初心者クライミングin日和田山
日和田山でクライミング日記(アラタ )
2010年11月21日月曜日。
埼玉県日高市の日和田山に、僕とヤハケンはクライミングをしに行った。
ヤハケンは以前、経験者とクライミングの聖地と言われる小川山に行った経験があるが、
僕自身は初めてのゲレンデとなる。
今まで頻繁ではないがクライミングジムに通い、家にあるマシーンで鍛え、
時には挫折し、そして飽きた。
ジムではなく外で実際に登らないと面白くないし、鍛える意味もない。
目標がないとモチベーションがあがらない。
そうは考えていたのだけれど、
周りには実践でのクライミング経験者もおらず、
また何かの会に参加して教えを乞うというの性に合わず、
お金を払ってレクチャーを受ける、と言うのもなんだかな~と思い、
今までぐだぐだと過ごしてきた。
しかし今回、ヤハケンが積極的に動いた。
ロープ、ヌンチャク、スリング、カラビナ・・・。
トップロープからリードクライミングまでできるよう様々な装備を買い求めた。
怖くて聞けないが、かなりの額をつぎ込んだであろう。
彼の散財無くして、今回のクライミングはなかったが、
しかしこれだけは言っておきたいと思う。
僕とヤハケンは外岩での技術は限りなくゼロに近い。
全ては本を読んだりアウトドアショップの店員に得た知識だけである。
僕にいたっては何も知らない。
なので今回のような初心者クライミングは非推奨。
僕もできれば初心者だけのクライミングは避けたかったが、
動かないと一生機会が与えられない気がしたのだ。
そういうわけで、
僕のステキな外岩デビューが日和田山に決まった。
日和田山は家からもそれほど遠くなく、
トップロープもできる初心者にはもってこいのゲレンデなのだ。
日和田山登り
朝8時頃、中野近くでヤハケンと待ち合わせ。
そこでヤハケンカーに乗り込み日和田山へと向かった。
秋の色の青空はでかけるに相応しかった。
練馬インターで高速に入ると、鶴ヶ島インターまではあっという間。
そこからは車通りの少ない静かな下道を進んだ。
クライミングをしに行くとは思えないような穏やかな朝だった。
疲れることなんかせずに、川原にぽちゃぽちゃと石でも投げ続けたいような気分。
東京からちょっと走っただけなのに、
田舎の素敵な雰囲気を味わうことができた。
ガストで朝から和風ハンバーグを食べ、
コンビニで昼食用のカップラーメンを買った。
そしてしばらく走ると巾着田に到着。
ここに有料駐車がある。
日和田山の麓に別の駐車場があったようだが、
僕らは一番確実な巾着田の駐車場を選んだ。
駐車場代は500円。水飲み場とシャワーまで用意されている。
ここから日和田山のゲレンデまで歩いて20分ほどらしい。
また日和田山へは電車を利用するのもいい。
西武池袋線の高麗駅が最寄りで、ここからも歩いて近い。
ちなみに巾着田は日本有数の彼岸花の群生地として知られているらしい。
それを見るのを楽しみにしていたが、僕らが来た頃にはもう終わっていたようだ。
静かな誰もいない広い田んぼが広がっていた。
川原もあって、静かで、すごく素敵なところだ。
15号を越え北へ、日和田山の入り口へ向かう。
ゲレンデへの道が不安だったのでヤハケンが地元の人に聞いてくれたが、
「途中でどっかの道を入るって聞いたことがある」
というだけの情報を得る事しか出来なかった。
なのでとりあえず僕らは日和田山の山頂を目指した。
男岩と女岩は、山頂に向かうもう一つの登山道の途中で出会うだろう、と
トポにある簡単な地図を見て予想を立てたのだ。
久しぶりの登山、というよりハイキングだ。
秋の低山は気持ちがいい。
木々の間を抜けてくる光と、
シャリシャリと落ち葉を踏みながら歩くのは心地が良かった。
しばらく歩くと、神社がある南方の眺望が素晴らしい場所に着いた。
巾着田が名前の由来通り巾着の形をしているのがわかった。
ふとヤハケンを見ると、僕の中の不安が少し膨らんだ。
本当にゲレンデはこっちであってるのだろうか?
という雰囲気が彼からプンプンと臭ってくる。
たくさんのファミリーや子供たちとすれ違う。
男坂、女坂では優しそうな女坂を選び山頂を目指した。
それにしてもトレーナーを着てきたのは失敗したと思う。
ゲレンデにはすぐ着く予定でいたのでとても暑い。
でも僕なんかまだいい。
ヤハケンにいたっては、登山靴ですらなくちょっとしたブーツだ。
カバンも持ちにくそうなのを2つ、しかも上下アンダーはヒートテックだ。
たとえ短いハイキングだとしても悲惨であった。
山頂に行けば 「→男岩・女岩」 という看板がある、
という僕の目論見ははずれた。
日和田山の小さな山頂には、
アジア風の石塔と、「日和田山」と書いた丸太風のものが地面に刺さっているだけだった。
日和田山山頂へのルートはもう一本あるであろう。
その途中に男岩・女岩がある、と僕は予想していた。
確信は全くなく、少しの不安を抱えながらも僕らは西へのルートを下った。
そして数分後思いがけないものに出くわした。
道が分岐していたのだ。
一方は北西に向かう「物見山」方面の道。
もう一方は南へ下る「見晴らしの丘」方面の道。
僕らの山勘ゲレンデ探しも、とうとう局面を迎えた。
究極の2択を迫られることとなった。
僕らが今まで登山をしてきたのは何のためだろうか。
経験によって何を得ることができたのだろうか。
まともな地図も持たずに山に登り、行きたい場所にもいけずにいる。
登山経験者がやることではない。
と思ったかどうか。
こういう事が起きても良いという覚悟は持っていたのだ。
そして携帯を取り出し、姉にライフラインのテレフォンをかけ、
ヤハケンはアイフォンでリサーチを開始した。
とりあえず一服し、ヤハケンはヒートテックの上を脱ぎすっきりした。
結局、電話もアイフォンもファイナルアンサーするには力が足らず、
なんとなく、北西方面から来た人に、岩を見たか、と聞いてみた。
岩は見ていない、との返答があったので、南に下ることにした。
そして数分後、素敵な道標を発見した。
「チャートの小径・男岩・女岩へ 崖あり注意・自然にやさしく」
こういう時に出会う道標ほど素敵なものはない。
チャートが何かわからないが、とてもキュートな道標である。
分岐を東へ折れると、登山道は谷の暗い方に下っていった。
そして遠くからざわざわと人の声が聞こえてくる。
高い木々が茂った暗い山中からは、
そこだけがライトアップされているように感じた。
男岩と女岩である。
とうとうゲレンデに到着したのである。
左側の大きな岩が男岩。右側の小ぶりな岩が女岩。
たくさんのロープが何かの祭りかのように岩に垂れ下がっていた。
大きな呼び声とアイゼンと岩がぶつかりあうガチャガチャというとんがった音。
20~30人はいるであろう山中での人だかり。
岩に張り付いている人々。
新鮮な光景だった。
岩に登るというのが原始的な様にも儀式的な様にも、
また別の何かの作業の様にも思えた。
すごく小さな場所で小さな岩に取り付く人々だが、
とても大きな物事に取り組んでいる用に思えた。
まあなんともうまく表現できないが、神聖な様な気がした。
荷物を置き岩の頂上に向かった。
岩の頂上には急な登りをちょっとだけ登ればつく。
そこで皆がどのように支点を作っているかを調査した。
支点にはそれぞれ個性があったが、大体は似たような感じであった。
支点づくりに関しては、ここに来るまではあれこれ考えを巡らしていたが、
実際に目で見てみるとものすごく簡単な事であった。
現場にくるのは大事なことである、とあらためて思った。
さてどこを登るか、と張りめぐったロープを見ながら思案していると、
ヤハケンが人が使っていないルートを見つけてくれた。
そこは女岩の西面でグレードは10b。左ルートという名があるようだった。
ヤハケンのもつトポには、「平山ユージ」とのメモ書きがあった。
ユーチューブで平山ユージがリードクライミングのデモをしている壁である。
最初はもうちょっとゆるいのから、と思っていたが、
他が埋まっているので選択肢がない。
ジムでも10bは落とせるのでまあ大丈夫であろう。
ちなみに男岩・女岩は各、北、西、南の3面ずつ利用できる。
ヤハケンが女岩の頂上に登りトップロープの支点づくりをし、
そして初のロープダウン。
びゅばってロープが飛んでくるかと期待していたら、
ぴょろぴょろ~っと静かに降りてきた。
そしてとうとう外岩デビュー1本目を開始。
オンサイトを目指して。
左ルート10b トップロープクライミング
僕はヤハケンから頂いたビレイ機が行方不明になってしまったことや、
人生初の外岩クライミングで変にテンションがあがってしまい、
ろくにウォーミングアップもせず岩にとりついた。
とりつきはじめ、岩を掴むとまだ岩と自分が馴染んでいないのがわかる。
体が緊張しているのがわかる。しっくりとこない。
地に足がつかないように、つま先が岩についていない気がする。
ゆっくりと体を温めながら登りたいのだけれど、
しかしこのルートは10b。そんな優しさは持ちあわせていないようだ。
手探りでホールドを探しながら体を上げていく。
ホールドがないわけじゃないけど、これぞベスト、というのが見つからない。
これが外岩だね~なんて思いながら、
強引に体を上げていった。
左ルートと呼ばれるこのルートのまんなか辺りには、
しっかりと立ててレストができるお立ち台があった。
そこに立ち上を見上げると、そこから先はかなりハングしている。
下から見上げていた時より遙かに大変そうだ。
ハング部分を眺めながら、あれこれ触りながら、
あれこれ考えてみても良いルートもホールドも見つからなかった。
悩んでも素敵なアイデアは浮かばなそうだったので、
諦めて強引に攻める事を決意した。
左手をカンテに、右手をクラックに突っ込み体をぐいっと持ち上げる。
足を思いっきり開いて、細かいホールドに足を置く。
うおう、手がきつい。
そしてどっか高い所にに足を効かして・・・って考えたけどどこもツルツル。
左手を少し上に持って行くももうどうしようもない態勢。
そしてもがいて速攻前腕がパンプ。
「テンション!」と声をだし、あっけなく両手を離した。
僕のデビュー戦はあっけなく終わった。
大敗である。
手応えもないまま粘ることなくやられてしまった。
こんなやられ方は、御岳の忍者返し1級に挑戦した時以来だ。
何がいけないのか、とかもさっぱりわからない。
10bのトップロープなのに、とても登れる気がしない。
そしてヤハケンも、ハングのところで力尽きた。
お互い拍子抜けしてしまった。
2度目か3度目のトライだったか、
4、5回落ちて何とか女岩の頂上に立つ事ができたが、
しょうもない登り方であった。
フルパワーを出して体を上げては休憩、そして登る、
そうやってなんとか岩の上に立つことはできた。
この課題を一撃を落とすのは無理だなあ。
どうしたもんかな、と思っていると
隣のグループのおばちゃんに声をかけて頂いた。
「もっと楽に力を使わずに登れることができますよ」
正直あんまり聞いちゃうと面白みがなくなるのでやだったけど、
この左ルートがあまりにもハードだったので教えて頂く事にした。
おばちゃんの話しをまとめると
ムーブがあって使うホールドが決まっているということ、
正対で登ってはいけない、という事だった。
そしておばちゃんが自ら手本を見せてくれた。
なんという滑らかな動きだろうか。
僕とヤハケンが血管を浮かべながら登っていたのが嘘のようである。
スイッスイとまるでクライミングジムの壁を登っているかのようだ。
そして難なくおばちゃんは女岩の頂上に立ったのだ。
疲れている様子も全くない。
目から鱗が落ちる思いがした。
僕の本番のクライミングのイメージは、
スタティックな正対でじりじりと登っていく感じだったんだけど、
あんなダイナミックにボルダリングのように登るなんて。
そうやって、
次は3回休憩するだけでスムーズに登ることができて、
最終的には1回の休憩で登ることができた。
そしてあっと言う間に辺りは暗くなりはじめ、
午後3時30頃、ほとんどのクライマーは僕たちを残して帰っていった。
山中の岩場だとこれくらいの時間までが限界だろうか。
薄暗い帰路の山中を、ヤハケンとあーだこーだ言いながら歩いた。
行きの山山頂経由の登山道とはちがい、この登山道を使えば出口はあっという間だ。
出口がすぐそこにあるってわかる山歩きは楽しい。
遠くに見える夕焼けもきれいだった。
僕のクライミングのデビュー戦は無事に終わった。
思いっきりやられたけど、とても気分がいい。
久々の山歩きも気持ちがいいし、
ザックを置いて岩に登るっていうのもとても楽しい。
次のクライミングが楽しみだ。
でも次はパワーを使うハング系のルートじゃなくて、
大好きな、細かいホールドで滑り落ちるのにビクビクしながら、
ゆっくりと登るクライミングがしたいなあと思う。
最後に、今回の核心は登山道の分岐点。
やっぱりあそこの選択が何よりも一番難しかったと思う。
次回からはクライミングだけじゃなく、そっちの準備もちゃんとしようと思いました。
日和田山でクライミング日記(ヤハケン )
11月21日、午前7時。
目覚まし時計がなる…うるさい。
さすが、ドンキホーテで一番うるさい目覚まし時計だ。
なので、寝てる状態から起きて
タイマースイッチを押すまでの
時間が、半端無く早い。
とは言え、一瞬で起きて
その次の瞬間寝る事のできる
ON/OFFのスイッチの切り替えの早さも
天下一品なのである。
しかし、今日は2度寝する事はできない。
無事に起きる。
…というプラベートな事は置いといて
今日は、外岩へクライミングなのである。
とは言っても、ボルダリングでは無く
ロープを使いトップロープをやるのである。
そんなこんなで
ロープクライミング初心者の
ヤハケン&アラタはトップロープをしに
日和田山へ向かうのである。
日和田山はクライミングをやるにあたっては
グレードが低いものからあり
基本的にトップロープ中心な岩場で
埼玉県日高市という都内から近いこともあり
日曜日でもいっぱいクライマー達がぞろぞろと集結しておりました。
クライマー達と言っても
ほぼ、というか自分ら以外…
アルパイン系な方たちばっか。
登山口を間違え、登らなくて良い日和田山のピークを踏んだ
ラフな格好な2人組が昼頃登場。
他の人が本格的な格好のなか
コンビニでも、ちょっと行こうか的な2人組なのである。
そんな、気持ちだけで無く
格好まで浮いた状態でクライミングスタート。
とは言ったものの、もうすでに人気なルートは
ロープも垂れて入るところ無しっ!!
日陰で寒そうな女岩西面。…そこしか空いていない。
気持ち良かったとは言え、無駄にピークを踏んだ事を悔やむ。
とりあえず、やってみたいとの気持ちもあり
女岩西面をやってみる。
とは言え、YouTubeで見た平山ユージさんの
デモンストレーションと同じルート。
やってやるて~という気持ちだけで
完登という事もなく、終わってきました。
ムービーを見返すと
ホールドの選択が遅いのと迷い過ぎ
そして、まだ無駄な力を使っているので
腕の方に力を入れ過ぎているのが
はっきりわかりました。
やっぱり、経験も必要ですし
場数も増やして行く事も大事そうですねっ。
という感じで
良い意味で悔しさが残るクライミングとなりました。
そして、程よい体のダルさを残しつつ
帰宅をよぎなくいたしました。
日和田山、男岩と女岩の行き方
僕らと同じ様に迷った人もいるはずと思い、日和田山のゲレンデ、男岩・女岩への道のりを紹介します。巾着田の有料駐車場からはおおよそ20分、高麗駅からは30分くらいかと思います。
グーグルの地図でおおまかに説明すると、高麗駅の北にある15号の鹿台橋の交差点と高麗本郷の交差点の間の細い道を左に折れます。その後高麗川沿いを西に歩き、日向公会堂付近で右に折れ登山道に入ります。
あまり詳しくは調べていませんが、この付近に駐車場はなかったように思います。
男岩・女岩に通ずる道の入り口です。写真は巾着田の駐車場から北に向かい、15号の道路を挟んで北西方面を撮っています。 写真中央付近、ヤマトのトラックのある方に歩いていきます。ちなみに一番わかりやすい目印はでかい「本」の看板のある本屋さん。そこを越えたら一本目を左だったと思います。
小さな高麗川沿いの道をしばらく西に歩きます。反対方向から写真を撮っているので川が右手にありますが、巾着田からくる場合川は左手になります。
ちょっと記憶があいまいですが、こんな感じのところを入っていったように思います。
するとすぐに「見晴らしの丘・頂上へ」と書いた道標に出くわします。ここから登山道が始まり、そのまま10分ほど道なりに歩けば男岩と女岩に到着します。