DAY4:ラムジュラへの道。ウォーリー・ダウン
2014年10月12日。6時に起きたと思う。
起きるべきかどうか毎朝布団の中で迷う。寝る前に「じゃあ明日は6時に起きようね」とか約束なんかはしていないので、どのタイミングで起きるべきかわからない。別に自分の起きたい様に起きればいい。けれど僕が動けば彼らを起こすだろう。そういう訳で、ジョンとウォーリーのどちらかがトイレに行ったので起きることにした。
そう、昨晩は一人部屋でしかもダブルベッドだった。すごく幸せな気分だったけれど、宿でかかるお金は全て割り勘になっているので彼らに申し訳ないと思う。なので少し多めに払いたいのだけれど、そんなことを言うと「我々はチームだ」と言われるだろうから言わないことにした。
また、汚い話しで申し訳ないが、ウンコの調子はいい。一日2回、しっかりと出るのですこぶる体調はよい。朝は必ずウンコがしたくなって起きる。トイレットペーパーを使うのが面倒なので、手で洗う。
ウォーリーの調子が悪い
今朝、ウォーリーの調子は悪そうだった。ものすごくゆっくりと、ネコがミルクを飲む様なスピードでシリアルバーを咀嚼していた。ジョンが「ウォーリーは吐き気がするようだ」と教えてくれた。
なので今日はウォーリーが僕の後ろを歩いた。 調子が悪いからだろう。いつもは必ず彼が前を歩く。僕が写真を撮るために後ろを歩くからだ。
それにしても本当にスローペース。ウォーリーは少し歩くとすぐに休み、歩き方も表情も本当につらそうだった。歩き方を教えようか、ザックの背負い方を教えようか迷うけれどやめておいた。ジョンもかなり真剣に心配していた。
休憩しては歩き、休憩しては歩き、を繰り返しては登った。時間はたっぷりとあるからいいけれど、先行きが少し不安にもなった。
そして何度目かの休憩の時、ふとウォーリーをみると口から大量のゲロを吐いた。びびった。かなりつらそうだ。まだまだ標高は低いが高山病もあり得るだろう。なので下りて宿をとった方が良いかもしれない、と思ったが、彼らが登る様だったので何も言わなかった。
吐いたあとウォーリーの足取りは軽くなった。けれどすぐに止まることは止まるし、息も荒い。高山病か、とジョンに聞いてみたが、違うと彼は答えた。じゃあもう少しは登れるなと思った。彼らは病気の事とか、体の事はしっかりとケアしているのでまあ大丈夫だろうと思う。
昼ごはんは小さなレストランでミントティーとラーメンを注文した。600ルピー。ここにも犬、ニワトリ、牛、子猫なんかいたりして賑やかで童話の世界みたいだった。
僕はここいらにいる犬が好きだ。カトマンズの犬はとても軽快で悪そうな犬が多い気がするが、ここいらの犬はリラックスしている。
昼飯が終わるとさらに尾根の登りは続いた。辺りの景色に少し変化が現れた。そして僕らは、3320メートルのラムジュラのロッジで宿をとることにした。ウォーリーが宿の前のベンチでぐったりしてしまったからだったし、地理的にここいらで宿をとった方が良いだろう、と僕とジョンは考えた。
ホレホレおじさん
このロッジでは一人の日本人のおじさんが宿泊していた。よくしゃべり、会話中に「ホレ」を高い確率で入れてくる。「私なんてホレ、歳じゃないホレ。だからホレ、ポーターを頼んでホレ。。。」。いや、ここまでホレホレは言っていなかった気がするが、こんなイメージだ。彼は50年生まれらしい。うちのおやじが頭に浮かんだ。年も同じだ。
彼と話していると永遠に続いてしまいそうだったので、そこから逃げつつ少し離れたところで今、日記を書いている。ダウンしたウォーリーはホットシャワーを浴びベッドに入った。
山の人たちはどんなストーリーがあって結婚に行き着くのだろうか。知り合いの家どうしだろうか、いいなずけとかあるのだろうか。通りかかった村人が、どこどこの村で嫁を欲しがってた、とか、どこどこの村で男が足りないとか、そんな話をしていくのかも知れない。ポーターと恋に落ちるのかも知れない。人と人とのおもしろい繋がりがあるのだろうと想像すると、とても楽しい。
ちなみに僕は、日本人のおじさんにシェルパっぽいと言われたが、ロッジのシェルパの主人にもシェルパっぽいと言われた。
僕がシェルパだとしたらイケメンの方だろうか、イケメンではない方だろうか。シェルパの女の子にはモテルだろうか、なんて考えてみる。たぶん、残念だけれど、日本人の感覚とほぼ変わらないだろうから、モテないだろう。