初心者のための登山とキャンプ入門

両神山・八丁峠コース日帰り登山

両神山 鎖を登るオノピー

八丁峠コースはピークへの激しいアップダウンを繰り返す縦走路

「八丁峠コース」は、八丁峠から、行蔵峠、西岳、東岳、剣ヶ峰と連なる厳しい岩峰を鎖で越える縦走路で、距離は短いものの繰り返される垂直の激しいアップダウンに体力を奪われます。地図やガイドブック、そして登山道にも「上級コース」とありましたが本当にその通りでした。

両神山登山の情報

両神山 八丁尾根コースの地図
  • 所在地:埼玉県秩父郡小鹿野町
  • 山域: 奥秩父山塊
  • 標高: 1723m(剣ヶ峰)

両神山登山の概要

日付 2012年7月20日(金)
日程 前夜泊日帰り
登山コース 八丁峠コース(往復)
距離 5.5km
八丁峠駐車場の標高 1220m
両神山(剣ヶ峰)の標高 1723m
累積標高 751m
駐車場 八丁峠駐車場(無料)
水場 なし
トイレ 八丁峠駐車場にあり

東京から八丁峠駐車場までの車でのアクセス

関越自動車道「花園IC」→ 国道140号 → 秩父やまなみ街道(皆野寄居有料道路)→ 国道299号 → 林道金山志賀坂線 → 八丁峠駐車場

  • 外環自動車道:200円
  • 関越自動車道:750円(軽自動車)
  • 秩父やまなみ街道:300円(軽自動車)

八丁峠コースの参考タイム(山と高原地図より)

登り 八丁峠駐車場 0:00
八丁峠 0:50
西岳 1:40
東岳 2:30
両神山(剣ヶ峰) 3:10
下り 両神山(剣ヶ峰) 0:00
東岳 0:30
西岳 1:10
八丁峠 1:50
八丁峠駐車場 2:30

両神山登山の参考地図・資料

山と高原地図 雲取山・両神山
日本百名山登山ガイド・中

両神山・八丁峠(八丁尾根)コース情報

八丁峠駐車場・トイレ・登山口

西沢林道のゲート

昨日僕らが走った林道金山志賀坂線の様子。アスファルトで走りやすい道路ですが、道幅も狭く所々が陥没し、また大きな落石も道路上にいくつかありました。しかもガスっていて運転は大変。
車を手に入れ「百名山登るぞ」と息巻いていたけども、登山の前にまず車の運転をしなければなりません。オノピーがいなかったら道を戻って日向大谷口に向かっていたことでしょう。

八丁峠駐車場

八丁隧道の手前にある八丁峠駐車場。何台停められるかはわからないけれど、とても大きな駐車場だと思います。

八丁峠駐車場のトイレ

八丁峠駐車場のトイレ。バイオラックストイレ。水を使わない環境に優しいトイレなのだそう。デザインもログハウス風でかわいい。

八丁峠駐車場のトイレ2

トイレの中を撮影。虫だらけだと思い恐る恐る扉を開けると、そこは山の中のトイレとは思えないほど美しかった。寝れる。

八丁峠登山道の入り口

八丁峠への登山口は駐車場の看板横にあります。いきなりの急勾配で参ったなあと思っていたけど、少し登ると登山道は落ち着きを見せた。

八丁峠駐車場から八丁峠への登山道

八丁峠駐車場から八丁峠までの登山道の様子1

登山道は落ち着きを見せつつも、5分も歩けば早速鎖場が登場。「八丁峠コースは鎖が多い」と地図にもガイドにもありましたが、こんなに早く鎖が現れるとは思いませんでした。「鎖なんて使わずに登れるぜ」、と余裕だったけれど、下山時には「鎖があって良かった」と何度も思った。

八丁峠駐車場から八丁峠までの登山道の様子2

八丁峠までの登山道の様子はこんな感じ。岩と木の根っこが露出している部分が多いのです。露出したは比較的細かくて歩きやすい。

八丁峠駐車場から八丁峠までの登山道の様子3

立ち止まっては写真を撮り、地図を見てはあれこれと相談していたのでものすごく遅いペース。真っ直ぐ道なりに歩いていればいいんですが、地図好きの2人はあれこれと地形を確認しながら進む。

八丁峠駐車場から八丁峠までの登山道の様子4

バス停「坂本」方面への分岐。
この日オノピーが初めて真面目に登山をしていた。いつもならあそこに行ってみようとか、コース外を歩くことが多いのだけれど、今回は決められたレールの上を歩いていた。

八丁峠

八丁峠に到着。疲れたふりをするオノピー。駐車場から八丁峠までは参考タイムで50分だけれど、僕らは1時間とちょっとかかった。原因は遊びすぎ。

八丁峠のベンチ

八丁峠にある休憩スペースで一服。このテーブルとイスのセット、ここぞと言う所にはちゃんと用意されていた。素晴らしい。

八丁峠の看板

○注意(八丁峠コース)
「このコースは、八丁峠、行蔵峠、西岳、東岳を経て両神山頂に至る八丁尾根縦走路です。八丁峠から先は、急峻な岩場が多く、くさり場の続く難コースで、初心者向きではありません。落石や足元に十分注意し、余裕のある日程で登山して下さい。」

この時はまだ大した事ないでしょうに、と思っていました。

八丁峠の分岐

八丁峠から進むとすぐに現れる「上落合橋」方面への分岐点。こんな感じで、八丁峠コースにも道標はたくさんある。すごく優しいコースだ。

八丁峠から行蔵(こうぞう)峠、西岳

八丁尾根の鉄塔跡

鉄塔跡、と「百名山登山ガイド」には書いていました。何のための鉄塔だったのだろうか。僕とオノピーは興味を持って辺りをうろつく。

八丁尾根の様子1

八丁峠から両神山剣ヶ峰まで狭い尾根歩きが続く。手を使わざるをえない場面が多くなってきます。寒い時はグローブがあった方が良さそう。

八丁尾根の様子2鎖場

長い鎖。これまでに数回鎖が出てきたけれど、これが本格的な鎖の一発目。鎖を使わなくても登れるぜ、ってこの時は調子こいてました。

八丁尾根の様子3 展望

鎖を登り切ったあとくらいでしょうか。眺望の良い場所にでます。西岳は見切れているけれど、一番左が東岳の肩、次が東岳、そしてぼんやりと前東岳があって、写真の真ん中辺りが両神山の剣ヶ峰、と予想。

八丁尾根の様子4

これまで一杯岩壁を登ってきたけど、ようしゃなく下ります。

八丁尾根の様子5

そしてまた登ります。
この道をまた帰りも通るんだよねー、とオノピーと語り合います。

八丁尾根の様子6鎖場

そしてもう一回下りて。

八丁尾根の様子7鎖場

また登ります。
鞍部を挟んでオノピーを撮影。写真では垂直の壁の様に見えますが、こんなにも垂直だったかな。足も置きやすくて鎖を使わなくても登れる程度の壁だった様に思う。対岸に見えるオノピーはクライマーの様で素敵だった。

八丁尾根の様子8

西岳目指してとにかく登って。

八丁尾根の様子9鎖場

鎖も登って。

八丁尾根の様子10 鎖場

この鎖を終えたら西岳が。

行蔵峠

と思ったら行蔵峠。

行蔵峠から西岳への道

行蔵峠から一回下りて鎖を登れば。

西岳の山頂

やっと西岳の山頂に到着。標高1613メートル。

西岳の山頂の様子2

西岳の山頂はスペースもあるので昼食なんかに良いと思う。ガスってなければ眺めは最高なのだけれど。

そう、この時僕はちょっと疲れていた。というのもコースをほとんど確認してなくて、西岳までのアップダウンにやられていました。真っ直ぐ下りて真っ直ぐに登る感じで、地形図を見てイメージしたものと全然違うし、それと細かいピークも多くて、これを登ったら西岳、これを登ったら西岳、って感じで期待しながら登ってしまっていた。こう言う登り方は疲れます。

あとはすごく暑い。戻り梅雨で気温が10度下がると天気予報では言っていたけど、7月も半ばを過ぎれば1500メーター程度の山はやっぱり暑い。岩からムンムンとした熱気を感じました。4、5月か、10月、11月くらいが登りやすいんじゃないかな、と思います。

西岳から東岳

両神山 西岳から東岳を望む

西岳から東岳を望むオノピー。写真じゃちょっとわかりにくいんですが、オノピーと東岳の間にはものすごい角度の鞍部があるんです。まじかよー。

両神山 西岳

東岳に取り付いて少しのところから、西岳方面にいるオノピーを撮影。見えるかな。ちなみにオノピーは僕が登っている様子を撮影しているので、お互い撮りあってます。まだ僕らに余裕はあったのかもしれない。

両神山 東岳への登り1

僕が登ってきた場所を登るオノピー。長い長い鎖場です。ここを登れば東岳が、なんて淡い期待を僕は持っていたけど、残念ながら東岳の山頂ではありません。

竜頭神社奥社

そこは竜頭神社奥社でした。
お賽銭を入れ、無事の下山を祈願するオノピー。

両神山 東岳への登り2

竜頭神社奥社から東岳への登り。
鎖を登って。

両神山 東岳への登り3

登って。

この頃大粒の雨が降りだしてきて、「雨で岩が滑るし疲れたし膝痛いし下山しようかな、オノピーに相談してみようかな、なんでやねん、って言われるかな。まあいいや東岳まで行ってみよう」と考えていました。
古傷の膝裏が痛み出してやばいなあと。オノピーには内緒だったけれど、西岳で休憩した後から膝裏が痛み始めた。それにここまでの道のりも結構しんどくて、また八丁尾根を通って下山するのか、と考えるとかなり憂鬱。しかも僕は、翌日に武尊山に登る予定。かなり憂鬱。ガスで真っ白だし。気分も晴れない。

後で聞くと、実は同じ頃オノピーも下山を考えていたらしい。僕とオノピーの「下山した方が良いかなバロメーター」が一緒で良かった。2人がやばいな、って思うって事はやばかったんでしょう。セーフティに登山をするなら下山が正解。

登る。

両神山 東岳への登り4

そしてちょっと歩いて。

両神山 東岳への登り5

登って。

両神山 東岳への登り6

登って!

両神山 東岳への登り7

ノボッテー!!!

東岳の山頂でランチ

そしてとうとう、東岳の山頂に到着。

ここで僕は力尽き、お昼ごはんにする事に。もうちょっと進めばベンチと机のある素敵なランチスポットがあったのだけれど、僕が力尽きてここでランチに。

お湯を沸かしてカップラーメンを作りました。僕のカップラーメンにはお湯を注げたけど、オノピーのラーメンには2センチくらいしかお湯が入らなかった。少しかわいそうでした。ちなみにカップヌードルは約290ml、ビッグなら410mlのお湯が必要なようだ。覚えておきたい数字。 コッヘルに線を引いておこう。

東岳の山頂2

ランチスポットからしばらく歩くと、ちゃんとした東岳の山頂に到着。雨は止みましたが曇って眺望は楽しめません。

東岳の山頂3

上から見下ろすとこんな感じ。
少し前に「写真撮影はまかせた」と言ったオノピーでしたが、「やっぱり俺ので撮るー」と言いカメラを取り出すオノピー。何だかこんな様な事が2度ほどあったような。気のせいかな。

東岳から剣ヶ峰(両神山山頂)

東岳から両神山への登山道の様子1

東岳からは細い尾根の樹林帯歩き。「どうせ岩場だらけだろう」、と考えていたので少しびっくり。非常に歩きやすい。

東岳から両神山への登山道の様子2

でもやっぱり長い鎖。登山から下山まで、30回は鎖場を通過した気がします。本当に八丁尾根は鎖が多い。こんなところは初めてだ。

両神山の山頂

両神山は剣ヶ峰の山頂に到着。東岳から両神山の山頂まではややこしい箇所もなく、あっけないくらい登りやすい登山道でした。それまで八丁尾根に苦しめられ続けていたので疑い深くなっていたんでしょうね。「どうせ厳しいんだろ」と。
ちなみに両神山に着いた時の僕らの発言は「小野さん、両神山に着いちゃいましたよー」、「ほんとー」。という感じです。

両神山の山頂2

両神山の山頂の様子を上から。何度も書くけども、晴れていたら本当に眺めが素晴らしいのでしょう。

駐車場から両神山の山頂まで、山と高原地図の参考タイムでは3時間と少し。僕らはお昼休憩を抜いて4時間と少し。休憩は適度にとって、写真を撮ったりムービーを撮ったりしたので、おおよそ歩行スピードは一緒と言って良いでしょうか。

東岳から両神山の山頂3

山頂に鎮座する両神神社奥の院。わかっていた事だけれど、ここから悲惨な下山のはじまりはじまりー。

下山。両神山剣ヶ峰から八丁峠駐車場

両神山 東岳からの雲海

下山を初めてから間もなくすると、僕らは雲と雲の切れ間にいた。上も雲下も雲でとても不思議な感じ。雲海を突き抜きた遠くのピークが小島みたいで、白くてフワフワとした海を見ているようでとても心地が良かった。この間だけが、今回の登山で唯一癒された。この後空はどんな変化をとげるのだろうか。ずっと見ていたい光景だった。

そして僕らは来た道を同じ様に下った。
僕は膝が痛くて痛くて汗がだらだらと出てきて、左足をかばいすぎたせいで右足が利かなくなって、岩場を下る時に踏ん張りが利かなくなってものすごく集中しなければならなかった。カクン、っていかないように。そんなこんなで落石をおこしてオノピーを殺しかけた。

最終的には得意の後ろ歩きを披露し、非常用に持ってきたストックも使用した。一歩地面を踏みしめる度に顔が歪む。こんな足で百名山なんてできるのだろうか?

オノピーも膝が痛くなってきたとい言っていた。という訳で僕らは、1歩1歩ゆっくりと下った。お互いの距離は離れ無言。ここからはもう己の世界。

下山後 八丁峠駐車場にて

そして18時を過ぎた頃、僕らは八丁峠駐車場へと辿り着いた。生還した、と言う感じ。もうぼろぼろで、これ以上は歩けませんよ、というくらいまで体力を消耗した。両神山から駐車場まで3時間半くらいもかかった。

着替えると車に乗り込み、ガスって前の見えない林道金山志賀坂線を走って東京へと向かった。オノピー運転ありがとうございました。

両神山(八丁峠コース)登山を勝手にアドバイス

林道金山志賀坂線は怖い

アスファルトで走りやすい林道ではあると思いますが、道幅も狭く、また陥没や落石もあるので運転に集中しなければなりません。僕のように運転経験が浅く、また山道の運転に慣れていない人には厳しい林道です。登山前に体力を消耗することでしょう。

水場がないこと

日向大谷からのコースとは違い、八丁峠コースは水場がありません。各自昼のラーメン用の水もあわせて約3リッターの水を持って行きましたが、それくらいあってちょうどと言った感じでした。なのでもっと暑い中での登山ならそれ以上の水が欲しいところですし、もしくは暑い時期の登山を避けるべきだなと思います。

鎖場について

「鎖場が多い」と地図や本にはありますが、本当に多いです。往復で30以上は鎖場を通過したのではないでしょうか。個人的に、技術的に難しいところはないと思っています。鎖を使わなくても登り下り出来るような所が多いです。でもこれは疲れていない状態の事で、疲れてしまうとこんなにも鎖場の通過が難しくなるのだなと学びました。鎖場での事故は、きっと疲れて集中力が切れた時に起こるのではないか、と思いました。

僕らは八丁尾根を往復する鎖場だらけのコースとなってしまいましたが、安全のために帰路は別のコースを選んだほうが良いのかも知れません。

梅雨前か秋の登山が良いのでは

7月も20日でしたから、とても暑かったです。標高も1500程度なので樹林帯も暑い、稜線上も暑い、という感じでした。水の消費も激しかったです。
なので10、11月頃の登山がベストかなと思います。秋晴れの日に紅葉と眺望を楽しみながら登るのが良さそうです。ただし寒くなるとグローブはあった方が良いですね。冷えて指が利かなくなると鎖場の通過が厳しくなりそうです。

時間にはゆとりをもって

八丁尾根のアップダウンが地図で見たよりも激しく、想像以上に通過に時間がかかりました。疲れてくると鎖の通過はさらに時間がかかりますし、ペースが遅くなると慌てて事故を起こしやすくなります。なので時間に余裕のあるプランで望んだ方が良いと思います。

アウトソールが硬い靴が吉

八丁峠コースはほとんどが岩場ですから、アウトソールが硬い軽登山靴が良いと思います。トレッキング程度のものでも行けるとは思いますが、疲れ方がだいぶ違う事でしょう。それと滑りにくいのも大事ですね。

両神山登山を終えて

オノピー

両神山とオノピー

いままで、たった数回だけど、バリエーションを通ったり探検してたけど、いわゆる今回は設定された登山道だったけど、これまでで一番くたびれたし、身の危険を感じた。 別にスリルが欲しいわけでもなくて、オレにとっては探検心とスリルはちと違うのかなぁ、とも思う。けどやっぱりまた行きたいし、もっと厳しい道のりも歩いてみたいと思う。 山ってなんなんだろ。不思議だなぁ。

両神山、改めて地図見てると、とても探検心をそそられるね。危ないんだろけど、いろんな岳にいってみたい気がする。

あらたの感想

両神山とあらた

自分の運動不足もあって膝の激痛に苦しんだ登山だった。世の中に膝の痛みを抱えながら登山をしている人は多いと思うけれど、膝痛を持っての登山は本当に大変。いつ痛みがやってくるかわからないから、コースを選ぶ際に迷いが出てしまう。長すぎるんじゃないかとか、荷物が重いんじゃないかとか。

夏だからと言って上半身を鍛えすぎた。カッコイイ体を作りたかった。30も過ぎここらで一発花を咲かせたかった。でも本当は下半身を鍛えるべきだった。
なのでこれからは足のストレッチ、そして膝裏の筋を揉み、筋トレをする。こんな感じで行こう。それとテーピングも買ったので、登山前に左足のテーピングを忘れない様にしよう。