トレッキング中の病気や下痢の薬と対策
2014年の10月にエベレスト街道を個人トレッキングしました。トレッキングの期間中、下痢にならない様気をつけてはいましたが結局下痢になってしまい、しかも後半にはジアルジア(自分の判断ですが)にかかり大変な思いをしました。こんな僕が下痢の対策について書くのもなんですが、トレッキング中の飲み水や食べ物のこと、対策、ネパールのカトマンズで購入した薬や下痢の症状など、いくつか参考になる情報があるかと思います。
一般的な下痢の症状と対策・薬
トレッキング中、一般的な下痢、アジアの開発途上国で旅をすれば必ずなる様な下痢には1度しかならなかった様に記憶しています。僕はジリからトレッキングを始めたのですが、トレッキングを開始してから約1週間後、ナムチェで下痢になりました。
僕の場合症状は重いものではなく、歩きまわっても問題のない程度のものでした。でも人や症状によっては吐き気もあるらしいです。食事は普通に食べられましたが、下痢のせいか体が異常に寒くなり、どれだけ着込んでも寝袋の中に入っても寒いことだけが辛かったです。この様な状況になることを考え、生姜湯などの体の温まる飲み物を用意しておけば良かったと思いました。
下痢時の水分補給には「ORS」
一般的な対策方法は水分をたくさん摂ることです。その際ただの水ではなく吸収が良い「ORS」を作って飲んだ方が効果的です。
経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)は、体内での効率のよい水分吸収には砂糖と塩が必要であるという発見を元に、発展途上国における乳幼児の嘔吐・下痢症に対して、効率的・勘弁・安全な水分補給飲料として用いられたのが始まりです。
管理薬剤師.com経口補水液(けいこうほすいえき、英: Oral Rehydration Solution、ORS)は、食塩とブドウ糖を混合し、水に溶かしたものである。これを飲用する事で小腸において水分の吸収が行われるため、主に下痢、嘔吐、発熱等による脱水症状の治療に用いられる。水に溶かす前の状態のものを経口補水塩(Oral Rehydration Salts)という。
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カトマンズでORSは買える
ほとんどの薬をタメルで買うことができますが、ORSの粉末もタメルの薬局で購入できます。また調べてはいないのですが、たぶんナムチェの薬局で買うこともできると思います(売っていた様な記憶があります)。値段は1リットル用の粉末で数10円程度です。長い期間下痢になることも考えられるので、多めに用意するのがおすすめです。使用方法はポカリスエットの粉末の様に水に溶かして飲むだけです。
下痢用の薬「Norfloxacin」と「Ciprofloxacin」
下痢を自然に治す場合、長くて7日から10日も続く場合もあるようですが、その期間を短くする効果的な薬として「Norfloxacin」や「Ciprofloxacin」という2種類の薬が知られています。
このNorfloxacin、Ciprofloxacinという薬もタメルの薬局で売っていました。どちらにどの様な効果があるのかわからなかったのですが、いずれも似たようなものだと思いNorfloxacinを購入しました。薬をまとめて買ったので詳しい値段がわからないのですが、Norfloxacinは10粒で200~300円だと思います。薬を飲むタイミングは朝に一粒、夜に一粒、と薬局で教わりました。
下痢時の食事
調べたところによると、下痢の時でも食欲があれば食事は普通にして問題ないそうです。ただし脂っこいものや香辛料の多い食べ物は避けるべきだそうです。僕は普通に、それまでの様に一日に3回食べていました。
薬の効果か下痢は2日で完治する
カトマンズで下痢になりましたが、ちょうどそこで停滞だったので1日ゆっくりと休み、ORSを作ってたくさん飲み、朝と夜にNorfloxacinを飲んだらその翌日にお腹はかなり良い状態になりました。そしてその次の日には完治しました。
一般的ではない下痢「ジアルジア/ Giardia」
ジアルジアの症状は、上記の一般的な下痢と比較するとまったく違います。ジアルジアにも軽重あるようですが、経験上重いのにかかるとトレッキングができる状態ではなくなります。ただジアルジアにかかった、というのは自分の判断なので真否はわかりません。ガイドブックに記載されている症状を見て自分はジアルジアになったと判断しました。
ジアルジア症はひどい下痢と腹部の痙攣を特徴とする胃腸炎である。鼓腸、膨満、疲労、吐き気、嘔吐、体重減少などを伴うが、患者によっては吐き気や嘔吐が主症状となることもある。病原体を摂取したあと、7日から10日程度の潜伏期間を経て症状が出る。
南アジア、東南アジアなどを旅するバックパッカーの間では、ゲップが卵臭くなることから卵ゲップ病として知られる。
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まさにこの様な症状になりました。
まずおかしいな、と感じたのは胃です。胃が張っているな、うまく消化できていないのかなという状態が2,3日続き、それと同時にタマゴの様な匂いのゲップが度々でていました。それでも下痢はなく、胃がおかしいなという印象です。カトマンズで同じ宿になった日本人の方が「胃をやられて食べられない」と言っていましたが、もしかしたらジアルジアだったのかも知れません。
そしてその後水下痢(白色)になり、こうなるとトイレから離れることはできません。食べ物も飲み物も飲み込めばすぐに出る、という状態になってしまいます。
僕は幸いにも、エベレストトレッキング終了後、ネパールを出国する前日に発症しました。割りと早めにジアルジアだと気がついたのでタメルで購入した薬「チニダゾール」を飲み、すると翌日には回復傾向にありました。しかしその後、トランジットで立ち寄ったクアラルンプールで、下痢で失った体重を取り戻そうとドカっとご飯を食べると最悪の状態になりました。とにかくお腹がパンパンで苦しくて眠れず、呼吸も浅く、食べたものは下痢で全部でてしまいふらふらでした。しかも水を飲めば下痢になるので何も口に入れることはできませんでした。そして残念なことに、タメルで購入したチニダゾールはすでに飲みきっていました。
その翌日は調子が良かったのですが、帰国後に調子に乗って食べたらまた同じ症状に戻ってしまいました。そして自然に治すのは無理だろうと判断し、内科で薬をもらい、一週間お粥生活を続けることでようやく治りました。体重4,5キロは減ったんじゃないかと思います。ちなみに内科でもらった薬は、ラフチジン錠、トスフロキサシントシル酸塩錠、ビオフェルミン錠剤、イトプリド塩酸塩錠、などでした。
ジアルジア用の薬 チニダゾール / Tinidazole
このチニダゾールもタメルの薬局で購入できます。値段もNorfloxacinと同じくらいだと思います。どれくらいの効果があるのかはわかりません。けれど、僕はトレッキング中にも軽いジアルジア的な症状があったのですが、チニダゾールを服用した翌日には割りと症状がよくなり、そしてその次の日には普通の状態にまで回復していました。あの時ジアルジアにかかっていたのかどうかはなんとも言えませんが、体がだるく歩くのもフラフラで、胃が張ってゲップがでて、という同じ様な症状でした。チニダゾールが効いていたとすれば、もっと多く購入しておくべきだったと思います。
飲む量は大人で一日一回2グラム、とトレッキングのガイドブックやネットにはあります。でもこれはタメルの薬局の店員が言っていることと違っていました。僕はガイドブックにしたがい1回に2グラム飲みました。
トレッキング中の飲み水と食べ物について
トレッキング中、下痢を避けるために気を使わなければならないのは飲み水です。僕ももちろん気を使っていたのですが結局下痢になってしまいました。しかし同行したアイルランド人2人は、毎日同じご飯を食べ同じ水を飲んでいましたがピンピンしていました。何が原因で僕だけが下痢になったのかはわかりませんが、僕も彼らも水には気を使っていたのは事実です。
トレッキングで水を得るパターンは一般的に4つあると思います。
- ロッジでペットボトルの水を買う
- 煮沸したお湯をロッジで買う
- ロッジや沢で水を得てタブレットで浄化する
- ロッジや沢の水をフィルターで浄化する
ロッジでペットボトルを買うのは経済的にも環境的にも良くありません。また水を煮沸してもらうのも、ロッジの薪を使わせてしまうので良くありません。ですので、タブレットやフィルターで水を浄化して水を飲むのがトレッキング中ではベストだと思います。
フィルターで水を浄化する
僕らはフィルターで浄化した水を飲んでいました。アイルランド人のジョンがフィルターを持っていたのでそれを借り、毎朝ロッジや沢の水をフィルターで浄化し、歩いてる最中に水がなくなればまた同じことをしました。浄化した2リットルの水を作るには5分もあれば充分です。
食べ物か飲み水か、僕がなぜ下痢になったのかはわかりません。でも彼らも同じ様にフィルターを通した水を飲んでいて問題ありませんでした。ちなみに彼らはテストとして、飲んではいけないと言われているタメルの水道水もこのフィルターを通して飲んだそうです。
タブレットで水の浄化 / Potable Aqua
僕が用意していたのは「Potable Aqua」と言う、浄水タブレットの中では定番のものです。タメルで手に入らないこともあるとガイドブックにあったので予めアマゾンで買っておきましたが、タメルのアウトドアショップでもナムチェでも売っていました。値段は600円くらいだった気がします。アマゾンでも買うことはできますが、送料がつくので倍以上の価格になってしまいます。シーズン中は売り切れていることも考えられるので、不安な人は予め買っておくのも良いかも知れません。
ポータブルアクアを使用する機会は1回しかありませんでした。どこかで「浄水タブレットを入れると味が変になり飲みづらい」という記事を見た気がするのですが、僕には違いがわかりませんでした。
水はどこでも得られる
10月のトレッキングでしたが、水がなくて困ることはありませんでした。沢から水を汲むこともできますし、歩けば村や民家は必ず通過するのでそこで水を得ることができます。どこから水を引っ張ってきているのかはわかりませんが、家々の前には小さなホースがありそこで水を汲むことができます。
食べ物の注意
水以外には食べ物のケアもしたかったのですが、これはちょっとムリでした。フォーク、スプーン、お皿、カップ、エベレスト街道の小さなロッジは衛生にはそこまで気を使ってないと思います。なのでいちいち気に留めることはできません。また、生野菜は食べない方が良いという記事を見たことがありますが、生野菜をダルバートにトッピングしてくれるロッジもたくさんあります。ありがたくて残すことができませんした。
カトマンズ・タメルでの水と食事安全なお店
タメルの水では歯も磨いてはならないと言われています。ペットボトルの水は30円程度なので大したことはないのですが、その水を使っているレストランにも注意したいところです。
下で紹介しているガイドブック「Trekking in theEverest Regeon」には、長期間通って安全だったレストランのリストが載っています。それを掲載しておきます。
- New Orleans Cafe
- Northfield Cafe
- La Dolce Vita
- Roadhouse
- La galleria
- K-too!
- Kilroy's
- Yin Yand
上記のうちのほとんどのカフェ・レストランは西洋的でものすごくキレイで、スタッフの対応も想像以上にしっかりとしています。値段もそこまでは高くありません。350円も出せばコーヒーとしっかりした朝食を食べることができます。場所はタメルの中心部、カトマンズゲストハウス近くにあるのですぐに見つけられます。
参考にしたガイドブック
トレッキング中に起こりうる病気の症状や対策、薬や薬の容量なども詳しく書かれています。またそれだけでなくタメルの宿などの情報、装備、エベレスト街道のロッジやコース情報、マイナールートの情報などトレッキングに関わる全ての情報が収められた本です。英語ですがものすごくおすすめです。
トレッキングに用意したい薬など・まとめ
調べていると、日本の薬は現地の病気には効かないという話しが多いです。なので普段使う様な薬以外はトレッキング前にタメルで入手した方が良いと思います。タメルの中心地にドラッグストアはいくつか見かけました。予め紙に必要なものを書いておくとやりとりはスムーズになると思います。薬の容量は聞けば教えてくれます。
薬は左からチニダゾール、高山病用のダイアモックス、Norfloxacin、ORS、右上の小瓶がポータブルアクアです。ポータブルアクア以外は全てタメルで購入した薬です(一人分)。
どれくらい用意したら良いか見当も付きませんでしたが、もっと買っておけば良かったと思うものはチニダゾールとORSです。いずれも飲みきってしまいました。その他のものは少ししか使用しませんでした。ポータブルアクアを抜き、全部で1000円もかかりませんでした。
【用意したい薬のリスト】
- ORS
- Norfloxacin もしくは Ciprofloxacin
- Tinidazole
- Potable Aqua などの浄水タブレット
- Diamox(ダイアモックス、高山病に)
- のど飴、咳の時のアメ
最後ののど飴ですが、僕もそうだったのですが、標高が高くなると多くの人が乾いた咳をしていました。標高が高い所に行くと乾いた咳が出るというのは良くあることです。その咳が寝る前などけっこう鬱陶しかったので、咳用の薬があるといいかも知れません。僕はジョンの持っていたのど飴や胸に塗る薬を借りていました。タメルの薬局で相談すればいくつかあるかも知れません。