初心者の北アルプス縦走 -ヤハケン日記-
一歩、一歩進むたびに 「生きてるね!!!」と一生懸命だったのです。
出発
仕事が終わりを迎えたのが24:15。
そして、ハイドレーションのパックに水を入れ、24:30。
車に荷物を積み込み電話をかける。
もちろんアラくんへのテレフォンだ。
今回は仕事場から直接、アラくんを向かい行きそのまま上高地へ向かう。
結局、25時過ぎに出発。予定より30分を押してのスタートだ。
さすがに深夜、渋滞は皆無。
しかし、なかなかのシルバーウィーク。交通量はかなり多い感じ。
そして、ひさしぶりの夜のドライブは甲府の夜景がやたらキレイに見えた。
山梨県の山々を抜けてからの、ドーンと広がる夜景。
深夜出発のメリット。見えた瞬間、車内に歓声があがる「おぉー!!」。
しかし、デメリットもあり。
夜明け前の移動のため、松本市からの北アルプス全体を眺める事ができず
少し、心残りがあるドライブとなった。
プラス、寝てない事からのハイテンション。
登山中に落ち込んでいくテンションを想像して不安を抱く。
順調なドライブで5:40頃には目的地、上高地手前の駐車場に到着。
上高地までは、排気ガスの規制がされているので
駐車場からバスを利用して向かうのである。往復のチケット2000円也。
順調っぽく書いているが、ここまでに多少の問題がアリ。
いや…今回の登山自体に不安要素が…。
実は、言い訳に過ぎない事なのだが
9月は仕事が忙しく、ドライブのルート・目的地…etc.を
詳しく調べる時間が無かったのである。
なので、高速を降りてから
空気を読みつつ、目的地の事をアラくんに聞いてみた…。
「オイっ!!」とつっこまれる…。
それだけで済んだ事にひと安心・胸をなで下ろしたのである。
こうして、ほぼ順調に駐車場まで到着したのである。
駐車場では着替え・準備に追われる。
そして、6:10の上高地行きのバスに無事の乗車。
バスは混雑してて、空いてる席は4つと補助席くらい。
まだ乗れない人たち(30名くらい)を残して
空いてる席におのおの座り出発。
そして、30分位で上高地へ到着。
上高地到着後、まずは腹ごしらえ。施設の2Fの食堂へ。
アラくんはモーニングセット
オレは、かきあげそば。
晴れていたので、食堂からは明神岳(穂高岳)の山々がドーンと見える
山肌から今まで行った山とは違い「アルプス」というだけに岩肌の山々がそびえる。
それを見て、気持ちも盛り上がり、
蕎麦なのに量があった1杯で、お腹も膨れ上がる。
その後、準備運動・最終チェックをして
まずは初日の目的地「涸沢ヒュッテ」へ出発。
登山スタート
今回も毎度おなじみな服装だ。
色は黒ベース。そして、迷彩のウィンドウブレーカー。
万が一、迷ってしまったら…見つけられない格好だ。
初回の雲取山での、Teamチンドン屋にツッコまれて以来、
イメージチェンジを考えているだが
今回は、寝袋・マット・インナーを必殺のリボルビングしてしまったので
そこまで、手がまわらない状況になってしまったのだ。
その点、アラくんは秋用パンツを新調。靴紐をRedに。
イメージチェンジを図っている。…うらやましい…。
そんなこんなで、ほどよい緊張と眠気の中登山スタートをする。
上高地から横尾の小屋までは整備された道が続く。
明神池まで、観光へ来た人たちと一緒に歩く感じになるのだが
その後は登山・キャンプを目的とした人だけになる。
しかも、明神池までの道のりは、対向者・同じく向かう人が多い。
列をつくって歩く、まるで遠足気分な道のりだった。
風景は上高地ならではの、川沿いの道を進む。
緑と道の土。それに川岸の岩。そして空。
グリーン・ブルー・グレー・ブラウン。
それぞれの色がすばらしく溶け込んだ気持ちの良い道が続く。
しかし、寝ずの徒歩。頭がボケーとした状態なので
夢の中で遠足に行ってるような感覚だ。
休憩をいれつつ、昼には横尾の小屋で昼食となる。
横尾に着いても、相変わらずの混雑。
今までの山小屋には無かった。備え付けの灰皿まである。
そんな中、空いてるベンチを見つけコンビニのパンをほおばった。そして、一服。
アラくんは、禁煙をスタートさせていたのだが
行きの車中で、もうすでに喫煙スタート!!。
うまい事、コッチ(喫煙者)側に、戻す事が成功。
ライバル心からか山を楽に登るようには、させたくないのである。
そして、休憩中に今回の秘密兵器を登場させる。
会社近くで購入した「伊達めがね」をかける。
…登山らしくない。あきらかに笑いに走った感、満載。
キャップを借りる。う〜ん、怪しい…。
ウケ狙いの何者でもない人物の完成なのである。
とりあえず、せっかく買ってしまったので
眼鏡をして出発。
横尾から涸沢ヒュッテまでは、標高をかせぐように、一気に登る。
ゴツゴツした岩を整備されてない階段をガツガツ登るような道が続く。
さすがに寝ずの登山。お互い無口になる…。つらいのである。
しかも、大人気からの人の多さから
初心者が多いのか、気持ちがいっぱいいっぱいの人が多いのか
登りを譲るという登山の基本ルールができない人、
挨拶をかえさない人がたくさん居た。
はじめて、山に行って、普段と変わりばえない感覚に
疲れ+不快感を積み重ねつつの登りが続いた。
しかし、風景は晴れている事もプラスしてモチベーションをあげてくれる。
それは、マンガ「岳」の舞台である事も理由の一つだろう。
そんな、複雑の気持ちをいだきつつ。
寝てない体には辛いツライ山道を登った。
歩き初めて1時間くらいで小川が流れる所で休憩をとる。
これで、今日の休憩は最後だ。
涸沢ヒュッテまでラストスパートをかける。
しかし、ここからが今日の一番の盛り上がりを見せる。
…辛いのである。
がんばって、がんばって。
一歩、一歩。
やっとの事で涸沢ヒュッテに到着した。
涸沢ヒュッテは平らというより緩やかな坂になった角度で
岩がゴツゴツした地面の場所にある。
そして、まわりをすべて高い山に囲まれたところだ。
見回すと山ばかりで良いのだが
やはり地面が岩だらけなので、テントを下が平らでは無い。
やはり、微妙な凸凹の上で寝る事になる。
早めの到着をすれば、その中でも良いスポットが取れるだろう。
しかし、着いた頃はもうすでにテントだらけで
平らなスペースは無く、その中でもまともな所を陣取る事となった。
そして、一息つき。
食事「美味いっ!!」。
夜には小屋に水を取りに向かった…。
そこで見た「テントの夜景」。
不思議な感覚なのだが、キレイな景色だった。
色とりどりのテント、その中で光るランプ。
そして、夜が更けていくにつれて
テントの光も減っていき、空には星がたくさん見えて来た。
天の川の帯状のモヤついた星達。なんらかの星座らしき星。
…すばらしい。
星に見飽きて就寝。ソッコーで寝る。
[2日目]
早朝、アラくんの動きに気づき起床。
外に出ようとしたのだが
出てすぐ戻って来たアラくん。
「寒い。2秒で気持ちが折れた…」
やはり、山の朝晩は冷えるのだ…。
そんな一言を聞いて、「外へ」と思う奴は居ないだろう
着られるモノをすべて装備して完全装備して食事の準備。
今日も行程時間があるので、ゆっくりしてられないのだ
結局、6:30にスタート。
今日は北穂高へ登り、稜線を通り涸沢岳へ。
道のりは一気に800mくらい標高を稼ぐ。
そして、縦走を始める…。今日が本当の山場になるだろう。
北穂高への道は上るにつれて角度が上がり
クサリ・ハシゴなどを使い登っていく。
下をみれば高度感があり、日差しが強く、息が切れる。
標高3000mの高さが身にしみる…。
深呼吸をしながら、ゆっくり尚かつ確実に頂上を目指す。
周りの山々より高くなり、空の青色がより深くなり。
北穂高岳の山頂に到着。
槍ヶ岳が遠くにピンっと見える…が
山頂にもたくさんの人が!!!!
一息つけるスペースも無いので近くにある山荘へ
ココは日本一高い場所にあるオープンカフェが!!!
しかーしっ!!ここも満席!!! 大人気なのである。
実は登山道も行列だったのです。
そこで、今回良い出会いが
年上のご夫婦をペースの基準としていたら
要所要所でアドバイスをもらい、話もしつつ
混んでいても楽しい登山となりました。
ペースを基準とするにしては、
自分には速いペースで、追いつく事で精一杯でしたが…。
そして、これからが今日の難関。
縦走して涸沢岳を通り涸沢の小屋へ。
稜線を行く道なのですが、ココが危険。
足を踏み外すと死にます、正直必死です。
…なのに、アラくんはやたら速い。
置いていかれます。しかも後ろからも人が続いてくる。
行き違いは不可能な場所だらけで、渋滞も発生。プレッシャーがかかる…。
しかも、オレは遅い。慎重です。
正直、ここまで追い込まれるとは思わなかった。
緊張感のある中、頭に浮かんできた事は
・涸沢から向かって来た外国の方の一言「Relax〜!」
・「ラークっ!!」という落石の合図が2回。
・女性の悲鳴が1回。これは事故になったとは聞かなかったので一安心。
・会社の人からの「死なないように」という一言
(この連休の後半も仕事へ行かなければならない状況。)
…いろいろな方の顔やら浮かんできました。その人達のために死ねない!!と。
だから!!!慎重なのです。一歩、一歩進むたびに
「生きてるね!!!」と一生懸命だったのです。
その必死さから、逆にミスしてしまったのです。
一所懸命すぎて、喉が渇くのですよ。
なので、途中で水が切れました。出発時には1.5リットルあったのに…。
アラくん、水を分けてくれてありがとう。本当に助かりました。
そんな失敗談もありつつ、
ドキドキしながらの移動。しかも長い緊張感のある道を歩き
涸沢岳の稜線へ出たのです。
そこは、今までの危険な道とは違い高度感があるけど
空と雲海が広がり、ホッとした瞬間でした。
この間にも良い出会いがありました。
50〜60代のご夫婦2組のパーティにも話しかけてもらったり
登山ベテランの男性(槍ヶ岳〜涸沢の縦走してた方)にもアドバイスをもらえたり
やはり山に慣れてる人は優しく、良い人が多い。
そして稜線に出て、20分くらいで涸沢岳の頂上へ到着しました。
そこでは、周りから歓声があがり、気になり見に行って見ると…
「ブロッケン現象」が起きていたのです。
写真では見た事があったのですが、生まれて初めて生で見ました。
来る途中にガスって来たのが原因かもしれないですね。
周りが見えなくなるほど、真っ白になっていたので…。
周りの人の反応を見ても、なかなか珍しい現象らしい。
ですが、なぜかあまり感動はしませんでした。
ブロッケン現象の感動より。危険地帯を乗り切った感動の方が大きく
今は、ホッとした事でいっぱいいっぱいだったのかなと思います。
そんな山からのご褒美もあり
山頂から15分くらいの涸沢小屋のテント場へ到着しました。
テントはヘリポートの所にしました。
他にもいくつもテントがその場所にあった事と
平らな所でゆっくりしたい。との思いがあったからです。
しかし、着いてテントを設営すると
ガスって来だしました。一面真っ白。
景色すら見えなくなり、
楽しみが、する事が「食事」と「寝る事」だけになりました。
それでも、着いた瞬間は雲海が広がる
雲を下に見る不思議な印象でした。
3日目
この日は、昨日のガスから雲の中に入っていて小雨。
予定では涸沢のテント場から奥穂高〜前穂高へ行き
その後上高地へ抜けるルートだったのだが
雨・視界が良くない事からの危険で
今日のルートは、ザイテン〜涸沢ヒュッテ〜上高地。
涸沢ヒュッテからは同じ道を下る事となりました。
昨日の時点では、険しすぎる道のりでやや、やる気が沈み気味だったのですが
起きてみて、結局危険なのと景色が見えないコトで断念する事となり
ビビッてはいましたが、やりきりたいという気持ちもありました。
雰囲気的には出発直後、雲の中を下山する感じで
雲の中は霧雨、そして降りていくにつれて雲の下にでると小雨に変わり。
登山で初となる雨の中の行動となった
今日もクサリ・ハシゴを使うルートだったが
昨日に比べて余裕しゃくしゃくな道だ。
しかし合羽の中が蒸れる。これはコレで辛いのである。
出発時にベテランの方に挨拶をかわし
この方は、奥穂高から前穂高へ行くルートを選んだようで
別れを告げて出発。
そして、涸沢ヒュッテでは昨日のご夫婦2組のパーティと遭遇。
昨日のいきさつもあり、一緒に行動しようと話がまとまる。
涸沢からは、後ろにつく形で進むのだが
リーダーの60歳の男性は富士山でガイドをなさってるので
歩くスピードが速い。ご婦人も登山歴10年になるそうなので
ペースもなかなかなのだ。このご婦人ペースがついて行けるペースなので
列の後ろを必死について行く感じになる。
ふと気づくと、後ろには行列をなしていた…。
総勢20名近くで、雨に濡れた道を
ザッ、ザッとリズム刻み進んでいきました。
途中、ご夫婦パーディは登山道脇に目を向けキノコ狩りも
食べられるキノコらしいが、スーパーで見た事は無い。
偶然か奇跡か、今日はキノコが大漁らしい。
そのキノコは昼休憩で味噌汁にしてくれてお裾分けしてくれた。
椎茸がキライな自分でも食べられるおいしいキノコなのだ。
味はナメコに近い食感だがボリューム的に大きく色も乳白色系
素人の目(自分)には、食べられるかどうかは判断が難しいだろう。
そして、食事後上高地へのゴールへ向かう。
ここで、ご夫婦2組のグループと分かれることとなる。
最後に挨拶とお礼をいう。
そこからは、今日の余った体力をすべて使い果たすような
速いペースでザシザシ歩く。
どんどん、追い抜いて上高地到着。
到着すると、またまた長〜い行列。
バスを待つのである。
誰か2時間との情報が入ったが、
1時間もしない内にバスに乗車できた。
そして、バスが発進。
30分後に駐車場。
これで、登山が終了。
恒例の終了直後の写真を撮り。
ホッと一息。まだ帰り道の渋滞が予想されるが
達成感と脱力感、けだるさ折り混ざるよい感じだ。
これで北アルプス登山が終了となった。
今回の登山は良い出会いもあり、スゴイ山たちがあり。
トータルで見ても満足な経験となった。
そして、登れていない山へのリベンジ。
3回目の登山にしては、レベルUPがスゴかったが
本当に来てよかった、がんばって良かった。と思う。
そして、感謝の気持ちもいっぱいだ
出会った、ベテランの方、ご夫婦、ご夫婦2組。
そして、誘ってくれたアラくんに。
…ありがとう…。
そして、足ひっぱってゴメンよ。
また、ぜひ行きたいと思う登山になったよ。