エベレスト街道トレッキングの装備と持ち物と服装・費用・旅程
1998年6月、22歳の女子2人のエベレスト街道トレッキング日記です。トレッキングシーズン終わりかけだったので最後には雨が降ったし、予定していた宿が営業終了していて泊まれなくなったり、あげくの果ては遭難しかけたり・・・そんなドタバタの冒険旅行になりました。このページではトレッキングの装備や服装、費用などのこと、エベレスト街道の魅力について書いています。
トレッキングの費用
1998年はまだ飛行機のサーチャージも無い時代で、しかもこのあとネパールの物価は高騰してだいぶお金がかかるようになったので現在とはだいぶ違いますが。大きな費用としてはこれらになります。他にはポーターやガイドを雇うかや、カトマンズでの宿泊費が掛かってきます。
- 成田-カトマンズの往復飛行機代 ¥88,000 (ビーマンバングラディシュ航空、バングラディシュ経由)+空港税等
- カトマンズ-ルクラ の往復飛行機代 US$166
- 入山料(Entrance Permit) Rs.650(現在で換算すると約650円)
- 宿泊料と食事代 1日\500-\1,000
- 海外旅行傷害保険 31日間 \11,870
私達は日本にいる間登山サークルで山登りをしていたという前提があるので、登山経験のない人ならばガイドを雇ったほうが良いと思います。それに、なによりももし一人だったらものすごーく孤独だと思います。
トレッキングの装備と服装
トレッキングの季節によって主に防寒着が大きく変わりますが、私達が行った時(6月)の持ち物と服装は”夏の北アルプスの山小屋泊まり”の内容に夏用寝袋を追加した程度です。
装備
- ザック30L
- 夏山用寝袋
- 登山用レインウェア
- ヘッドランプ
- 着替え(Tシャツと下着程度)
- トイレットペーパー
- 地図とコンパス
- 日焼け止め
- 虫さされ薬、テーピング等ファーストエイドキット
- タオル・洗面用品等
- カメラ・財布・パスポート、メモとペン等
- 梅干し飴、酢昆布等日本のお菓子
- ポカリスエットの粉とビオフェルミン等の下痢対策
- ビーチサンダル
- トランプ
今行くなら絶対持っていきたいもの・・・セーターの代わりにインナーダウン、ものすごく軽いサブザック、双眼鏡、洗い落とさないシャンプー、インナーシュラフ(薄いシーツ)、 靴下で履けるクロックスのようなサンダル 。
服装
- 重登山靴(皮の、重いもの)
- 登山用靴下
- 速乾性Tシャツ
- ウールのシャツ
- ジャージズボン
- 防寒着(セーター)
- 帽子
- サングラス
- 毛の手袋
今行くなら絶対持っていきたいもの・・・重登山靴の代わりにハイカットの防水トレッキングシューズ、快適なサングラス、スポーツタイツ。
トレッキングのスケジュール
1日目 | 6/4 | カトマンズ → 小型飛行機でルクラ → チュモア(2950m) | |
2日目 | 6/5 | チュモア → ナムチェバザール(3440m) | |
3日目 | 6/6 | 停滞 | |
4日目 | 6/7 | ナムチェバザール → タンボチェ(3867m) | |
5日目 | 6/8 | タンボチェ → ペリチェ(4243m) | |
6日目 | 6/9 | ペリチェ → トゥクラ(4620m) | |
7日目 | 6/10 | トゥクラ → ロブチェ(4930m) | |
8日目 | 6/11 | 停滞 | |
9日目 | 6/12 | ロブチェ → カラパタール(5545m)→ロブチェ | |
10日目 | 6/13 | ロブチェ → ゾンラ (4830m) | |
11日目 | 6/14 | ゾンラ → チョ・ラパス (5420m) → タンナ (4700m) | 降雪 |
12日目 | 6/15 | タンナ → ゴーキョ(4750m) | |
13日目 | 6/16 | ゴーキョ → ンゴズンバポカリ(湖) → ゴーキョ | |
14日目 | 6/17 | ゴーキョ → ドーレ (4200m) | |
15日目 | 6/18 | ドーレ → クムジュン(3780m) | |
16日目 | 6/19 | クムジュン → シャンボチェ→ナムチェ(3440m) | |
17日目 | 6/20 | ナムチェバザール → Ghat付近 | |
18日目 | 6/21 | Ghat付近 → ルクラ (2800m) | 降雨 |
19日目 | 6/22 | 停滞 | 飛行機来ない・降雨 |
20日目 | 6/23 | 停滞 | 飛行機来ない・降雨 |
21日目 | 6/24 | ルクラ → カトマンズ |
エベレスト街道の魅力
最大の魅力はやはり、真っ白にそびえ立つ荒々しいヒマラヤの岩峰の中を歩くことだろう。
木々の中の歩き始めには、山と山の間の遠く彼方にチラッと真っ白い山が見えるだけで嬉しい。テンションが上がる。「ああ!!あれが本物のヒマラヤだ!実物を見てしまった!」と。
しかし何日も歩いてだんだんと近づいていくと、全く人間の生活感がない荒涼とした山肌や岩や雪の塊が迫ってきて、見渡すかぎりの広大すぎる景色に「自分はどうなってしまうんだろう」と不安になりさえする。ふと、怖くなったりもする。それくらいのスケールの大自然が味わえる。エベレスト街道ってそういうトレイル。
だけどそれと同じくらい価値があると思うのは、山の中で生きるチベット文化の人々を見ながら歩くことだと思う。川沿いの斜面にへばりつくようにある小さな村。石を積み上げた囲いにヤクを飼い、石の家で暮らす。生きた鶏をリュックに入れてバザールに売りに行く人や、チーズを担いで家々を訪ねながら売り歩く人。その山の中で生まれて学校に通い、山の中で働いて人生を送る、私達とよく似た顔の人たち。
たしかに、ものすごく貧しいと思う。もちろん貧しさ故に教育の機会や世界に出るチャンスがない人にはサポートがあるべきなんだけど、だけどたぶん目の前にしてみると、彼らを「貧しくてかわいそう」だとは全く思わないと思う。逆に大自然の中で素朴に生きている人たちを「うらやましい」とか「こうあるべき」などと、思うかもしれない。
どっちの人生がいいかは言えないけど、「こういう人生の送り方もあるのだ」と驚きに似た強い衝撃を受けたのが、このトレッキングだった。そしてそれは自分の生き方を考えるときや些細なことでがんじがらめになったようなときに必ず思い出す、リセットボタンのようなものでもある。「人生は今目の前に見える行き方だけじゃない」、「ああいう生き方もあるんだ」、「本来人はもっと自由なんだ」とか。
雄大な山をトレッキングしながらチベタン文化を感じ、人の小ささを感じ、人生を考える旅のような道。そんな経験ができるのがエベレスト街道トレッキングの魅力だと思う。