初心者のための登山とキャンプ入門

エベレスト街道 トレッキングの装備

エベレストトレッキング ザックの容量

ロッジを泊まり歩くエベレストトレッキングでは、基本的に山小屋泊の装備と多めの防寒着があれば大丈夫だと思います(秋の場合)。ですのでこのページでは用意した装備全ては紹介せず、いつもと違った装備、持っていって良かったなと思う物などを紹介しています。

山小屋泊の装備でOK

僕がエベレスト街道をトレッキングした季節は秋、10月になりますが、トレッキングのために特別に用意した物はないと思います。靴はいつもの登山と違う物を選びましたが、基本的には「日本の山小屋泊登山の装備 + 多めの防寒着」と言った感じで準備をすれば問題無い様に思います。

ザックの容量について

エベレストトレッキングのザックの容量

装備のカサにもよると思いますが、ザックの容量は50リットルあれば大丈夫だろうと思います。料理もしない、行動食や水もロッジで買うとなると以意外と少ない荷物になります。ちなみに、ジリ~カラパタールの往復で僕のザックは60リットルありましたが、ルクラで大量のお土産を買いそれを入れることもできました(日記:ルクラで大量の土産を買う)。 60リットルのザックでそれくらいの余裕がありました。

下山後にお土産をたくさん買ったり、また旅行用の服やたくさんの着替え、登山靴を入れたりする場合には50リットル以上は絶対にあった方が良いと思います。一方、ネパールではトレッキングだけで観光はせず、移動もアウトドアウェアという人は40リットル程度でもやりくり出来るかも知れません。

僕のみたところ、海外トレッカーのザックの容量は55~60リットルくらいが平均だと思います。ただ欧米のトレッカーは余分な物を持って歩く傾向にあるのでなんとも言えないところではあります。

寝袋、料理道具について

イスカ エア450x
イスカ(ISUKA) 寝袋 エア450X

寝袋はイスカの「エア450X」という-6℃まで対応の3シーズン用の寝袋でしたが、トレッキングの後半、標高が高くなってからはダウンパンツとダウンジャケットを着て寝袋に入っていました(寝袋の中が暖かくなるまで)。10月のトレッキングで、寒いのが特に苦手な人は最低でもこれくらいの暖かさの寝袋はあった方が良いと思います。また標高の高いロッジでは、ベッドであっても地面からの冷気が強いので、薄手のエマージェンシーシートの様なものを用意して敷くと良いと思います。

料理道具は全く持って行きませんでした。食事は道中のロッジやレストランで食べられるので必要ありません。お箸も一応持って行きましたが一度も使うことはありませんでした。

装備以外の持ち物について

エベレストトレッキングの装備は日本の山小屋泊の装備、と書きましたが、それ以外ではガイドブックや薬など用意した方が良いものがいくつかあります。下記リンク先のページでまとめていますので参考にしてみてください。

登山靴?トレッキングシューズ?

重たい履きなれた登山靴でいくか、それとも軽いトレッキングシューズでいくか。出発前にすごく考えましたが、最終的に、トレッキング後の旅行で荷物が嵩張るのを避けるためトレランシューズで行くことに決めました。この一足でトレッキングも、その後の旅行もしてきました。

トレランシューズの特徴

スポルティバのトレランシューズ
スポルティバULTRA RAPTOR  ウルトラ・ラプター

ハイキング系のシューズに比べると軽く、”ランニングシューズにグリップの効くソールを加えた靴” と言った印象です。走る事を考えて作られているので基本的にソールは柔らかく履き心地は良いです。僕の選んだスポルティバのトレランシューズのソールは厚めですが薄いモデルもあります。

トレランシューズを履く上での大きな問題は”濡れに弱い”ということです。と言うよりも、”濡れたら履いて乾かす”と言うテーマで作られている様に思います。なのでアッパー部分はメッシュで通気性が良く、濡れやすく乾きやすい作りになっています。

エベレスト街道のトレイルの様子

エベレスト街道のトレイルの様子
ロブチェ辺りの様子

ジリからカラパタールまでを往復しましたが、日本のアルプスの様な急峻な岩場やガレ場もなく、なだらかな歩きやすい道がほとんどです。重い荷物を背負ったヤクやロバ、ポーターがサンダルやスニーカー履きで歩けるような道なので、本格的な登山靴は必要ないかと思います。ですが山道を歩き慣れていない人はトレッキングシューズくらいを選んだ方が良いかも知れません。

トレランシューズ・雨での影響

土砂降りの中を歩いた訳ではありませんが、小雨の中なら2,3日歩きました。雨対策としては防水靴下を履いていましたが、それが良かったのか靴が濡れても靴下の中が濡れることは全くありませんでした。トレランシューズもすぐに乾きました。

一方トレッキングシューズを履いていた同行者の靴下が、数日の間乾かずに濡れ続けていたことには驚きました。トレッキングシューズの機能にもよると思いますが、トレッキングシューズの乾燥が遅いのが原因だと思います。特に高所で気温の低い場合は圧倒的に乾きにくくなります。ロッジのストーブの前で靴を乾かしているトレッカーも多く見かけました。

防水ソックスについて

シールスキンズの防水ソックス
SealSkinz Thin Ankle Length Sock 防水ソックス

今回のエベレストトレッキングで初使用となったシールスキンズの防水ソックスでしたが全く問題ありませんでした。上にも書いた様に雨でも足が濡れることもなく、また蒸れることもありませでした。

シールスキンズの防水ソックスは、定番の「Thin Ankle Length」を選びました。履き心地はタイトで、生地はダイビングのウエットスーツの様なイメージです。なので登山用の靴下と考えると違和感はかなりありますが、履いてしまえば気になりません。トレッキングでは2,3日使用しただけですが、靴擦れ等もありませんでした。

なおこのソックスは”Thin”ということですが、登山用靴下の薄めのものと比べると厚いです。日本の夏の低山登山での使用はキツイと思います。

雪の場合

エベレストトレッキング ゴラクシェップ辺り
ゴラクシェップ辺りの様子。トレイル上の雪は溶けて乾いています。

気になることと言えば雪だと思います。僕の登ったのは10月でしたが、その時は天気が例年と異なり大量の雪が降りました。それでもトレイル上は雪が溶けていたので雪の上を歩くことはほとんどありませんでした。カラパタールへの登りはさすがに雪がありましたが、状態もよく、露出した岩も多かったので普通に登り普通に下りて来られました。

ですが雪に足が埋まる様な、新しめの雪を歩く場合はどうなるかはわかりません。トレランシューズと防水靴下とスパイクで雪の中を歩いている人はたくさんいるから大丈夫だとは思いますが、標高5000メートル付近での話とは全く別だろうとは思います。

トレランシューズのまとめ

トレランシューズで全く問題ありませんでした。トレランシューズはローカットなので下りで足首に負担がかかり、ちょっと痛いな、と感じることはいくらかありましたが、そう感じるだけでそれ以上のことはありませんでした。グリップも良く効いたしトレッキング中に足が寒いということもありませんでした。同行者が滑ったり足にテーピングや絆創膏をしているなか、足に関しては自分でも驚くほど問題がありませんでした(登山の経験具合によると思いますが)。

僕は山歩きでは硬いソールの靴が慣れているので不安もありましたが、むしろ柔らかいソールで正解だったと思うくらいに歩きやすく、また足の疲労も感じませんでした。
なのでもしもう一度エベレスト街道を歩くとしたら、またトレランシューズと防水靴下のコンビを選ぶと思います。でも持っていく荷物の重さによるかも知れません。今回、手持ちの重いカメラも入れて15から16キロくらいの荷物でトレッキングをしていたと思いますが、これ以上重いと足首がやられる可能性はあります。ですので足首に自信のない人や山歩きに慣れていない人は、サポートのあるミディアムかハイカットのトレッキングシューズが安全だろうと思います。

サブバック、ポケッタブルバックのススメ

登山靴や寝袋などの装備は当たり前に用意するとして、それら意外でおすすめしたい装備がサブバックです。エベレストトレッキングを通して「持っていって良かった」と間違いなく言えるものはこのサブバックです。

グラナイトギアのゴー&ストウ トラベルパック
右下の黄色がサブバック。いつも手元に。

サブバックをアマブタに入れて使用

僕の場合、サブバック内に全ての貴重品と日焼け止めなどの使用頻度の高いもの、日記帳などを入れていました。そしてそれをサッと取り出せる様ザックのアマブタの中に入れていました。
そして、例えばロッジに着いたとしたら、ザックを置いてサブバックだけ取り出してレストランに行く、と言った感じです。荷物の出し入れが無いので手間がかかりません。また散歩なんかに出かける時はそこにドリンクボトルや防寒着を追加します。飛行機に乗る時なんかも簡単です。

ネパールを2,3日観光する時もこのサブバックを利用しました。僕の場合、観光も登山も服装に違いがほとんどないのでサブバックでも充分に間に合いました。使っていたのはグラナイトギアの18リットのバッグですが、多少の着替えと防寒着、洗面用具やタオルなども入れることができました。

グラナイトギア・GO AND STOW TRAVEL PACK

グラナイトギア・ゴー&ストウ トラベルパック
GRANITE GEAR グラナイトギア GO AND STOW TRAVEL PACK

サブバックとして考えるとかなり高価なモデルだと思います。もっと簡易的なものでも良いと思いますが、観光にも使いたかったので多少格好の良いものを選びました。

ウエスト・チェストベルト、豊富なポケット

細いですが、ウエスト・チェストベルトがちゃんと用意されている点も選んだポイントの一つです。観光などで長い時間ザックを背負う場合にはこれらのベルトは欠かせません。それとポケットの多さも魅力でした。一般的な登山で使用するなら小さなポケットが一つあればなんとかなりますが、旅行になるとパスポートなどの貴重品は別の場所に入れたいので最低でも2つのポケットが欲しいところです。グラナイトギアのゴー&ストウ トラベルパックは表に大きなポケット一つ、内部に小さめの一つ、それとハイドレーション用のポケットもあるので、合計4箇所に荷物を分けて入れることができます。そのぶん他のサブバックに比べて重量が増えるデメリットはありますが、使い勝手の良さを考えれば気になりません。

グラナイトギア・ゴー&ストウ トラベルパック
mont-bell ポケッタブルディパック 20

モンベルならグラナイトの半額以下のモデルあります。機能的には劣るところもありますが、頑丈でコストパフォーマンスも高い人気商品です。20リットルです。

あると便利な携帯浄水器、フィルター

カタダイン 浄水器
KATADYN(カタダイン) ミニ

携帯浄水器は特別に用意する必要はありません。水はロッジでも購入できますし「Potable Aqua」などのタブレットで浄化して飲むことも可能です。しかし携帯浄水器はあると非常に便利です。特にグループでトレッキングの場合には、誰か一人が持っているとみんなで使用できるのでおすすめです。

僕は携帯浄水器を持っていませんでしたが、たまたま一緒に歩くことになったトレッカーが持っていたので使わせてもらっていました。この浄水器があると必要以上に水を持ち運ぶこともなくなりますし、沢の水を毎回タブレットで浄水する煩わしさもありません。何より水を飲んでいて気分が良いのでおすすめです。

カタダインの携帯浄水器以外ではMSRが定番で人気商品です。

カトマンズ、ナムチェで買える装備

ナムチェのアウトドアショップ
ナムチェで並ぶアウトドアショップと土産屋

カトマンズではトレッキングの全ての装備を揃えることが出来ると思います。なので極端に言ってしまえば、手ぶらでネパールに行ってもトレッキングの準備は出来てしまいます。ですが、もちろん多くがコピー商品と考えられるので予め装備を整えて行った方が良いと思います。何かを忘れてしまった場合、突然何かが必要になった場合、探しているものをカトマンズで見つけるのはそう難しいことではないと思います。

カトマンズに比べると数は減りますが、ナムチェにもアウトドアショップはたくさんあります。登山靴専門店があるくらいですのでほとんどの装備もここで見つけることができます。なお使用しませんでしたが、僕はナムチェで簡易的なアイゼンとゲーターを購入しました。

アウトドアウェア(ダウンジャケット、シャツ、フリース)はカトマンズとナムチェの両方で購入しました。下記リンク先で詳しく紹介しています。