たなカメラを用意してこのサイトの充実を計るなど夏の終わりと競争してやることが山積みだったからです。この章の以下の文章は姉によるものです。

姉による縦走計画

姉である私は20年前に南アルプスの南部へ縦走をしたことがあった。山ブームが起こるだいぶ前のことだ。当時はアプローチも長く、なかなか入れない奥深い山という印象でそれなりに下調べをして万全の準備をして入山する印象だった。秘境というか。果たして登山ブームの現在ではどうなんだろう。さすがに北アルプスや八ヶ岳ほど変化はないだろうけど、なにかしら変わっているんだろう。

そして今回はどんな山行形態がいいんだろうか。弟はひとりで行くという。そして新しい重いカメラを持っていくんだそうだ。いくら登山ブームでも奥深い山での長期の単独行は心配である。フリーズドライを使ったってさすがに荷物は重くなる。ということで、今回は山小屋利用を提案してみた。お金はかかるが、情報収集をしながらの小屋泊りもいい経験だし、南アルプス南部がどんなふうに整備されたのかもわかるだろう。この際昼ごはんもリサーチがてら注文してみるといい。お金はかかるけど。こうして弟は行動食とカメラの準備を、そして私は下調べにかかったのでした。

南アルプス南部に登るなら7-8月がいい

これが、調べてすぐに分かったことだ。理由は、ただでさえ少ないバスと山小屋の営業がかなり終了していたから。塩見岳から登るならやはりJR伊那大島駅(長野県側)から三伏峠を起点にしたピストンになるだろう。しかし、伊那大島駅から塩見岳への登山口である鳥倉登山口までのバスは、H24年度は8月26日で既に終了していた。8月26日といえば、最後の土日。山はまだまだ登れるというのに、閉店が早いのだ。タクシーだと一台12,000円もしてしまう。しかも早朝と深夜は二割増だ。それでは二軒小屋から蝙蝠尾根を登るコースはどうだろうか。塩見小屋の方の話では下りに使う人は健脚な人でたまにいるが、長いコースなので登りに使う人は殆ど無い、という。さらに塩見小屋は、9月15日(土)の宿泊はもういっぱいでムリだという。そうか、公共のバスは無くてもツアーなら登山口のギリギリまで貸切バスで入れるのだ。しかも塩見新道も塩川小屋からのルートも今は道の崩壊などで通れないという。

入山計画

こうして入山からつまずきかけたけど、唯一良いのは高速バスだ。新宿から2,580円という安さで行けるという。松川ICまでだ。現在では高速バスもいろんな会社がいろんな路線を走らせていて、廃止になったり新たに運行されていたりと変化が激しいのでその都度調べてみるといいだろう。そこまできてふと思い立ったのが名古屋に住んでいる弟の義兄にあたる北尾くんだ。名古屋からは高速道路で1時間40分走れば松川ICだ。車で来てもらっていっしょに塩見岳に登ったらいいんじゃないか。

北尾くんは金曜の仕事が終わったら松川ICに向かい高速バスの到着する24:20に合流する。そこから1時間かけて登山ゲート(越路)まで林道を運転する。33kmらしい。夏には1日に2便の路線バスが往復する完全舗装の道路だ。ナビは“鳥ガ池キャンプ場”に設定するとスムーズに鳥倉林道に入れるだろう。2時過ぎにゲートに到着し3時間程仮眠を取って5時から登山開始。夏のバスだったらこの先の登山口まで入れるので1時間弱の林道歩きが短縮できる。三伏峠までの道は、始めはちょっと急だけどあとは歩きやすいらしい。

ただ、この日のスケジュールはかなりタイトだ。9時までには三伏峠小屋に着いて、荷物を置いて塩見岳をピストン。塩見小屋が満員なのでがんばって戻り、夕食の時間までには三伏峠小屋に到着しないといけないのだ。三伏峠小屋のHPには水場やご飯の時間が明確に書いてありわかりやすい。

予約がてら電話すると、戻りは17:30くらいまでなら待ってもいいという。ただ、予約しておきながら「疲れたから塩見小屋に泊りました」と事後キャンセルの方が多いので時間やキャンセル料を設定しているという。予約は当日でも構わないというので、彼らには当日の体力で決めてもらうことにした。17:30を目指して一泊二食付きで予約するか、はじめから素泊まりで予約して17:30到着は諦めて歩き、夕食と朝食は行動食や売店で買えるもので済ませるか。

小屋のHPによると、塩見岳ピストンは7時間半という。前日充分に睡眠を取れていない2人はどれだけ歩けるんだろうか。(もちろん、都合が着けば前日までに三伏峠着か、入山日は三伏峠までにする、のいずれかが良い)

下山計画

ここまで読んでもらったらわかると思うが、やっぱり南アルプス南部のアプローチは北アルプスのようにはいかない。大勢だったらタクシー利用という手もある。しかしこの山域だと長期間に渡ることが多くなると思うので、友人とスケジュールと合わせるのも簡単ではないだろう。

しかしそんな単独行の人にも、登山ブームの現在では旅行会社のいい企画があることが分かった。これは冒頭の7-8月に計画するのが良いと書いたことにもつながるのだが、毎日新聞旅行の企画である毎日あるぺん号で東京からなんと畑薙第一ダムまでの往復が10,000円で出来るというのだ。
問い合わせてみるとたしか去年からの企画で来年のH25年もやる予定だという。時間も入山下山に合わせてある。こんな便利なものがあったなんて。また、昨年H23年度は7月16日から8月いっぱいまでしずてつジャストラインが静岡駅から畑薙第1ダムまでの便を3,000円で出ていたという。今年H24年は道路状況により運休らしいが、来年計画する人は調べてみると良いだろう。

そしてともかく9月の今はそれらはない。予約がてら茶臼小屋の電話番号に問い合わせてみると、静岡県の井川観光協会に繋がった。どうやら茶臼小屋は井川観光協会が管理しているらしい。その方によると、光岳まで登りたい場合、易老岳より易老渡への下山は林道の崩壊かなにかで不可能ということで、畑薙第1ダムに下るより他の選択肢はないらしい。しかし下山口である畑薙大吊橋から白樺荘までは1日に2本、井川観光協会の運行する無料バスがあるという。これは井川観光協会の管理する山小屋に宿泊した人を対象としたもので要予約だ。
その先からは地元の人が運行しているという井川地区自主運行バスに乗れるという。HPに料金やタイムテーブルも詳細に出ている。これも1日に2便あって9人乗りなため地元の人が優先だが、9月の平日なら乗れるだろうという。それで大井川鐵道の井川駅まで行って金谷でJR東海道本線に乗り継いでのんびり帰ってもいいし、静岡鉄道上落合駅でしずてつジャストラインのバスに乗り継いでJR東海道新幹線ある静岡駅まで行ってもいい。

いずれにしても下山後の交通が長いので1日がかりとなる。また、後述する東海フォレストという会社が運営する山小屋に泊まれば畑薙第1ダムから椹島(二軒小屋ロッジ泊の場合は二軒小屋)までの無料送迎バスに乗れたりもする。9月の単独行登山者としての選択肢はこれくらいだ。いずれにしろ弟はタクシーで高いお金を払わなくても下山できそうである。

静岡駅から東京まではローカル線で3,000円強、新幹線で6,000円弱、高速バスもたくさんあって約3,000円。いくつもあるので予約はしないでおいた。やっぱり8月中に計画したほうがいろいろ選択肢があって便利だと思う。

期間営業の避難小屋って?

泊まる山小屋を選ぶにあたって、気になったのは営業期間が決まっている “避難小屋” というものだ。 ふつう “避難小屋” っていうと無人でスペースだけあっていつでも空いていて(大体が無料で)勝手に泊まれるものだ。

そこで試しに赤石岳避難小屋に電話してみると、椹島ロッジにつながった。どうやら南アルプス南部の山小屋は県や市で作ったものを長野県と静岡県の幾つかの町役場や地元の会社が委託を受けて運営しているものも多いという事だ。どおりで同じ番号がいくつもあると思ったんだ。その中で東海フォレストというこの辺りの山林を所有している会社が多くを運営していた。ここのHPにも営業期間や料金が明確だが、ここでいう“避難小屋”とは夏期の営業期間には人が常駐してレトルト食品やカップ麺や水の販売をして有料で宿泊できるが、営業期間が終わると人はいなくなり、しかし冬期小屋として開放しているので避難小屋としての利用が出来るというものらしかった。料金は4,500円、寝袋をレンタルしたい場合はプラス500円だ。そしてこの避難小屋も山行を計画している9月中旬にはいくつも営業終了してしまっている。

また避難小屋ではないが、光岳小屋は特別で、対応できる人数の関係で宿泊者の中でも食事提供の制限を設けている。50歳位上、3人以下のパーティー、午後3事までに手続き終了した人のみに食事が提供されるというものだ。この理由からツアー客などは茶臼小屋からピストンするケースも多いらしい。

そんないろいろな条件から、今回利用する山小屋は1泊目ー三伏峠小屋、2泊目ー中岳避難小屋、3泊目ー赤石岳避難小屋、4泊目ー聖平小屋、5・6泊目ー茶臼小屋と絞られてしまった。山小屋がもっと空いている時期ならば、天気や体調によってフレキシブルに利用できたのに。

ちなみにお昼ごはんは700~1000円でおにぎりやいなり寿司で、前日に注文すれば良いとのことでそれもお願いするという予定で計画を組んだ。

電話で問い合わせをしてみよう

ここまで読んでもらって分かるように、特に南アルプス南部は災害による林道や登山道の封鎖が多いように思う。インターネットで調べていってたまたまその情報にぶつかればいいが、エアリアやガイドブックだけを見て知らないで行ってしまうと大きな時間のロスになりかねない。そこでいろんな事についてざっくりとしたアドバイスが欲しい場合は、役場に電話して尋ねてみると親切に教えてくれるケースが多いように、個人的には感じた。

もちろん事前に役場のHP(リンク参照)をチェックしてから電話すると話も早いだろう。

塩見岳までの入山 大鹿村役場(長野県) 0265-39-2001
聖、茶臼、畑薙湖へのルート 井川観光協会(静岡県) 054-260-2211
光岳と長野県側へのルート 川根本町役場(静岡県) 0547-58-7077

南アルプス南部・5泊6日山小屋泊縦走登山の装備

装備 メーカー名 商品名 グラム
登山靴(片足) ゴロー S8 1148
インソール(片足) スーパーフィート トリムフィット・グリーン 44
ザック ブラックダイヤモンド エピック35 1610
ザックカバー モンベル ジャストフィットパックカバー 40L 115
レインウェア上+袋 ノースフェイス クライムライトジャケット 322
レインウェア下 モンベル ストームクルーザー パンツ 246
ソフトボトル プラティパス プラティパス2 39
ドリンクボトル ナルゲン 広口 0.5リットル Tritan 90
ヘッドライト ペツル ティカプラス2 82
コンパス シルバ シルバコンパスNo.3R 32
カメラ ニコン D700 1130
カメラのレンズ カールツァイス CarlZeiss DistagonT*F2/28mmZF.2 550
時計 カシオ・プロトレック MANASLU PRX-2500T-7JF 102
携帯電話 アップル iPhone 139
地図 山と高原地図   30
  iPhoneAPP DIY GPS  
  iPhoneAPP Field Access  
  25000地図 カシミールからプリント  
マルチツール レザーマン ジュース S2 124
防水バッグ シートゥーサミット ウルトラSIL ドライサック L 40
防水バッグ シートゥーサミット ウルトラSILビュードライサック 43
防水バッグ グラナイトギア eVentシルドライサックS(13L) 41
フラスコ ピンダーブロス ピューターフラスコクッション プレーン4oz 142
料理系装備
コッヘル スノーピーク チタントレック900 155
ストーブ EPI REVO-3700 112
エマージェンシー系装備
ツェルト アライ ビバーク・ツェルト1 270
エマージェンシーシート モンベル エマージェンシーシート 54
救急セット ドイター ファーストエイドキットドライ M 415
副木 サムスプリント スタンダード 124
ストック モンベル Tグリップ S 190
携帯充電器 パナソニック QE-PL201-W 147
USBケーブル     29
単4予備電池×2 パナソニック   24
カメラのバッテリー   2個 160
針・糸・マッチ     13
ライター     12
細挽き     25
針金     17
消耗品
     
    ガスカートリッジ  
    行動食  
    トイペ・袋  
    歯磨き粉・歯ブラシ  
ウェア
ロングTシャツ カモシカ カモシカオリジナルTシャツ 176
ロングTウール マックパック   190
フリース マックパック   287
防寒着 モンベル ダウンインナージャケット 177
パンツ テルヌア ズーポ 295
ハーフパンツ ホグロフス   170
ソックス PhD ヘビー クルー 105
ソックス PhD ミディアム クルー 82
ネックゲーター モンベル   25