初心者のための登山とキャンプ入門

エベレスト街道 トレッキングの服装・6月と10月の気温や寒さについて

エベレストトレッキング ナムチェ周辺

6月と10月にネパールのエベレスト街道でトレッキングをしました。このページではトレッキング中の服装、ロッジに滞在中や寝る時の服装、寝袋のこと、寒さ対策と用意したい防寒着のことなどを書いています。またナムチェやカトマンズのタメルで買ったアウトドアウェアや値段、そこで買えるものも紹介しています。どんな服装でトレッキングをしたらよいのだろうと考えている方の参考になれば嬉しいです。

エベレスト街道の気候(テンボチェ)

エベレスト街道 テンボチェの平均気温・降雨量
ガイドブック Trekking in the Everest Region より

エベレスト街道テンボチェ、標高3867メートルの平均気温と降雨量です。

1年の中でトレッキングのベストシーズンは秋、10月から12月のあたまくらいまでと言われていて、この時期に最も多くのトレッカーがエベレスト街道を訪れます。天気も安定していて晴れの日が多く、また暑すぎず寒すぎもしないのでトレッキングしやすい時期だと言えます。しかしそれでも10月の平均最低気温は-4℃まで下がるので、しっかりとした寒さ対策が必要になります。

その次に人気の季節は春、3月の終わり頃から5月頃までになります。この時期もトレッカーが多くなりますが秋に比べるとかなり減ります。よりのんびりとトレッキングを楽しみたい人にはおすすめです。
秋に比べ平均気温も高くて過ごしやすい時期ですが、天気が崩れ、高い山が雲に隠れる日が多くなります。

10月の寒さと服装・防寒着

2014年の10月9日、ジリからカラパタールまでトレッキングした時の服装や、個人的に感じた寒さのことを書きます。

トレッキング中、空が真っ青な日がほとんどでしたが、寒かった、という印象が強く残っています。カラパタールに行ったあとにゴーキョーによらず下山したのも「寒いから暖かいところに行きたい」という理由からでした。気温以外にも僕が下痢だったり摂取しているカロリーが足りなかったり等の理由はあると思いますが、ナムチェの時点ですでに寒かったです。ロッジの部屋の中ではダウンパンツ、ダウンジャケットを着た上で寝袋に入っていました。日記を書いていると手が冷たくて文字がうまく書けないと言う感じです。洋式便器の便座が冷たすぎて怒りがこみ上げることもありました。
ちなみに下山時、10月27日のナムチェでは軽く雪が降っていました。

水は4410メートルのディンボチェ辺りから凍り始めました。朝起きると水場の周りが凍っていたり、トイレの水桶が凍っているという状況でした。

雨と雪について

約20日間のトレッキングでしたが雨の日は1日しかありませんでした。雪はロブチェ辺りで降ることがありました。ただ一日中降っているのではなく、午前中は晴れで午後に雲がではじめ、夕方から朝の間にシンシンと降る、という日が2日ほどあったくらいです。積雪はありましたが歩くところは乾いていることが多く、また靴が濡れるほどのものではありませんでした。

ロッジでの過ごし方・服装

ロブチェのロッジ ストーブで暖をとる
ロブチェ(4910m)のロッジ16時頃。このあと3倍位の人数の輪になる。

目的のロッジに着いたらロッジのレストランで暖をとり、そこで寝る時間まで過ごすことがほとんでした。早く着きすぎた場合は周辺で遊ぶこともありましたが、外に居続けるには寒いし部屋の中も寒いしということでレストランに滞在している時間が長かったです。レストランは人も多く、またストーブもあるので部屋より遥かに暖かかったです。そしてそこではみなストーブの周りに集まっていました。

歩いている時の服装

エベレスト街道 4000メートル付近のトレッカーの服装

ORSHO(4190m)周辺お昼時のトレッカー。左の人は厚いダウンジャケット、一番右の友人、ウォーリーは半袖

ロブチェ周辺のジョンの服装
ロブチェ(4910m)周辺、お昼時の友人ジョンの服装。化繊のシャツ+薄手のソフトシェル+フリース

僕の場合、ズボンは3シーズン用、靴はトレッキングシューズに薄手のメリノウールの靴下で寒いと感じることはありませんでした。日本の夏山と同じです。ですが、下の方でも書いていますがシャツ選びを失敗しました。いつもの感覚で混紡のシャツを着ていましたが、気温が低く濡れたシャツが乾きづらかったのでナムチェでメリノウールのシャツを買いました。乾きやすくて暖かいメリノウールのシャツはこの時期のトレッキングには適していると思います。
標高が高いところではその上に薄手のフリースを着て歩きましたが、それでもやや寒いと感じました。薄手のウインドブレーカーやシャツなど、体温調節が微妙にできる上着を余分に持っていくべきだと思いました。ロブチェ、ゴラクシェップ、カラパタール辺りではダウンジャケットを着て歩くことが多かったです。

ロッジに滞在している時の服装

上記の服装の上にダウンパンツ、ダウンジャケットを着ていました。
ダウンジャケットはインナーとして着る薄めのものよりも、ある程度肉厚のものの方がおすすめです。ロッジの中での重ね着も少なくなるので過ごしやすいと思います。
ダウンパンツは持っていって正解でした。迷いましたが本当に温かくて持ってきて良かった、と何度も思いました。ちなみに僕以外でダウンパンツまで履いている人を見かけませんでした。タイツなどを下に履いているかもしれませんが。

ダウンパンツ
PHENIX Fluffy Pants

嵩張りますが、タメルで安いフリースパンツを買うという方法もおすすめです。

寝る時の服装と寝袋

寝袋はイスカの「エア450X」という-6℃までの3シーズン用の寝袋でしたが、トレッキングの後半はダウンパンツとダウンジャケットを着てその中に入っていました。寝袋の中が温かくなればダウン上下は脱いでいましたが、寒いのが苦手な人は最低でもこれくらいの暖かさの寝袋はあった方が良いかもしれません。もしくはフリースパンツや厚めのフリースジャケットがあると良いと思います。

寝る時は、寝袋に入ってから30分から1時間くらいは寒い状態に耐える、という感じでした。でもこれは僕の体温が低かったせいもあると思います。食後はすごく体が温まるのですが、それから寝る時間までは数時間あるのでその間に体が冷えてしまいます。寝る前に暖かいものを飲む、食べたらすぐ寝る、というのが良いのだと思います。

ちなみに一緒に歩いたジョンは、リサイクルショップで買った化繊の薄い寝袋で快適だと言っていました。ウォーリーも同じ様な寝袋だったと思います。彼らはアイルランド人です。

※毛布について
毛布が部屋に用意されているロッジとそうでないロッジがありましたが、あまりにも寒い場合はスタッフに尋ねると良いと思います。

ネックゲーターやバフ・その他

ネックゲーターを巻いたジョン

ロブチェからそれより上の標高では顔や耳が寒く、ほとんどの人が強盗の様な姿でトレッキングをしていました。かなり寒くなるのでネックゲーターは必ず必要で、特にBuff(バフ)というブランドの様な鼻の上までしっかりと覆えるものが適しています。またバフにはメリノウールを使用したものもあるのでおすすめです。
またもっと寒い季節に登る人はバラクラバ(目出し帽)も良いと思います。僕は用意すればよかったと思いました。

その他に確実に用意したいのはニット帽で、これはカトマンズに売っているスカスカの土産物ではなくしっかりとした登山用がおすすめです。
また寒さに不安がある人は薄いマットや断熱シートがあると良いと思います。朝方ロッジのベッドの下からの冷気が厳しいので、寒さ対策に用意しておくと良いかもしれません。

6月の寒さと服装・防寒着

エベレスト街道 カラパタール辺りの服装
6月、カラパタール辺りの服装

6月といえばオフシーズン入りかけで、入山者数もピークの10月の7000以上と比べ、約300人ととても少ない月になります(Trekking in the Everest Region のデータより)。モンスーンが近づいてくるため天候が不安定になるという一方、「暖かい」という最大の利点がありました。しかし雨が降るということは雲も出るわけで、となるとせっかくのヒマラヤの景色も見えないから意味が無ですし、何よりも見通しが悪くなれば広すぎて道迷いの原因になることもあると思います。なのでやはりもし次回行くとなっても、やっぱり温かい時期は気持ちいいし荷物も少なくて済むので5月下旬あたりを狙って行きたいなと思ってしまいます。

雨と雪について

雨と小雪は、トレッキング中盤の6月14日、4800mあたりで一日振りました。あとは下山中6月18日、4000mを切ってからは常にガスが濃くなり、20日、2500mより下ってからはずっと雨でした。
雲はトレッキングを始めた6月4日から出たり晴れたりで、高度を上げるにしたがって午後からは雲が出て風もでる、というリズムになってきました。

歩いている時の服装

ズボンは部活で使っていたジャージ、上に登山用の速乾性Tシャツを着ていました。下着はナイロン製にしました。靴は登山用の、両足で3キロもある皮の重登山靴、靴下はウール2枚履きをしていました。行動中はTシャツ1枚で歩くか、肌寒い時は”毛のカッターシャツ”と呼んでいましたが昔の登山の人がよく来ているチェック柄のウールのシャツを羽織っていました。ですのでこれは、8月の北アルプスの登山とまったく同じです。
これしか持っていなかったのでこのような服装でしたが、今行くならジャージはトレッキング用パンツに、重登山靴をトレッキングシューズに、毛のカッターシャツをフリースに変えて持っていくだろうと思います。しかし明け方や高度が上がってきて風が出ているときなどは、カッターシャツの上に防寒着のウールのセーターを来たり、さらには雨具を来ていました。あとは、真夏の北アルプスでもそうですが薄手の手袋はあって良かったです。帽子は洗っていない頭を隠すためにかぶっていましたが、防寒の為にかぶろうという程の寒さはありませんでした。

ロッジに滞在中の服装

歩いていない時は涼しいか肌寒いので、カッターシャツの上にカッパを着ていました。ズボンの上にもカッパの下を履いていました。もっと温まりたい時はウールの薄手のセーターを着たこともありましたが、何しろこれがすべての服装だったので、全部着てもそれでも寒い時はロッジで温まるしかありませんでした。
荷物を押さえるために最小限の着替えや防寒着しか持って行かなかったのですが、次回同じ時期に行くとしたら防寒着には風を通さないインナーダウンがいいだろうと思います。また足の防寒についてはダウンパンツを持っていくほどでも無かったので 、ユニクロのタイツとかそういった軽くてかさ張らないものがあったらより安心だろうと思います。

寝る時の服装・シュラフ

ジャージズボンにTシャツ、カッターシャツを着て夏用のダウンのシュラフに入って寝ていました。ベッドは結構砂だらけだったりもしたのでそういう意味でも寝袋は役立ちました。寝袋に入っていれば特に寒いということはありませんでした。

カトマンズで全てのアウトドアウェアが揃う

カトマンズのタメルにはうんざりするほどアウトドアショップがあるので、アウトドアウェアを用意していなくても全て現地で揃えられます。速乾性のシャツ、パンツ、フリースジャケット、ダウンジャケット、アウター、レインウェア、選ぶのが大変なくらいの数のウェアがタメルにはあります。またウェアだけでなくほとんどの装備も揃えることができます。

値段を考えるとタメルに存在する95%のアウトドアウェアは偽物でしょう。価格は日本の4分の1以下、ものによっては更に安いものもありますし、交渉しだいではもっと安くなります。一応ノースフェイスの本物のショップなどもありますが、むしろ高すぎるし店構えが高級なので敬遠してしまいます。
それ以外はほぼ偽物と言えるタメルのアウトドアウェアですが、一週間以上もトレッキングをして汚れるなら現地で買うというパターンもありだと思います。僕はそうしました。
ただしゴアテックス製のレインウェアなどはゴアテックスを使用しているかどうかも怪しいところなので、日本から用意していくことをおすすめします。

偽物のマムートのダウンジャケット

カトマンズで買った偽物のマムートのダウンジャケット

僕が買った偽物のマムートのダウンジャケットは4000円。
タメルのアウトドアショップを見てまわった結果、ダウンジャケットの相場は2000円から5000円くらいなので、僕の買ったものはやや高めです。特に交渉はしていません。ちなみに値段が高いものと安いものの違いはダウンの量と質です。昔っぽい、パンパンにダウンの詰まったごついダウンジャケットは安く、今っぽい軽くて暖かそうなダウンジャケットは値段が高い傾向にありました。店員が言うには「ハイクオリティ」ということですが、中身はわかりません。

買ったダウンはトレッキング中毎日の様に着ていました。
ダウンの質が悪くて寒くないかな、という不安はありましたが、実際に使ってみて何の問題もありませんでした。むしろ持ってくる予定だった軽量のインナーダウンよりも暖かったので、買って正解だったなと思いました。今でも家着として活躍しています。

でもやはりコピー商品なので作りは荒いです。縫い目は荒いし羽毛はしょっちゅうでてくるし、ナイロン部分もどんどん変色してきます。なので来ていると見かけが貧乏臭くはなってしまいますが、機能としては問題ありません。圧縮できるスタッフサック付きで重さは350グラムほどです。

偽物のマムートのロゴ
マムートのコピー 羽毛の飛び出し
マムートのダウンジャケットのスタッフサック

薄手のフリースは700円

そのほかには「エベレストハードウェア」というネパールブランドの薄手のフリースを買いました。裏地の起毛がなかったのであまり温かくありませんでした。700円です。

カトマンズ タメルで買ったフリース

ちなみに同行したアイルランド人のウォーリーが買ったトレッキング用のパンツは500円だったそうです。しゃがんだ時にマタが裂けてました。

ナムチェでも買えるアウトドアウェア

タメルに比べると選択肢は少なくなりますが、ナムチェでもアウトドアウェアや装備を買うことができます。防寒着やアウター、シャツなど大抵のものは手に入ります。山に上がったら想像よりも寒かった、という人はここで手に入れましょう。ナムチェより上で売っている店はなかった様に思います(ウールの帽子はお土産屋さんに置いてありました)。またルクラでもいくらかの店がアウトドアウェアを扱っています。

僕はナムチェでメリノウールの肌着を買いました。
ジリからのトレッキングで僕が着ていたのは山で常に着ている綿がちょこっと入ったシャツでした。しかしナムチェ辺りから一枚だと寒い、フリースを着ると暑すぎる、という悲惨な状況になりました。僕の想像よりもエベレスト街道は寒く汗で濡れたシャツが乾きづらかったのです。そこでその問題を解決するため急きょナムチェで購入しました。10000円とちょっとしました。

ナムチェで購入したメリノウールのシャツ

僕が購入したのは「アイスブレーカー」という、メリノウールの肌着を専門としているメーカーのロングTシャツです。ここで気になるのが本物かどうかということですが、メリノウールの質感と作りから僕は本物だと信じています。一応アイスブレーカーのシャツにはユニークバーコードというものがついていて、それをウェブで調べる限りでは問題はなさそうではありますが。
カトマンズ同様ナムチェでもほとんどの店がコピー商品を扱っていますが、中には本物を扱う店もあります。僕が購入したお店は本物と偽物を扱う店で、その中でも「アイスブレーカー」と「Rab」というブランドは本物だと思いました。店の人は仕入伝票を見て在庫を確認していたので信ぴょう性は高いと思います。値段は日本とほぼ同じで安くありません。

安い買い物でははありませんでしたが、ナムチェでアイスブレーカーのシャツを買って大正解でした。ナムチェ後はさらに寒さに苦しめられたので買っていなかったらと考えるとぞっとします。そしてその後は着替えることなく下山の時まで着ていました。メリノウールなので匂いも全く気にならなかったです。